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【5月1日(木)】


 とぼとぼ歩いて森山記念病院に入院しにいく堺三保(主に糖尿病)をそのへんで見送ってから、映画の日なので20時からワーナーマイカル妙典。

 どう見てもダメそうだと思って試写状を無視しつづけていた『ムーンチャイルド』ですが、(HYDEとGacktの二人芝居部分を別にすれば)意外といい出来。『ドッグ・スター』のときも思ったんだけど、瀬々敬久監督の最大のウリは、実は少女マンガ的センスでは。『ムーンチャイルド』は、『DEAD OR ALIVE3』の設定(近未来アジアンノワール)で『ポーの一族』をやる話。HYDEがエドガーでGacktがアランね。メリーベルもいるのでボーイズラブ的にはあっさりしてますが、ラストがラストなので大丈夫。最大の難点は、鈴木杏がかわいく撮れてないこと。あの服はちょっとどうか。バンパイア超能力を駆使した前半の短いアクションもけっこうよかった。

 つづいて22:30から、これまた試写に行きそびれていたパン兄弟のホラー『the EYE』。わりと評判がいいので、もし万一傑作だったらどうしようと思いつつ見たんですが、万一はありませんでした。あまりに古典的で退屈。いや、終電に乗るためエンドクレジットの前のラスト2分ぐらいを自主カットして劇場を出たから、その2分で傑作になったかもしれませんが。



【5月2日(金)】


 小説すばる新人賞一次の箱をかたづけ、『呪怨2』のプレス原稿。



【5月3日(土)】


 昼から、堺三保の電気たこ焼き機を持ってSFセミナー。
 飛浩隆企画の途中から入り、出渕裕企画の『ラーゼフォン』部分を途中から見る。すっかり不良参加者ですみません。牧眞司の突っ込みはなかなか鋭かったけど、『ラーゼフォン』劇場版の謎はあまり解けない。あと、(いろんなアニメの中でとくに選んだのが)「なぜSFアニメなのか」ってところにこだわってましたが、いまのTVアニメを日常的に見てない人ならではの質問かも。春の新番を見てもわかるとおり、TVアニメは(小説と違って)ふつうにつくるとSFかファンタジーになってしまう(というか、どっちでもないものをつくるほうが企画を通すのがたいへん)のである。なぜ国産TVアニメだけがそうなっちゃったのかっていうのは興味深い問題ですが。
 レム企画は、スタニスワフ伯父さんが甥っ子の書きとり用に語って聞かせた物語(の書き取りノートが復刻されて出版された)話が爆発的に面白かった。強烈に読みたい。国書のレム選集の全巻購入特典にしてください。

 トキオ社長はよそさまのお母さま方からアンパンマン人形をもらってご満悦。合宿所でも超ハイテンションですみませんでした。以下雑感など。
・合宿で食べるたこやきは意外とうまい。
・堺三保も東浩紀もいないせいか、アニメ部屋では小川びいが爆裂。
・どうぶつ図鑑の折り紙を折るのはけっこうたいへんぽい。
・両短編集にも入らないスタージョンの中編Killdozerがついに翻訳される模様。
・武部本一郎画集は当初の予価が8万円だったとか。

 帰り際、てつの本棚のCD-Rをその場で焼いてもらって購入。ウェブ上で公開されているデータ以外に、コラム類のデータも全収録されているので、田波正が《SFの本》に書いてたのは何号だっけとか、はたして柳下毅一郎は《SFアドベンチャー》に原稿を書いたことがあったのかとか、山田弘美(現・川上弘美)のデビュー作が載った《季刊NW−SF》は16号ですがそれ以外にどんな原稿を書いていたでしょうとか、そういう重要な疑問がたちどころに解決するのだった。
 ウェブ上で通販してるので、注文はいますぐてつの本棚へ。2000円は安いよ。(なんか、まだ3枚ぐらいしか売れてないらしい)。



【5月4日(日)】


 明け方帰宅して目を覚ますと、さいとう弟夫婦がクルマで迎えに来ていて、そのまま栃木方面に拉致される。清新町ランプ初体験。



【5月5日(月)】


 さいとう実家の近所にある運動公園で朝からピクニック。昼過ぎ、さいとう妹2号に送ってもらってひとりで宇都宮。上野から銀座線に乗って表参道行って、トカジマンを覗こうと思ったら、昨日で終わってました。てっきり5日までだと思ってたよ。
 しかたないので渋谷に出てブックファースト。SF棚の前で国書刊行会のT本氏とばったり出くわし、林チーフもまじえて立ち話。

 西葛西にもどって森山記念病院。SFセミナー組はだれも見舞いに来なかった模様(笑)。



【5月6日(火)】


 堺の心臓カテーテルを見物に行こうと思ったら、もう抜かれてました。検査の結果、冠動脈には問題がなかったので、スパゲティ状態は一瞬で脱したらしい。
 堺母のほか、添野知生とS水@SFM編集部も登場。
「こないだからこの子のうちに泊まってるんやけど、ピザの箱を三十個も捨てたんですよ」と愚痴る堺母に、
「あれは僕もなんとかしたほうがいいと思ってたんですよ。でも前に入院したときにくらべたら全然楽。あのときはゴミを捨てるのがたいへんで……」
 うんぬんと、ご母堂を相手に息子の私生活の内情を暴露しまくる添野知生。嫁ですか?

 点滴の針を抜きにきた美人ナースいわく、
「堺さんはほんとに肌が柔らかくて。もち肌ですよね」
 次の堺スレは、『堺、柔らかい肌』で決まり。



【5月7日(水)】


 渋谷ロッキンオン本社で《SIGHT》対談。編集部推薦タイトルで読んだ齋藤孝『質問力』って本がすごかった。ウェブ日記を書くときだってもうちょっと調べたり推敲したりするんじゃないですか。
 のっけから、「『コミュニケーション不全症候群』という言葉が出てきてひさしいが、そういう人々は一層増えている」だもんなあ。まあ忙しいでしょうから、中島梓の本を読めとは言わないが、なにが書いてある本かくらいはチェックしても罰は当たらないと思う。
 これに限らず、とにかく例示がことごとくピントはずれで大笑い。
 学校教育では解答力ばかりが重視されるが、ほんとに大事なのは質問する力だっていう話の例として出てくるのがこれ。
「たとえば数学で超難解と言われた「フェルマーの定理」が先年証明された。この定理を解いた人は確かにすごいが、一〇〇年以上も人々を楽しませてきたフェルマーはもっとすごいと私は思う。そういう問いを発せられたということが、非常に高い能力を有している証拠である。」
 フェルマーって16世紀の人だよね(まあ百年以上前には違いない)とか、定理が超難解なんじゃなくて、「定理そのものは超単純なのに証明が超たいへん」なんでしょとか、べつに問いを発したわけじゃなくて以下略とか、そういう話はともかくとしても、この「実例」のすぐあとに、「試験でも問題をつくる側の身になって考えれば、おのずから答えが見えてくる」みたいな結論が続くんだから開いた口がふさがりません。ここまでひどい本はひさしぶりに読んだ気が。やるなあ、筑摩書房。オビの売り文句も本の内容とほぼ無関係だし、いよいよ商業主義的に成熟してきたってことですか。

 北上次郎推薦はリチャード・ノース・パタースン『サイレント・ゲーム』と梓澤要『枝豆そら豆』と森絵都『永遠の出口』。この三冊では『永遠の出口』が傑作でした。



【5月8日(木)】


 SIGHT対談用に読んだ新訳の『ライ麦畑』で週刊新潮の書評。この翻訳なら20年前に出せばよかったのに。
 ちなみに原文はどっかに転がってるだろうと思って探したら、こんなところにありました



【5月9日(金)】


 西葛西にやってきた三村美衣・小浜徹也夫婦と堺三保の見舞い。添野知生は自転車で登場。元気なことである。堺はずいぶん血糖値も下がり、最近になく元気そう。やっぱり病院ダイエットがいちばん体にいいのか。来週火曜日にいったん退院して、16日金曜から六本木の心臓血管研究所附属病院に再入院して持病のほうの手術という段取りらしい。張れて無罪放免になるのは25日頃だそうです。

 渋谷シネマライズでスパイク・ジョーンズの新作『アダプテーション』の完成披露試写。チャーリー・カウフマンの脚本はほとんど新本格。浦賀和宏か西澤保彦かという感じですね(ネタは一見、折原一風だけどラストが違う)。
 原作は蘭泥棒を扱ったスーザン・オーリアンのノンフィクション、『蘭に魅せられた男』(羽田詩津子訳/早川書房)。この原作の脚色を依頼されたカウフマン(ニコラス・ケイジ)がどうしてもシナリオを書けずに四苦八苦するうち、それならいっそ、自分を登場させてその苦労話をそのまま映画にしてしまうという起死回生の反則技を思いつく。一方、兄ちゃんが『マルコヴィッチの穴』で一発当てたのに触発され、双子の弟も売れ線サイコスリラー(字幕ではなぜかすべて「ホラー」になってます)のシナリオを書きはじめる。犯人と刑事と被害者が同一人物ってネタで(笑)一大アクションシーンあり。
 兄貴のシナリオが難航する一方、弟の筆はどんどん進み、やがて兄弟の力関係が逆転しはじめる……。
 ネタバレになっちゃうのであんまりくわしく書けないけど、つまりこれ、フェイクドキュメントから一歩進んだ(?)、「実話をもとにした創作」のフェイクなんですね。エンドクレジットのスタッフロールまで含めて映画が完結するところは『ブレアウィッチ』的。見終わった直後はちょっとやりすぎじゃないかと思ったけど、しばらくたつとだんだんこれでいいような気がしてきた。しかし、乱歩賞に落ちた折原一『倒錯の輪舞』とおなじく、アカデミー脚色賞を逃してしまったのは画竜点睛を欠くというか。
 『マルコヴィッチの穴』には負けるものの、今年のベストワン候補。

 春のアニメで保留にしてた『GAD GUARD』ですが、けっこういい感じ。ハジキくんの着てる背中に鯉柄のジャケットがいかす。キャラ商品として発売希望。でもファッションと劇伴が合ってません。なぜジャズ。
『TEXHNOLYZE』のほうは3話見てもまだよくわからない。そういう作戦?



【5月10日(土)】


 ぼちぼち『犬』を再開。調子が出ないのでワーナーマイカル市川妙典のレイトショウで『あずみ』。5分で帰りたくなったが我慢する。ラス前の上戸彩大立ち回りは一見の価値あり。90分の映画なら許せたかも。5人で出発するところから始めればよかった。ちなみに原作は未読です。



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