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【10月1日(水)】


 映画の日なので妙典のワーナーマイカル。『閉ざされた森』『トゥームレイダー2』とあとなんかもう一本。『閉ざされた森』は『JSA』系の藪の中ミステリ。アンフェアと言えばアンフェアかもしれないが、生き残りの証言による再現ドラマの真実性は最初からまったく保証されてないわけだし、「わざわざそんなことするかよ」的な疑問の嵐は一応解決してくれるため、結末で好感度アップ。『トゥームレイダー2』は途中寝てました。前作は面白かったのになあ。

 しかし妙典でぼんやり映画を観ているあいだに、小松左京賞の授賞パーティが開かれてたんでした。ノートPCのカレンダーソフトに記入を忘れると行事のことをまったく覚えていられない罠。失礼しました。



【10月2日(木)】


 文学賞対談3回目。
 アライさんから中間小説誌・文芸誌新人賞受賞作のゲラ等々を大量に送ってもらったので、まとめて読んだんですが、短編に関する限り、文芸誌の圧勝。というか、《小説推理新人賞》《オール読物推理小説新人賞》《オール読物新人賞》《小説現代新人賞》あたりが軒並み惨憺たる有様。
 オールの新人賞を『パパの分量』で、小説現代の新人賞を『ゴーストライフ』でそれぞれ獲得した竹村肇が目立つ程度。この人の作品はどっちもSF系で、とくに『パパの分量』のほうは1970年代の中間小説誌に載ってたウェルメイドな日本SFのテイスト。かんべむさしとか岬兄悟とかのラインですかね。いまこういうの書く人がいないので、単行本が出れば意外とウケるかもしれない。
 この2作以外の短編は首を傾げるようなやつがほとんどで(とくに《小説推理新人賞》の自転車泥棒の話「真夏の車輪」とか)、つまりエンターテインメント業界は読むほうも書くほうも長編にしか目が向いてないんじゃないですか。筆力がある人が長編にまわって、短編は空洞化しているのか?
 それに比べると純文学系のほうは楽しく読める作品が多い。《すばる文学賞》なんか一挙に三作も受賞作が出てますが、話題の伏見憲明「魔女の息子」以外の二作もなかなか。17歳の男子高校生が書いたという壮絶かつ陰湿な兄弟喧嘩小説『黒冷水』には爆笑。オチはあんまり決まってないし、むしろファウスト賞じゃないかって気もするけど、こういう作品にあえて賞を出す態度は立派かも知れない。
《文學界新人賞》の絲山秋子『イッツ・オンリー・トーク』は楽しい蒲田小説だし、文藝賞の2本も悪くない。
 しかし、純文系の新人賞なら安心かというとそんなことはなく、朝日新人文学賞受賞作の(つい最近単行本化されたばかりの)駒井れん『パスカルの恋』は驚くべき密度の低さを誇る。アレとかコレとかメジャーな先行作のタイトルがすぐ浮かぶ上にもうスカスカ。いや、このぐらいのほうが今は売れるかもしれないけど、それにしても……。
 ちなみに選評がいちばん面白いのはダントツで《文學界新人賞》。《朝日新人文学賞》の苦渋に満ちた選評もそれなりに楽しめますが。



【10月3日(金)】


 これは忘れていなかった創元三賞の授賞パーティ@飯田橋ホテル・メトロポリタン・エドモント。創元推理評論賞は今回が最後、創元推理短編賞も次回からミステリーズ新人賞だかに冠が変わるので、一種の節目かもしれない。
 鮎川哲也賞受賞作は、森谷明子『千年の黙 異本源氏物語』。紫式部がホームズ役をつとめ、前半では猫の消失、後半では「かがやく日の宮」消失事件をフィーチャー。丸谷才一と合わせて読むと解釈の違いが面白い。ワトソン役の女童あてきのお転婆ぶりも楽しく、最近の鮎川賞受賞作ではピカイチの出来かも。

 例年二次会はタゴールなんですが、今年は予約がとれなかったとかで参加者の自助努力となり、数十人がぞろぞろと神楽坂を放浪。『サウンドトラック』名所旧跡めぐりの会、みたいな。しかしエドモントから地下鉄東西線神楽坂駅前のドトールまで歩こうとは。



【10月4日(土)】


 横浜中華街の揚州飯店別館でお昼から柴野さんの喜寿のお祝い会。黎会と宇宙塵とその他の関係者数十人が大集合。夕方近くまでえんえんと食べつづけてました。オレは岡本賢一にテディ文庫の話を取材(笑)。
 横浜から馬場に迂回して帰宅。



【10月6日(月)】


 大沢オフィスで宮部みゆきインタビュー。というか、インタビューするまでもなく宮部さんが気を遣ってどんどん話を振ってくれるので、なにもすることがありません。



【10月8日(水)】


 トーレン社長のお供で出版社をまわったあと、新宿スペースゼロで谷山浩子コンサート猫森集会2003。今日はオールリクエストデーのプログラム。オールリクエストは初めて見たんですが、これは楽しい。講談社U山夫人が実力で見事リクエスト権をゲットし、「時計館の殺人」呼び出しに成功したことはとくに記しておきたい。
 隣の席にすわった女性にどうも見覚えがあるんだけど、この人はいったいだれだっけ。終了後の楽屋でも一緒になり、挨拶しながらずっと考えてたんだけど思い出せず、帰宅してからようやく天啓が。岩男潤子さんでした。もっとはやく気づけよ。うーん、あのへんとかこのへんとかの人に思いきり殴られそう。



【10月9日(木)】


 パルコで文学賞対談4回目。



【10月13日(火)】


 映画美学校試写室で『飛ぶ教室』と『昭和歌謡大全集』。ともにいまいち。
 妙典マイカルで『インファナル・アフェア』。こっちはこの数年に観た香港ノワールの中では上々の部類。



【10月15日(水)】


 ケラリーノ・サンドロヴィッチ初監督作「1980」は傑作。蒼井優の聖子カットにはやや複雑な思いですが、犬山イヌコがすばらしい。とくに夫婦喧嘩のシーン。小劇場っぽい演出がこんなに気持ちよく決まってる映画は珍しいのでは。かつてテクノ少年だった40歳前後の人は必見。

 タランティーノの「キルビル」は……なんというか妙に気恥ずかしくなる映画。栗山千明のGOGO夕張とか、すばらしいところはものすごくすばらしいんだけどなあ。日本語は吹き替えにしてほしかった。あと青葉屋の(夕張登場前の)立ち回りは長すぎ。



【10月16日(木)】


 クァク・ジェヨン監督「ラブストーリー」は、韓国ドラマらしいベタな展開が逆に新鮮。日本では半世紀ぐらい昔に持っていかないと成立しない話かも。
 劇場版「木更津キャッツアイ」は映画になってない。前半はほとんど拷問。だからテレビのギャグは映画には合わないんだってば。



【10月17日(金)】


 文学賞本の取材を兼ねて、谷崎潤一郎賞・婦人公論文芸賞贈賞式@丸の内パレスホテル。純文系のパーティはやっぱりかなり雰囲気が違いますね。20年ぶりぐらいで宮尾登美子先生にお目通り。



【10月18日(土)】


 近くの小学校の体育館を借りて保育園の運動会。運動会開催キットみたいなのがあるらしく、ちょっとしたことで(万国旗を飾るとか)たちまちそれらしくなるのに感心。父親は当然ビデオ撮影担当(笑)。



【10月21日(火)】


 映画美学校第二試写室で「ヴァイブレータ」。寺島しのぶはこれと「赤目」で今年の主演女優賞確定か。個人的には大森南朋に一票。



【10月23日(木)】


 角川書店本社会議室で《本の旅人》用のホラー大賞座談会with東雅夫・茶木則雄。ホラー大賞ももう10回めですか。光陰矢のごとし。



【10月30日(木)】


 新宿ミラノ座で「マトリックス・レボリューションズ」。あまりのひどさに茫然。なんじゃこりゃあ!



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