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【9月1日(水)】


 民放連CM賞の選評。

 山尾悠子様より、初の訳書、ジェフリー・フォード『白い果実』を頂く。直筆のお手紙は家宝にしたい。



【9月2日(木)〜6日(金)】


 10月に出る打海文三の近未来内戦小説『裸者と裸者』上下(角川書店)をプルーフで読む。『コインロッカー・ベイビーズ』〜『サウンドトラック』系。次期元号は「応化」らしい。『ハルビン・カフェ』より密度で劣る分、リーダビリティは飛躍的に高まってる感じ。

 あとは幻冬舎文庫に入る牧村泉『邪光』の解説書き。



【9月7日(火)】


 本の雑誌編集部でファンタジー特集用の座談会。本題そっちのけで、ハリポタ5巻を罵りまくる三村美衣と石堂藍(笑)。この人たちを呼んだオレが悪かった。石堂藍に至っては、「で、大森(作中人物らしい)はその異世界で何がやりたいわけ?」「どういう世界がいいの? 砂漠? 海?」
 だからそういう企画じゃなくて、みんなで考えましょうって趣旨なんですけど。だれが呼んだんだこんな女。はたしてこれでまとまるのか。まあ、オレがまとめるんじゃないからいいや。

 帰宅してから、今日最大の話題だった『ハリー・ポッターと不死鳥の騎士団』を読む。重くて長くて死にそうですが読書スタンドのおかげでわりとらくちん。これまでの話をすっかり忘れてたけど、今回は総集編(オレ主観)なので助かります。



【9月8日(水)〜9日(木)】


 《本の雑誌》新刊ガイド原稿。今月は大豊作でハイレベルな戦い。採点はこんな感じ。

J・K・ローリング『ハリー・ポッターと不死鳥の騎士団』上下(静山社四〇〇〇円)★★★
仁木稔『グアルディア』(ハヤカワSFシリーズJコレクション/一九〇〇円)★★★★
飛浩隆『象られた力』(ハヤカワ文庫JA七四〇円)★★★★
山本弘『審判の日』(角川書店一六〇〇円)★★★★
東直己『ライダー定食』(柏艪舎一六一九円)★★★1/2
打海文三『裸者と裸者』上下(角川書店)★★★★
佐藤哲也『熱帯』(文藝春秋)★★★★
舞城王太郎『好き好き大好き超愛してる。』(講談社)★★★★
西澤保彦『方舟は冬の国へ』(カッパノベルス八五七円)★★★1/2
ジェフリー・フォード『白い果実』(山尾悠子・金原瑞人・谷垣暁美訳/国書刊行会二五〇〇円)★★★★

 東直己『ライダー定食』は意外にも異色作家短編集系の奇想小説集なんで、そっち系の読者はお見逃しなく。納豆箸が主人公のディスカッション小説とか入ってるよ。



【9月10日(金)】


 ハリポタ5巻より長い『暗黒館の殺人』に着手。おお、こっちも総集編? 本篇に入った直後に、ああこれはきっと――とキメ打ち。上巻の半分ぐらいで「まちがいない」と確信したんだけど、答えが出るのは800ページ後でした。このもどかしさでひっぱるのが狙いなのか? 7年前に3分の1の長さで出しておけば……(1年前に半分の長さでも可)。ま、《館》シリーズしか読んでない読者なら楽しく仰天できるかも。

 一族の名前が名前なので、当然《悪霊》シリーズの某作品を思い出し、××ミステリと見せかけてじつは×××ものだったりしたら凄いなあとか、これが殊能将之だったらラストは×××にして、館シリーズ読者の99パーセントが怒り狂う決着をはかるだろうとか、いろいろ(ありえないことを)考えちゃったよ。あれだけ書いたあとで実は全然×××ましたってオチだったらよかったのに。無理か。
 フーダニットに関してはキメ打ち(から必然的に導かれる帰結)どおりだったんですが、面白かったのはホワイダニット部分。京極夏彦の某作品をちょっと思い出したり。あと、×××ネタがじつはミステリ的な要請による伏線だったのには驚きました。もしかして、館が暗黒館なったのも、そこが出発点なのか? 本格ミステリ作家おそるべし。

 しかし連載だったせいか、いつもよりくりかえしが多く、冗長性が高まってる感じ。印象的には『霧越邸』に近いかな。美意識のツボがオレとは激しくずれている気がする。



【9月11日(土)】


 夕方起きたらトヨザキ社長から招集メール(コミカレ豊崎講座後の宴会にデザイナーの鈴木成一さんが来るんでヒマだったら一緒にどうですか、という勧誘)が入ってたので、ぼんやりしたままサンダル履きで池袋。あとのメンバーは、ソニマガM山嬢、アライ&米光夫妻、平林亨子嬢、本の雑誌A木青年、ブックファースト渋谷店H女史など10人ぐらい。
 初対面の鈴木成一氏は、いまたぶん日本で一番たくさん本の装幀をやってる人(なんか月に60冊ぐらいやってるらしく、岩郷重力@Wonder Works。もかなわない)。
 見た目は映画監督の井筒和幸とスワローズの(選手会会長の)古田を足して2で割った感じの男前。「本は(仕事で渡される)ゲラでしか読まない」「本屋には行きません」「装幀は仕事、趣味は全然別」と発言も男らしい。装幀メッタ斬り!企画が急遽浮上したので、いずれどこかで実現するかも。

 場所を変えて午前1時まで飲み、最後は始発待ちのA木くんと終夜営業の喫茶店。黙々と『一の悲劇』を読むA木くんの前で大森はキーボードを叩き、5時を回ったところで電車帰宅。



【9月12日(日)〜16日(木)】


 太田出版の単行本仕事を黙々と。頭が1980年代に行ったきり戻ってきません。ライトノベル対談のまとめも意外とたいへん。『完全読本』の年表があってよかった。



【9月17日(金)】


 ミステリチャンネル「ブックナビ」の収録を済ませて、帝国ホテルで江戸川乱歩賞。今回の受賞作は、話としては好感が持てるものの、ミステリ部分がものすごくヘタ。最近ではめずらしい素朴な味わいです。

『暗黒館』に対する率直な感想を著者に述べたところ、あっという間に「暗黒館に文句を言ってるのは大森だけ」という話に(笑) そ、そうだったのか。面と向かってけなす人はあまりいないらしい(当然です)。
 いや、オレもべつにけなしたわけじゃなくて、最初のところに××××って書いてあるのはちょっと……みたいなことを言っただけですが。この小説に関してはアヤツジ氏も強気と弱気のあいだを揺れ動いている模様。もちろん「よかったさがし」はいくらでもできるんだけど。

 明日のサイン会のために今夜の新幹線で京都に帰るアヤツジ氏ほかと帝国ホテルのバーラウンジでお茶。あとの話題はもっぱらmixi。みんな、いつの間に……。田中啓文は毎日mixiで今日のネタを披露してるらしい。ふうん。数カ月前に柳下毅一郎から誘われたまま、めんどくさいなあと思って放ってたんだけど、やっぱりやらなきゃだめですか。
 さいとうよしこも今週からはじめたらしいし、そろそろかな……。



【9月18日(土)】


 というわけでmixiをはじめる。えーと、ここに日記書けばいいんですか? みたいな。



【9月19日(日)】


 子連れで新左近川親水公園に出かけて足漕ぎボートに乗る。意外と疲れる。芝生にシート広げて弁当食べながらmixiを探索。ふうん。



【9月20日(月)】


 第3回このミス大賞の最終候補作をぼちぼち読みはじめる。今回は本命不在?



【9月21日(火)】


 太田出版との打ち合わせのついでに丸の内オアゾの丸善を見学。東西線大手町から直結してるのでけっこう便利かも。うちからいちばん近い大書店?
 創元、早川のSF文庫棚にしっかり本がつまってると思ったら、同じ本が何冊も棚差しに。じっくり見ると、意外と揃ってません。
 場所柄、ビジネス書、経済書は強いみたいだけど、マンガとかライトノベルとかは相当に手薄。池袋ジュンク堂、渋谷ブックファーストに勝てないのはもちろん、これなら馬場の芳林堂のほうがまだ使えるかも。
 と思いつつ洋書売り場を覗いたら、ちゃんと洋書の香りがしてちょっと感動。本はベストセラー中心なんだけど、その山の中にベスターのReDemolishedが並んでてびっくり。ウッディ・アレンとの対談とか入ってるやつ。
 値段見たら1000円ぐらいだったんでつい買ったちゃったんですが、直後のファンタジーノベル大賞で会った中村融に強奪されました(笑)。ま、ベスター短編集の編者のところにあるほうが正しかろう。

 あとは店内の喫茶店で、観光客らしき人々の大群に混じって地味に打ち合わせ。観光地で仕事すんなよ! みたいな雰囲気。回転率を上げるためでもないだろうけど冷房ががんがんに効いてて、Tシャツに半ズボンだった太田出版K氏は風邪を引いたらしい。

 終了後、そのK氏とぶらぶら大手町を歩いて日本ファンタジーノベル大賞授賞パーティ。
 新潮社版『電車男』担当編集者の美女(本物)G嬢に初対面の挨拶をして、出版に至る経緯を根掘り葉掘り取材。本がベストセラーになって映画になって月9でドラマ化コースに期待したい。300万部は無理としても30万部は。
 G嬢はリアル電車男氏と対面したらしいが、エルメス嬢は写真も見てないそうです。ぜんぶネタだったら天才だけどなあ。じつは××××だった! ってそれは『ハサミ男』です。そういえばとっくに完成してるはずの映画の公開はどうなったんだっけか。

 パレスホテルの二次会は例によって新潮社社内情勢のフォローに費やされる。鈴木光司によるとDark Waterのシナリオは凄いらしい。本多孝好の初版部数を聞いて驚く。売れてるとは思ったけどそこまでかい。



【9月23日(木)】


 祝日なのでトキオ社長のおともで西葛西図書館。
 紙芝居コーナーがあり、要求に応じてムーミンのやつを読んでみた。ムーミン一家がサーカス見物に行く話。
 しかしサーカスは最後の一枚で、あとは「じどうしゃのただしいのりかた」と「こうつうあんぜんのルール」だった。
「だからちゃんとチャイルドシートにのりなさいといったでしょ、スニフ」とムーミン・ママはいいました。みたいな。 めちゃめちゃむかつく。
 クレジットがまったく入ってなくて、著作権がどうなってるのかも疑問。マーチャンダイジング権なのか。
 ディズニーのアニメ絵本もけっこうすごくて、一冊にいろいろ入ってるやつだと、白雪姫が最初にお城へ行くところでめでたしめでたしになっちゃってたり、眠れる森の美女が「うっかり忘れてたけど、今日はおたんじょうびでした」って話になってたり、もうわけがわかりません。



【9月25日(土)】


 このミス大賞選考会。
 1200万円の行き先が決まる選考会だけあって、用意された軽食も超豪華。200円の鮭イクラおにぎりをおいしくいただきました。サンドイッチはampm製。おれはどっちかというとTully'sのがよかったよ。
 結果の速報はこことか参照。
 意見が割れた挙げ句の2作受賞。町井さんは残念でした。話は面白いんだけど。

 茶木さんは有名女性書店員引き抜き工作に邁進中の模様。聖蹟桜ヶ丘店オープンに向けて多忙な日々と言いつつ、その実体はハーレム化計画か。強引な工作により、ミステリチャンネル恒例の年末特番「闘うベストテン」も、船橋で公開録画されることが決定。トヨザキ社長が怒ってます。しかしなぜリハーサル室。船橋市における茶木店長の政治力に重大な疑念を抱かざるを得なかったり。
 しかし本の雑誌既報の、「ときわ書房本店で何冊買ったら棚がひとつもらえます」システムは興味が。そこで自分の本売ってもいいのかな。茶木さんに訊くの忘れた。

 ちなみに茶木則雄さんはパソコンが壊れたのでここしばらくメールとかまったく見てないそうです。

 打ち上げ終了後、香山さんと池袋にまわって、豊崎ライター講座の打ち上げに合流。有名女性書店員の人々と有名女性書店員の噂話とか。よく知らない業界の話はおもしろい。書店業界でもmixi流行中とか。



【9月26日(日)】


 mixiは知り合い系サイトじゃなくて再会系サイトだそうですが、10年前に一度会ったきりみたいな人と気軽に連絡がとれるのはいい感じ。日記リンクス初期の人々もいっぱい。
 しかしいい加減にしないと仕事が……。

 大森の知り合い関係で、mixiはじめたいけど招待が来ないって人がいたら適当にリクエストしてください。自分のサイト持ってない人はとくに利用価値が高いんじゃないかと。知り合いの輪で広がるから、はてなより敷居が低いかも。
 狂乱西葛西日記が全公開なので、mixiのほうは友人限定公開中。オンライン/オフライン知り合いの人は、マイミクシィ追加リクエストもお気軽にどうぞ。べつにやばいことは書いてませんが。



【9月27日(月)】


 試写はしご。今日は邦画3本立て。
 塚本晋也『ヴィタール』は解剖ラブストーリー。体温の低い舞城王太郎みたい。
 崔洋一『血と骨』は、全然関係けど『旅芸人の記録』をちょっと思い出したり。重量級です。しかしまさか濱田マリがねえ。
 小中『Ultraman』は別所哲也vs大澄賢也。壮絶なキャスティングでした。ううむ。試写に来てた庵野さんに『REキューティーハニー』の話をちょっと聞く。東映の現場もたいへんらしい。




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