Powered by bk1(Online Bookstore) →詳細検索

Powered by amazon.co.jp


【お知らせ】
コニー・ウィリス『航路』、全国書店で発売中(大森望訳/ソニー・マガジンズ/上下各1800円
→オンライン書店で購入:amazon | bk1 | 紀伊国屋 | JBOOK | 旭屋 | eS! Books | 本やタウン
『航路』ネタバレ感想・議論用掲示板を設置しました。あんなことやこんなことを心おきなく語りたい人はどうぞ。




【12月21日(土)】


 北砂の原広・真澄邸で、恒例のクリスマス宴会。

 家主の片方の北砂ヒツジ画伯(兼・装幀家)は、レモニー・スニケットの《世にも不幸なできごと》シリーズ(→amazon | bk1)とか、ジョン・ベレアーズの《ルイスと魔法使い協会》シリーズ(→amazon | bk1)とかの装画・装丁でおなじみ。児童ファンタジー・ブームで注文が急増中の模様。ていうか、《ルイスと魔法使い協会》がもう5冊も出てるとは。1冊めだけ読んでいまいちだと思ったけど、3巻目あたりから面白くなるらしいっす。スニケットは1冊も読んでないが、amazonではずいぶん評判がいいみたい。『爬虫類の部屋にきた』ってタイトルは凄いなあ。いや、このカバーイラストもすばらしいですが。紙は一切使わず、(モノクロの挿画も含めて)ぜんぶMac上で描いてると聞いてびっくり。

 早川書房OB夫妻の宴会なので、参加者は早川OB多数。話題は最近の翻訳業界とか社内情勢とか。トキオ社長は酔っ払ったS澤編集長に抱きすくめられ押し倒されて悲鳴の嵐。これがSFの洗礼だ。我慢しなさい。(→あとからメールで送られてきたファーストコンタクトの模様



【12月22日(日)〜23日(月)】


 マーク・Z・ダニエレブスキー『紙葉の』(→amazon | bk1)読了。一見、読むのがたいへんそうですが、眺めるだけでいいページも多いので、じつはそんなに時間はかからない。いいちばん面白いのはやっぱり『ネイヴィッドソン記録』の本文部分かな。外枠の話はもうちょっとうまく仕掛けられたような気も。細かいギャグの洗練度は非常に高く、映画ネタも抜群。ローザックの『フリッカー、あるいは映画の魔』とか、ジョナサン・キャロル『空に浮かぶ子供』とかが好きな人なら文句なしにハマれそう。『完全調書』を訳してるときに感じた不満(ここをもうちょっとちゃんとやってくれれば……)がほぼ完全に解消されてます。これでタイポグラフィをやめてスクラップブック風の図版満載本にすれば、本来のコンセプトに近くなるのでは――という気もするが、まず原稿の断片をクロノロジカルに整理したうえで、最後に頭から順番に注をつけていったと考えれば、こういうナラティヴも許容できなくはないか。ザンパノの原稿にも疑問はいっぱいあるんだけど、まあザンパノが書いたことだからな。



【12月24日()】


 自宅でクリスマスイブ。2歳前の子供はマジックリアリズム環境に生きているので、サンタクロース問題は発生しないのだった。



【12月25日(水)】


 茶木さんが再就職したときわ書房船橋本店を見学がてら、このミス大賞金賞受賞作、浅倉卓弥『四日間の奇蹟』の「世界初! 返金保証つき!」サイン会に出かける。
 西船橋と南船橋にはときどき行くんだけど、似たようなもんだろうと思ってた船橋の駅前は意外と大都会でびっくり。来年5月オープンとかの巨大な駅前ビルが船橋的な町並みにそそり立ち、再開発のさなかという感じ。

 《本の雑誌》今月号にも出てますが、読売新聞の記事によれば、
「読んで面白くなかったら、100人に限り本の代金を全額返します」とうたう新人作家サイン会が25日、千葉県船橋市のときわ書房本店で開かれる。仕掛け人は、人気書評家で同店店長の茶木(ちゃき)則雄さん(45)。1冊丸ごと読んだうえでの返金保証は日本初といい、茶木さんは「出版不況をただ嘆くより、書店もやる気のあるところを見せたい」と話している。
 この小説は浅倉卓弥著「4日間の奇蹟」(宝島社、1600円、来年1月8日刊行予定)。同社主催の第1回「『このミステリーがすごい!』大賞」金賞受賞作で、言葉が不自由な少女と、ピアニストに挫折した青年が、慰問に訪れた山奥の診療所で奇跡に出合うというファンタジー。
 返金保証付きサイン会は、同賞で選考委員を務めた茶木さんの発案。代金前払いを条件に先着100人まで申し込みを受け付け、サイン会当日に本を渡し、1か月以内ならば同書店で返金に応じる。茶木さんは「返金額はすべて自分が負担する。書評家としてそれだけ自信のある作品だし、元気のない出版界にインパクトを与えたいという意図もある」と話す。

 ってやつ。

 時間前に着いたので、しばらく船橋本店の棚差し・平台状況を観察。一階が文芸書、二階がコミックと実用・専門書、三階がレンタルビデオ、その上が屋上ペントハウスの事務所というときわ書房ビル。
 茶木店長が就任早々にリニューアルしたという一階は、入って左手が文庫棚。手前に(広義の)ミステリが著者別あいうえお順で並び、それが終わると一般文芸の文庫がまた著者別あいうえお順で配置されるという珍しい棚構成。文庫ミステリ棚前の平台は、乙一の本が『GOTH』を中心にスニーカー文庫やノベルスもいっしょに積んであったり、『慟哭』を中心とした貫井徳郎コーナーのまわりにロングセラー系の国産ミステリが配置してあったり、いきなり茶木色が強い。部分的に深夜プラスワンが再現されてる感じ? サブカル系の平台もけっこう主張があって、(あんまり冊数ないのに)町山智浩『映画の見方がわかる本』が積んであったりとか。
 ワンフロアあたりの広さはそれほどでもないんですが(40坪ぐらい?)、本好きの人にはいかにも便利そうな書店という印象。

 発売前の本のサイン会ってことで、いくら「世界初! 返金保証つき!」でもはたして人が集まるのか。と思ってたんだけど、蓋を開けてみたら大盛況。2時間で100人にサインするという時間配分もちょうどぴったりで、世の中には物好きな人が多いらしい。

 地元だからきっと来てるだろうなあと思ったらやっぱりいたタニグチリウイチ、敵情視察に訪れた(わけではないと本人は主張する)ライバル店の安田ママ、このミス大賞選考委員の吉野仁、K島@東京創元社など、物見高い人各氏としばらく路上で立ち話をしてから、すぐそばの不二屋でお茶。船橋まで来たんだからおれはタニグチリウイチ邸を見学する、きみはいなくていいから鍵をよこしたまえと談判するも、タニグチ断固これを拒否。まだまだ大丈夫だよと安心させてあげようと思っただけなのに。

 終了後はときわ書房主催のサイン会打ち上げにお呼ばれ。巨大なはまぐりを煮立った湯に放り込み、口が開いたらそのまま(なにもつけずに)食べるという蛤しゃぶしゃぶ鍋が絶品でした。



【12月26日(木)】


 早川書房で『SFが読みたい2003年版』用の座談会。鏡明・東浩紀両氏は初対面なのでやや遠慮がちだったんだけど、東さんの「小鷹信光とのファーストコンタクト」話(これは傑作)でいきなりなごむ。他人がネタにするには面白すぎる話なので詳細は書きませんが、もったいないというかなんというか。
 その後、ベストSFをお題に4時間以上にわたってしゃべりつづけ、終電間際に終了。鏡さんは明日からまた上海へ1泊の出張だとか。土曜日には上海から来る客と東京で夕食の約束があるらしい(笑)。



【12月27日(金)】


 西葛西のイタ飯屋で忘年会。SFオンライン残党組とかご近所組とかを中心に二十人ばかり集まり、初顔の人も飛び入り参加。二次会はうちと堺邸とに半々で流れ、うちの組はアニメのOPビデオとかモンド総研のビデオとか見てました。最後は朝までカラオケだったらしい。大森は子守。



【12月28日(土)】


 恐怖の会忘年会@赤坂。東雅夫編集長による「『幻想文学』休刊を語る」スペシャルトークイベントつき。『幻想文学』は創刊からずっとリアルタイムで読んできた雑誌なのでなにかと感慨深いことである。



【12月29日(日)】


 15:20の《のぞみ》で京都に向かい、年末恒例のSF忘年会@いろは旅館。宴会のあとは、雑談の合間にゲーム部屋でドイツのボードゲーム各種を観察。小学生たちを交えた『バルバロッサ』はけっこう面白かった。各プレーヤーが粘土でこねたオブジェがなんなのかを当てるゲーム。すぐ当てられても、全然当てられなくてもマイナス点なので、どのぐらいわかりやすくつくるかがむずかしい。



【12月30日(月)】


 昨年同様、佐脇家のクルマで伊丹空港まで送ってもらい、ANK便で高知。去年はトキオ社長が風邪引いてたいへんだったんだけど、今年は絶好調。



【12月31日(火)】


 帯屋町をぶらついたあと、ビッグエコー中央公園前店で西澤保彦、岩郷重力@Wonder Workzと合流し、カラオケ二時間のあと、おびさんロードの《にんにくや》で食事。西澤さんと岩郷重力は今日が初対面なんだけど、西澤夫人の実家が岩郷重力の生家のすぐ近所だと判明し、超ローカルな話題に突入。謎の盛り上がりを見せる。まあ酒飲み同士だからな。

 7時半に解散して実家にもどり、紅白歌合戦。
 ということで、W杯と『航路』に明け暮れた2002年も無事終了。新年も引き続きよろしく。



top | link | board | articles | other days