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●予想は当たるか? 結果判明は今夕。メッタ斬り!版 131回芥川賞、直木賞選考会
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【6月28日(月)】


 トキオを保育園に連れてってから、臨海病院にまわり、名無しさんとその母の退院付き添い。前回とくらべると入院期間が短かったんで、さほどの荷物もなく、退院手続きもあっという間に終了。タクシーで帰宅し、レンタルのベビーベッドに新生児を安置。高知に帰るうちの母親を駅まで送ってから仕事。

 夕方から、荻窪の旅館《西郊》で《ユリイカ》文学賞特集の座談会。メンバーはトヨザキ&大森のメッタ斬り!コンビ+島田雅彦。1961年生まれの3人による芥川賞予想鼎談――じゃなくて、芥川賞とほぼ同じレギュレーションで候補作6本をユリイカ編集部が独自に選び、最優秀作品を顕彰する賞(その名もZ文学賞)の選考会なのである。
 候補作は以下の通り。

福永信「コップとコッペパンとペン」(文學界3月号)
絲山秋子「勤労感謝の日」(文學界5月号)
佐川光晴「弔いのあと」(文學界5月号)
鹿島田真希「白バラ四姉妹殺人事件」(新潮3月号)
舞城王太郎「好き好き大好き超愛してる」(群像1月号)
松井雪子「日曜農園」(群像5月号)

 断片的に伝わってくるA賞候補と重なってるものがあったりなかったり。今回つくづく思ったんだけど、A賞候補はN賞やM賞やY賞と比べて分母が圧倒的に小さい。例外はあるにしても、基本は文芸誌5誌に過去半年間に掲載された中篇が対象で、過去にA賞をとっていない若手作家(40歳ぐらいまで。A賞候補歴5回ぐらい以内)の作品に限られる。実質的な分母は30本ぐらいじゃないですか。つまり、受賞可能性のある作家が文芸誌に100枚以上の作品を寄稿すると、5分の1ぐらいの確率でA賞候補になるわけですね。こんな特殊な世界の出来事が国民的関心事になってるところがA賞の不可思議さかも。
 なにが受賞したのかは7月25日ごろ発売のユリイカ本誌を見てください。たいへん順当な結果だと思うんだけど。

 なお、A賞(およびN賞)の受賞作予想対談(トヨザキ×大森)は、7月15日の選考会当日未明に、エキサイト・ブックス上に掲載される予定(掲載されました→メッタ斬り!版 芥川賞、直木賞選考会)。

 エキサイト・ブックスと言えば、語り下ろしの新版「ベストセラー本ゲーム化会議」も好評連載中。『世界の中心で、愛を叫ぶ』の次が『人間失格』っすかー。この流れだと、次回は舞城王太郎「好き好き大好き超愛してる。」とかどうですかね。『空の境界』でもいいけど。いやむしろ『邂逅の森』か。『黄金旅風』も楽しそう。

 ちなみに新・ゲーム化会議の第0回は、『動物化するポストモダン』編。去年ダ・ヴィンチでやった『ブレイブ・ストーリー』編のロングバージョンも、ここで読めます。

 Z文学賞選考会終了後は高円寺に移動して、なぜか朝日新聞学芸部主催(?)の親睦会。島田さんが朝日の文芸時評やってる関係らしい。青山真治、佐川光晴、中原昌也など各氏が合流。佐川さんとは初対面。こ、こんな人だったとは……。わりと意外。あと、島田雅彦氏は相当負けず嫌いだと思いました。じゅうぶん勝ってるんだから、なにもあらゆる分野で勝ちにいかなくても(笑)

 大森は終電で帰宅したんだけど、トヨザキ社長の報告によれば、このあとカラオケになって、朝まで中原昌也が壊れたジュークボックスのように壊れた歌を歌いつづけたらしい。1曲ぐらい聴くべきだったか? しかしオレも二児の父だしな。

 ちなみに、女の子が生まれたんだけど名前はなにがいいと思いますかと訊ねたところ、「美智子」と即答してくれたのは島田雅彦だ。

 書くのを忘れてましたが、先週金曜日(三島賞・山本賞宴会の前)は、日経BPから今月下旬に刊行予定の『ライトノベル完全読本』に収録される冲方丁×古橋秀之対談の司会業。冲方くんのライトノベル業界再構築構想というか、システム開発論が爆発してます。そんなこと考えてる作家はほかにいないだろう。いや、原稿化作業を逃げちゃったので、掲載されるものがどうなったのか知りませんが。



【6月29日(火)】


 第一ホテル東京で日本推理作家協会賞授賞パーティ。選考経過説明によると、長編部門も短編部門も今回は一瞬で決まったらしい。まあ、長編(および連作短編集)部門に関しては予備選考も一瞬でしたからね。
 協会賞は、どれかの部門で受賞すると、他の部門でも受賞資格を失う(部門が違っても複数回受賞を認めない)規定があるため、今回、同時に二部門で候補になってた伊坂幸太郎の扱いが注目だったんですが、長編部門は『ワイルド・ソウル』『葉桜』が最初から抜け出した一方、短編は伊坂幸太郎「死神の精度」がダントツ人気だったので、調整作業の必要もなく順当に決まったんだとか。
 しかし「死神の精度」って、(枚数の制約上、ある程度はしかたないとはいえ)ネタがすぐバレちゃうし、伊坂作品としては水準作じゃないかと思うんだけど……。

 出方が(個人的に)注目された千街晶之の受賞挨拶、今回は、極端にスクエア。もっと自己アピールしる! と思ったら、あとで本人から、「本格ミステリ大賞のときの挨拶が大森さんの日記で『ただのミステリおたくみたい』と言われてしまったので」と弁明あり。オレのせいかよ! まあしかし、そういうところが千街晶之の芸風かもしれないので、過剰な真面目さは強くアピールしたと言えるのか。

 パーティーでは、「『メッタ斬り!』読みましたよーっ!」と石田衣良氏。「面白かったですよー。あのぐらいはぜーんぜんOKですよ。じゃんじゃん言ってください」
 内心ややびくびくしてたんですが(小心者)、さすがの余裕。いや、悪口言ったつもりはないんだけど。

 二次会は、まず歌野・千街組から。Let's Note R3購入検討中という歌野さんに実機を見せて、買うときはくれぐれもうち経由でamazonからと営業する(笑)。
 途中から、やはりLet's Noteユーザーだという伊坂さんの二次会。伊坂幸太郎は人柄が良すぎるというのが持論なので、もっといろいろ悪だくみをしてほしいと要望。女性書店員のみならず、女性編集者にももてもてらしい。

 三次会は数寄屋橋ビッグエコー。双葉社H女史(伊坂ファン)、竹本健治氏と、なぜかキティ〜ピンポイント時代の昔話に花が咲く。3時ごろタクシー帰り。



【6月30日(水)〜7月4日(日)】


 メンズ・エキストラと小説すばるの原稿。前者は「デビルズ・バックボーン」、後者は「電車男」(笑)。いや、ほんとは週刊新潮でやりたかったんだけど、本じゃないとダメだと言われたので。まあ、そりゃそうだよな。「電車男」は各社、単行本化に動いてるようですが、いったいどこから出るんでしょうか。

 ホラサス一次選考の箱を返してコメントを送り、キネ旬のアニメ映画オールタイムベスト・アンケートに回答。間に合ったかどうかわかりませんが、順不同で、以下の10本を選ぶ。

『新世紀 エヴァンゲリオン劇場版 THE END OF EVANGELION Air/まごころを、君に』
『王立宇宙軍 オネアミスの翼』
『うる星やつら2 ビューティフル・ドリーマー』
『モンスターズ・インク』
『ナイトメア・ビフォア・クリスマス』
『超時空要塞マクロス 愛・おぼえていますか』
『銀河鉄道の夜』
『ルパン三世 カリオストロの城』
『少女革命ウテナ アドゥレセンス黙示録』
『機動戦士ガンダム 逆襲のシャア』

 チェコの敗戦でEURO2004も事実上閉幕。決勝なんか、なかったも同然だよな。ギリシャの戦術が時代遅れなどと批判するのは当たらない、みたいな論調が目立ちますが、つまらないものはつまらない。ちぇ。
 というわけで、恒例の(?)ベストイレブンを選んでみました。1980年代生まれ限定。

 FWはルーニー、バロシュが当確。カッサーノは顔が嫌いなので、あとひとりは曲芸ゴールを決めたイブラヒモヴィッチかクリスティアーノ・ロナウド。
 MFはロシツキーとスナイデル、ロッベンが当確。あんまりぱっとしなかったけど将来性に期待してシュヴァインシュタイガーも入れたい。ホアキン、イズマイロフ、ジェラードあたりは思ったほど活躍しませんでしたね。
 DFは(GKも含めて)人材難ですが、左がラーム、真ん中がセイタリディス、右がミゲル(またはハイティンハ)、控えにアシュリー・コール。正GKはカシージャスをクビにしてチェフを起用したい。
 こうして見ると、若手有望選手が多いのはオランダ。スナイデル、ハイティンハ、ファンデルファールトのアヤックス若手トリオに、ロッベンとバウマ('78年生まれ)のPSVコンビ、それにインテルのファンデルメイデ('79年生まれ)もいる。コクー、ダヴィッツ、ボスフェルト、オーフェルマルス、ファンホーイドンクあたりの30代が抜けたあとにうまく世代交代するとけっこう強くなるんじゃないか。
 いまだリザラズやデサイーに頼ってるフランスはすでに下り坂――と思ってると、ギリシャは平均年齢が異様に高いんだけど、ブリーザス、カラグーニス、ニコライディス以外は主力がほとんど国内リーグでプレーしてて、ワールドクラスの選手がひとりもいない分、使い減りしてないのでは。まあしかし、ギリシャがEUROでここまでやれるってことは、日本だってW杯優勝の可能性はゼロじゃないわけだ。



【7月5日(月)】


 いよいよ締切なので長女の名前を決める。
 紆余曲折の挙げ句、「最初に思いついた名前(キリコ)をちょっとひねる」という前回同様のパターンで、「桐夏」(きりか)と決定。

「メッタ斬り!」の夏に生まれたので「斬り夏」です。ウソです。ほんとは桐野夏生エドガー賞ノミネート記念。というのもウソですが、本の雑誌M村嬢からのメールによると、中川李枝子の名作『ももいろのきりん』のきりんの名前がキリカなんだそうで(すっかり忘れたので、あわててbk1注文)、対外的には『ももいろのきりん』からもらったことにしよう。いや、女の子の名前は「るるこ」なんだけど。
 ちなみに、
「おお、キリカといえば、グレンダイザー!
きっと悲劇の美少女に育つことでしょう(おいおい)。
第3子はカリプスちゃんで。」
 というメールをよこしたのは小川びいです。グレンダイザーだったのか……。

「初夏」と書いて「はつか」と読ませるという案も気に入ってたんですが、難読だと却下。キリコなら、『鳥類学者のファンタジア』の「希梨子」がよかったんだけど、万葉仮名っぽい当て字はいやだという声でやはり却下。桐の花は夏の季語らしいからまあいいか。

 トキオの妹なんだから、ひっつめ三つ編みはどうかと思って原典に当たったところ、名前は美津子さんでした。お母さんは二三子ね。少女マンガ登場人物名リストのサイトとかあると便利なのに、意外とないのだった。

 とにかく名前が決まったので、葛西事務所に出かけて出生届けを出し、各種手続き。

 トキオは早くも妹萌え状態に突入し、「きりかちゃんに本を読んであげるのー」とか、「おなかすいたの、きりかちゃん?」とか、いろいろ言ってます。先が思いやられることである。

 沢村凛の連作ミステリ短編集、『カタブツ』(→amazon | bk1)をぱらぱら読んでたら、これが意外な傑作。皮肉な人間関係ミステリーとしてたいへんよくできてます。とくに、「とっさの場合」とか「袋のカンガルー」とか。関口苑生大兄の推薦文は誉めてるんだかなんだかよくわかんないんだけど(誉めるのに困ってるように見える)、初のミステリなんだからもっと正面から誉めてあげればいいのに。  直木賞、山本賞はわかりませんが、推理作家協会賞の候補にはぜひ選んでほしいと伝言>そのへんのひと。




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