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メッタ斬り!版 131回芥川賞、直木賞選考会
●コニー・ウィリス『犬は勘定に入れません』(→amazon | bk1)。ISBN:4-15-208553-3 | CW日本語サイト | CW特集@bk1
●豊崎由美/大森望『文学賞メッタ斬り!』(→amazon | bk1 | ABC | eS! books)。ISBN:4-89194-682-2
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●シオドア・スタージョン『不思議のひと触れ』(河出書房新社1900円)発売中→bk1 | amazon


【8月11日(水)】


 M・ナイト・シャマラン『ヴィレッジ』の内覧試写。結末を口外しないという誓約書にサインする趣向。『サイン』と違って、一瞬でネタバレはしません。麻耶雄嵩みたいだなあと思いながら見てたけど、ネタはかぶってないので安心。



【8月12日(木)〜14日(土)】


 夏風邪を引き込んで――というか、半ばクーラー病で不調。仕事の気力がないのでひたすら本と原稿を読む。エアコンの風に当たりながら寝ちゃいけないとはわかっているのだが。コミケに行く体力のある人々がうらやましいというか、京大SF研コミケ合わせ東京宴会もパスすることに。と言いつつ夜中はずっとオリンピック見てるんだけど。



【8月15日(日)】


 やや復活したので《本の雑誌》原稿。《通訳・翻訳ジャーナル》別冊の『翻訳入門』原稿。『ヴィレッジ』劇場パンフレット原稿。シャマランは新本格作家だ! という話。いや、ほんとに。



【8月19日(木)】


 幻冬舎《ポンツーン》の仕事で大阪。しかも新幹線ひかり号。《じゃらん》の「ひかり+ホテル一泊」パックで、合計22,000円ぐらいというお徳用なんだけど、ひかりは指定券の変更もできないし途中下車も不可だって。幻冬舎が貧乏なわけじゃなくて、担当S藤氏の趣味らしい。ひかりで大阪まで行くなんでめちゃめちゃひさしぶりです。

 編集者ふたりといっしょに新大阪→天王寺→藤井寺と電車を乗り継ぎ、藤井寺球場を横目に見ながらタクシーで黒川博行邸にお邪魔して「ミステリーの書き方」シリーズのインタビュー。今回は会話の書き方篇。黒川さんがばっちり準備を整えてくれていたので楽勝。

 黒川さんが忙しいので自宅インタビューだったはずが、インタビュー後は結局キタで呑むという話になり、今度は黒川邸からタクシーで梅田へ直行。
 オリンピックのおかげで徹夜の大森は先に退散し、サンルートまでてくてく歩く。一階に入ってる人気の回転寿司屋で夕食をとり、部屋で爆睡。



【8月20日(金)】


 新大阪の喫茶店で黒川インタビューを原稿化。午後のひかりで名古屋へ向かい、インターネット予約したハミルトンホテルに投宿。キャプテン・フューチャー復刊記念(笑)。いや、繁華街周辺ではここが一番安かっただけですが。税サ込み4000円。
 しばし休息ののち、山本屋で味噌煮込みうどんの昼食。伏見〜栄界隈をぶらぶらしてから、名古屋入りしたコハマ夫婦とPARCO前で合流。夕食は風来坊・プリンセス通り店で手羽先と名古屋コーチン焼き鳥とひつまぶし。

 ホテルに戻り、明日に備えて早寝しようと思ったのに、女子自由形800メートルでたいへんなことが。つい目が冴えて女子サッカーの日本×アメリカ戦を見てしまい、眠れないまま小川一水『復活の地2』と久美沙織『偽悪天使』を読んでたら朝になる。
 SF大会会場に併設のホテルはすでに定員オーバーと聞いたので、ネットで調べてサンルート岐阜を予約。またサンルートかよ!



【8月21日(土)】


 寝るのをあきらめ、ホテル向かいの喫茶店でモーニング。名古屋なのにトーストだけ。お茶も出ない。これなら高知の喫茶店のほうがはるかに優秀。

 タクシーで名駅に乗りつけ、名鉄で岐阜へ。名古屋と岐阜ってこんなに近いのか。とりあえずサンルートに荷物を置きに寄ったら、青山智樹一家と遭遇。んじゃ、一緒にタクシーで行きますかと駅のタクシー乗り場へ戻ったら、SF大会参加者の群れが。

 さすがに生後2カ月の赤ん坊は連れてこられないってことで、今回は大森の単独参加。
 徹夜でやってきたという塩澤編集長とタクシーに乗り、会場へ。最近、(〈本の雑誌〉新刊SF時評の評価が)Jコレに厳しすぎるんじゃないですかとうらまれてる模様ですが、あれは自分のSF魂に忠実に★をつけてるだけなので。しかし塩澤編集長は日本で一番あの★印を気にしている編集者かも。電話で本の感想をしゃべってても、最後は必ず、「で、星はいくつぐらいですかね。四つは行くと思うんですけど」とか言うんだよな。

 まだ企画ははじまらないというのに長良川国際会議場はすでに善良なSFファンたちでごった返している。みんなファングループ連合会議に出るのか? オープニングまでなにするの? と思ったらぼちぼとディーラーズルームは開くらしい。
 安藤忠雄設計の館内はどこになにがあるかさっぱりわからず、アクセス最短ルートも不明。このエレベーターはどうして2階止まりですか? 会場をぶらぶらしはじめて30分で暗黒星雲賞を確信(笑)。

 連合会議をちらっと覗き、無人のゲストルームで休憩し、ロビーでいろんな人に挨拶してるうちにオープニング。
 祝、三村美衣、柴野拓美賞受賞。亭主が受賞したときはさんざん罵倒してたくせに、いざ柴野さんから電話がかかってくると断れないらしい(笑)。しかしファン活動って何やってるんだ。あ、クイズ!SFヘキサゴンか。ま、あそこまで行くと、「オレがメシを食ってる。それがファン活動だ」の世界かも(若い人のために解説すると元ネタはナベサダです。さらに解説すると、渡辺貞夫というジャズのえらい人が、昔、そういうことを言ったんですね。ファン活動じゃなくてジャズだけど)

 昼飯は近所の昭和30年代風食堂で森岡浩之、水鏡子その他とみそカツライス。たまに食うと妙にうまい。
 今日は企画がないので、あとは適当にぶらぶら。よく考えたら、大阪からいったん東京にもどって、日曜に日帰りすればよかったんじゃん。
「作家とファンのリビングルーム」に呼ばれたので、森下さんと四方山話をしつつ、数人の奇特な人にサイン。しかし色紙はやめてほしい。あんなでかいものになにを書けと。プログラムブックのうしろをサイン帖にするとかにすればいいのに。

 企画終了後は明日の「クイズ!SFヘキサゴン」のランスルーに呼ばれてセッティングを見物。回答をその場でスキャンしてプロジェクターに映すとか、けっこう本格的です。イベント慣れしてるスタッフ(柳澤・勝木組)は違うね。

 猛烈に腹が減ったので、またしても小浜夫妻と近くの無国籍居酒屋。渋谷とかにあるとまあふつうの店だけど、長良川国際会議場周辺ではかなり異色。ここでも手羽先。

 裏合宿に行く柴野賞夫婦と別れてタクシーでホテルにもどり爆睡。



【8月22日(日)】


 朝っぱらから「クイズ!SFヘキサゴン」。
 長谷川裕一、北野勇作、久美沙織、小川一水、笹本祐一、とり・みきと豪華回答者を集めたせいか、会場は大入り満員。大森は司会担当。島田紳助の係ですね。

 最初に×××で消えるという予想がもっぱらだった北野勇作が意外にも物知りなところを見せ(「マトリックス・レボリューションズ」を正しく書けた人間がほかに誰もいなかったのはどうかと思いますが。北野勇作も間違ってたけど、三村美衣が思わず正解判定を出してしまったのでセーフ)、出題ターンでも、5人のうち不正解だった2人にヘキサゴンするという試合巧者ぶりを披露。

 しかし、今回すばらしかったのは、正解がわからないときのボケ芸。あの数秒間でよくそんな優秀なボケを思いつくなあ。これが「SF笑点」なら、とりさんの優勝だったかも。

 紳助担当者としては、本家ヘキサゴン風に、出場者が出題にまわったときプロフィール等を紹介するつもりで「全員の新刊を一応読んでおく」という予習をしていたにもかかわらず、本番ではすっかり忘れてました。

 大会のお客さんはすばらしく反応がいいので司会は楽勝。三村美衣作成の問題も、フタを開けてみるとなかなか優秀なバランスで、全員正解は1問だけだったんじゃないかな。
 優勝は、思いきり本気モードで正しく盛り上げてくれた久美沙織さん。時間ぴったりに終了して、めでたしめでたし。

 しかし司会者はやってるあいだずっと立ってなきゃいけないので思いきり疲れた。

 一休みしてメシ食ってから、午後は翻訳家パネルの司会。柴野さんからノウン・スペースに対する熱い思いとか、いろいろ貴重な話を聞けたのが個人的には収穫でした。

 仕事も済んだし、エンディングはすっ飛ばして帰るか――と思ったら、「クイズ!SFヘキサゴン」が暗黒星雲賞企画部門を受賞したんで、授賞式に出てくれと言われてメインホールの舞台裏に拉致される。といってもオレは雇われ司会だし。と思ったら、企画発案者の三村美衣がいたので捕まえて一緒に裏からエンディングを見物。
 星雲賞と暗黒星雲賞の同時受賞はよくあるけど(今回も小川一水が該当。その前は秋山瑞人だっけ?)、柴野拓美賞と暗黒星雲賞の同時受賞は初めてかも(笑)。
 オレも、この賞だけは一生縁がないと思ってたのでたいそう驚愕。投票してくださった皆さん、ありがとうございました。賞品の巨大な暗黒星雲賞幟は優勝者の久美さんが無事に(大喜びで)ひきとってくれてひと安心。

 終了後は、F原@TRC、東京創元社の新人のF嬢、塩澤編集長と4人でタクシーに乗り岐阜駅。駅ビルの居酒屋で夕食をとりつつ、F嬢の意外な素顔に仰天する。まさかそんな過去があったとは。そんな人がなぜ東京創元社に!

 名古屋からのぞみで帰京。タクシーで家に帰ってばったり。



【8月23日(月)】


 ミステリチャンネル「ブックナビ」の収録。年末スペシャル「闘うベストテン」をどこで収録するかが二転三転中。場合によっては公開録画になるかも。



【8月24日(火)〜30日(木)】


 9月8日売りの《SPA!》ニュースページに「発掘SF流行」に関する原稿。スタージョンとかウルフとかハミルトンの未訳発掘がまさか週刊誌の記事になろうとは。この原稿用に選んだ「発掘SF10選」は以下の通り。

*原書刊行年順。
■は原書のある短篇集(連作含む)。
日本オリジナル編集の短篇集(□マーク)は収録作の発表年にだいたい準拠。○は長篇。

□エドモンド・ハミルトン『フェッセンデンの宇宙』中村融編訳/河出書房新社 1928〜1962
○オラフ・ステープルドン『最後にして最初の人類』浜口稔訳/国書刊行会 1930
□シオドア・スタージョン『不思議のひと触れ』大森望編/河出書房新社 1938〜1961
□ジェラルド・カーシュ『壜の中の手記』西崎憲ほか訳/晶文社 1938〜1968
□シオドア・スタージョン『海を失った男』若島正編/晶文社 1947〜1959
○ジョン・D・マクドナルド『金時計の秘密』本間有訳/扶桑社ミステリー 1962
○ウォルター・テヴィス『地球に落ちてきた男』古沢嘉通訳/扶桑社 1963
■デイヴィッド・イーリイ『ヨットクラブ』白須清美訳/晶文社 1968
■ジーン・ウルフ『ケルベロス第五の首』柳下毅一郎訳/国書刊行会 1972
○タニス・リー『バイティング・ザ・サン』環早苗訳/1976〜1977

 次点はスターリング『塵クジラの海』。再刊を除いたので、カルヴィーノとかは入りませんでした。しかしこの2年ぐらいでこんなに出てるのか。

 他にはアスキーのコラム原稿(Baen Free Libraryとか)週刊新潮の書評(舞城王太郎『好き好き大好き超愛してる。』)、小説すばるの書評(佐藤哲也『熱帯』)、メンズ・エキストラの映画評(『美女缶』)とか。あとはひたすらホラサス一次通過作の原稿を読みつづける。

 台風の影響か、週末、トキオがひさびさに喘息発作を起こし、またも5日間の入院加療。知恵がついてきたから夜は泣いて大変だろうと思ったら意外と聞き分けがよくて助かった。昼間はベビーシッターと栃木からやってきたさいとう母が大活躍。



【8月31日(火)】


 ホラサス最終候補決定会議@新潮社。一次通過19本のうち、大森がマルをつけたのは5本。そのうち4本が残ったんで、ほぼ順当な結果でしょう。あとの1本も次点評価だったやつだし。

 終了後はおなじみのイコブで打ち上げ。幻冬舎S藤氏は、ホラサスの原稿を読むために自費で四日間ホテルにこもってたらしい。偉いのか偉くないのかよくわかりません。




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