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【お知らせ】
コニー・ウィリス『航路』、全国書店で発売中(大森望訳/ソニー・マガジンズ/上下各1800円
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『航路』ネタバレ感想・議論用掲示板を設置しました。あんなことやこんなことを心おきなく語りたい人はどうぞ。




【11月5日(火)】


 MONDO21の情報番組、「新・モンド総合研究所」の第97・98回「日本・SF」の前半を3回目のリピートでようやく録画。残暑厳しい9月4日に縁側で汗をだらだら流しながら収録したやつ。東浩紀氏と日本SFの歴史について語るって企画で、もっと細かく切られて間にいろいろ取材ビデオがはさまるのかと思ったら、この回はふたりでしゃべってるのがえんえん映ってるだけでした。ときどき「小松左京」とか「光瀬龍」とかを説明するテロップが流れるんだけど、どうせテロップ出すなら「福島正実」とか「柴野拓美」とか「今日泊亜蘭」とかを説明しないと。



【11月6日(水)】


 試写3本立て。
13:00 「ぼくんち」@銀座ガスホール
15:30 「ジェイ&サイレント・ボブ 帝国への逆襲」@映画美学校
18:00 「呪怨」@メディアボックス試写室

 西原理恵子原作、阪本順治監督の「ぼくんち」は、原作を無理やり再現しようとした場面がかなり苦しいものの、観月ありさ・鳳蘭の母子映画と思って観ると悪くない。とくに鳳蘭はすばらしい。西原理恵子はピンサロ嬢役でワンシーンだけ出演してるんですが、観月ありさと道ですれ違うときに吐くセリフが完璧。坂本順治は西原理恵子本人のキャラを完璧につかんでます(笑)。
「ジェイ&サイレント・ボブ」は今様メル・ブルックス。パロディ部分がベタ過ぎていまいち笑えないところも多いんだけど、楽屋オチがそれなりにサマになってます。ケヴィン・スミス/ミラマックスのファンにはお薦め。
 劇場版「呪怨」は、ビデオ版の設定と構造を生かし、ショッカーには新ネタを用意。『リング』が『ザ・リング』になるようなものを想像してたら、もっと激しく変わってました。でも全体にはややおとなしめ。(『ザ・リング』と同じく)元ネタを知らずに初めて見る人は仰天するだろうけど、ビデオ版の一本目のインパクトにはかなわない。といっても、長編としてのバランスはビデオ版より向上し、より映画らしくはなっているのでは。最近の国産ホラーでは収穫のひとつでしょう。



【11月7日(木)】


 角川書店本社会議室で、吉野仁、吉田伸子両氏と、カドカワエンタテインメントNEXT賞受賞作第一弾3冊を語る鼎談(『本の旅人』用)。すでに発表されているとおり、12月6日発売予定の3作は:
『リベンジ・ゲーム』 谷川 哀
『ラヴ☆アタック!』 川上 亮
『アフリカン・ゲーム・カートリッジズ』 深見 真

 装幀は今日はじめて見たんだけど、写真とか使ったおしゃれ系で、造本はBOOK PLUS風。ゲラで読んだ中身の印象とはかけ離れてますが、これはこれでいいかも。今までになかったタイプの叢書とは言えそう。叢書名はシンプルに《NEXT》だけ。
 第一弾3作のうち2作は既成作家(富士見ファンタジア文庫/富士見ミステリー文庫系の新人賞でデビュー済み)の作品なので、2ちゃんねる創作文芸板のNEXT賞スレッドなんかでは「出来レース」疑惑が盛り上がってますが、富士見事業部と角川書店書籍編集部の関係を知ってる人ならよくわかるとおり、スニーカー系の作家ならともかく、富士見系の作家だからと言って優遇されるわけがない。編集部から聞いた話だと、どちらの作品もわりとはやい段階で(昨年中)NEXT賞に応募があり、プロ作家だけあって直しがスムースに進んだので第一弾に間に合った、ということらしい。

 で、その内容なんですが、『リベンジ・ゲーム』はすさまじくえぐい高校野球ノワール。過去と現在が多視点のカットバックで語られる形式をとり、過去パートは精液まみれの暗黒版『巨人の星』(甲子園編)の趣き。あまりにもダークな描写が突き抜けた笑いにつながるタイプの小説で、野球ミステリのスタイルをとってはいるものの、読みどころは野球部のどろどろ関係と強烈な変態家族ぶり(近親相姦と同性愛)でしょう。頭から受けつけない人もいるでしょうが、オレは面白かった。全国の高校球児にぜひ読んでほしい。しかし高野連関係者が読むと怒髪天を衝きそうな気も。

『ラヴ☆アタック!』は出会い系サイトでのナンパに励むおたくたちの生態を描くコメディ――と要約すると、「もう飽きたよそんな話」的な気分になるが、その後の展開は意表をつくひねりの連発で、意外にも非常にウェルメイドなシチュエーションコメディになっている。おたくネタと言っても、おたく小説に出てくるような描き方ではなく、非おたく系の人が想像する典型的なおたくをなぞるようなかたちなので、むしろ一般向け。

『アフリカン・ゲーム・カートリッジズ』は、銃器マニアの淫夢が現実化したような設定のガンアクション。多世界解釈を下敷きに(ほとんど説明はないけど)好きな銃を並行世界からとりだすことのできる(プリンセス・プラスティックの設定に近い)特殊能力者「銃使い」が存在する近未来が舞台。危険な銃使いは発見しだい射殺することが法的にも認められてて、専門の取締局も誕生。一部の銃使いは仲間を募って組織をつくり(それがタイトルの「アフリカン・ゲーム・カートリッジズ」=AFC)それに対抗している、と。で、ある日とつぜん銃使いになっちゃった高校生が主人公ね。
 思いきりライトノベル的な設定ですが、文章は密度が高く、むしろ一般向けミステリに近い。さらにベッドシーン(主にレズビアン・セックス)もてんこ盛り。あえて分類すれば、『バトル・ロワイヤル』『そして粛清の扉は開かれた』の系列に、おたく系キャラを投入した感じ。ガンアクションの場面はよく書けてます。意外にもこれが吉田伸子のイチ押しとか。

 どういうわけか3作とも変態的セックスがフィーチャーされてるんだけど、そういう叢書ではない模様。よそではなかなか読めない小説が集まったとは言えるかもしれない(中では『ラヴ☆アタック!』がいちばんふつう)。

 座談会終了後、銀座に出て『ハリー・ポッターと秘密の部屋』完成披露試写@丸の内ピカデリー。開映15分前に行ったら満席で立ち見状態だったんだけど、幕が開く直前にすぐそばの席が空いてラッキー。
 映画は前作で人物紹介を終えてるので、ふつうの冒険ファンタジー・スペクタクルに近づいている。まあ、原作も、長編のプロットは二作目がいちばんしっかりしてるしね。その分、キャラ萌え要素はやや減退。個人的には一本目のほうが好きなんだけど、完成度では今回が上でしょう。しかしハーマイオニーおたく的にはやや見どころが少ない。スペクタクルがいまいちぱっとしないのも相変わらず。それでもこの長さで退屈しないんだから立派なもんだ。




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