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【お知らせ】
コニー・ウィリス『航路』、全国書店で発売中(大森望訳/ソニー・マガジンズ/上下各1800円
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『航路』ネタバレ感想・議論用掲示板を設置しました。あんなことやこんなことを心おきなく語りたい人はどうぞ。




【10月30日(水)】


メフィスト賞作家ファン度調査の既読は151冊のうち110冊。森博嗣は全作読んでるんですが、『トップラン』以降の清涼院流水と《薬屋探偵》の3巻以降と霧舎巧の最近作が未読なのが痛い。しかし新堂冬樹の次に読まれてないのが浅暮三文とは。せめて『石の中の蜘蛛』(→amazon)だけでも読まなきゃ。浅暮ファンは決起せよ。

 添野知生から、「傑作なのでぜったい見るように」と電話がかかってきたので、ヤマハホールで韓国SF映画『イエスタデー』。東京国際映画祭協賛《コリアン・シネマ・ウィーク2002》なんですが、今年はキャパの大きな劇場に移ったおかげで当日券も余裕で買えました。去年なんかキャパ50で2時間前売り切れだったもんなあ。
 で、肝心の『イエスタデー』。『YASHA』劇場版みたいな話ですね。力作ではあるにしても粗が目立ちすぎ。終わったあと、やはり添野プッシュを真に受けて見に来ていたらしい柳下毅一郎と顔を見合わせて、「添野の絶賛する映画の基準はようわからん」。ちなみに柳下毅一郎絶賛は《アジアの風》クロージングにも選ばれた『復讐者に憐れみを』。強く推薦されたものの、この日は行けないんだよな。韓国版DVDでも買うしか(「復讐するは我にあり/SYMPATHY FOR MR. VENGEANCE 」ってタイトルで通販あり)。

 次の回の上映の『オーバー・ザ・レインボー』も当日券売ってたので、ヤマハホールまで来たついでに見ることにしたんですが、こっちは大当たり。事故で部分的な記憶喪失に陥った男が、自分が好きだったらしいマドンナを探す話。事故のとき写真を持ってたんだけど露出オーバーで女の顔がわからない。この女性はいったいだれなのか?
 主役のイ・ジョンジェは、お天気キャスターという設定。ソウル大学の写真部出身なので、写真部時代の友人に会っては、「オレが好きだった女」の足跡をたどっていく。
 70年代少女マンガ的テイストのラブストーリーで、『イル・マーレ』『純愛譜』路線。ていうか、オレはもしかしてイ・ジョンジェ萌え? 脇役の女優陣もみんな魅力的でした。
 夜の回ってこともあるだろうけど場内は満席で(『イエスタデー』は6割りの入り)、終わったあとは大拍手。予定にはなかったのに監督が挨拶に登場するひと幕も。さらに、ロビーに出たところではサイン攻めに遭ってました。

 書くのを忘れてましたが、先週金曜日にはワーナーマイカル妙典で、試写を見損ねた『明日があるさ THE MOVIE』『OUT』『青い春』の3本をはしご。『明日があるさ』は、会社の仕事とは無関係に有人ロケットを飛ばす話で、現代版「レモン月夜の宇宙船」的なファンタジー。むしろ『夏のロケット』を下敷きにもうちょっとリアリティを増強してほしかった気はするものの、意外にも腹は立たない仕上がり。ただし「明日があるさ」の劇場版としては根本的にまちがっているような……。
『OUT』は原作を離れた後半の展開が疑問。もっとも、『光源』『ダーク』など、桐野夏生の最近の、予定調和的な物語進行を拒否する傾向に近づいているとは言えるかも。
『青い春』は松田龍平がかっこよすぎるものの、学園ものとしては悪くない。屋上の話が好きなだけかも。



【10月31日(木)】


 ハヤカワSFシリーズJコレクション刊行記念フォーラム『新世紀SFの想像力』@紀伊国屋サザンシアター。客席はちょうど満席というすばらしい混み具合で一安心。オープニングアニメあり、サックス演奏(田中啓文)つき朗読パフォーマンス(北野勇作)ありというサービスで、二部構成のパネルディスカッションはパネリストの人数の割りに時間が短すぎたものの、非常に内容の濃いイベントでした。北野勇作はNHKの「詩のボクシング」に出ればたぶん優勝できそう。そっちで名前を売れば本もがんがん売れるのでは。ぜひ出場をお薦めしておきたい。

 そのあいだじゅうトキオ社長はロビーで遊んでたんですが、やはりロビーにいた早川浩社長の目に止まり、あやしてもらうひと幕も。受付にいたSFマガジン編集部のS水がすすすとオレのところにやってきて一言、「社長vs社長ですね」

 終了後はワシントンホテルの宴会場で、早川書房主催の打ち上げ宴会。早川書房がSFのためにこんなにお金を出すのは前代未聞空前絶後かも。それもこれもエド・マクベイン来日が流れたおかげなので、エド・マクベインに足を向けては寝られないのだった。

 三次会はワシントンホテル25階のガスライト。12時過ぎまでつきあってから総武線経由でJR亀戸からタクシー帰宅。アジアユースの決勝、日本0-1韓国をTV観戦。両チームとも、勝ちたい気持ちより負けたくない気持ちが上回った守備的な試合。だらだらと時計が進んで延長戦。またPKかよ。と思ったんだけど、Vゴール方式になると韓国の土壇場力が威力を発揮する。



【11月1日(金)】


 西葛西明和書店で、朝日ビーブックス用の写真撮影。総額2003円以内で文庫本を選び、それを買ってる場面を写真に撮り、原稿を書くというWEB本の相談室タイアップの謎企画。あんまりおおげさな撮影じゃなかったので助かりました。6ショット撮るのに15分ぐらいか。

 香山二三郎氏から余ったチケットを買ったので、東京国際映画祭《アジアの風》の『密愛』。ビョン・ヨンジュ監督の不倫映画で、キム・ユンジンの(キム・ユンジンとしては非常に)濃厚なベッドシーンつき。それ以外はふつう。やや石井隆ふう?
 次の回の当日券があったので、予備知識ゼロのままとりあえず購入。オープニング上映作品だった『スリー』なんですが、ほんとになんにも知らなかったので、キム・ジウンの「Memories」(だっけ?)がいきなり40分ぐらいで終わっちゃったときはほんとに驚いた。そうか、3話オムニバスだから「スリー」だったのか!! ←いまごろ気づく人はいません。
「Memories」は『メメント』系のリバースムービー(もはやジャンルかも)なんだけど、緊張感みなぎる秀作で好印象。2話めはノンスィー・ニミブット監督のタイ映画。こちらはありがちな伝奇ホラーでいまいちですが、3話めがピーター・チャン監督の香港ホラーでこれまた意表を突く傑作。この映画にエリック・ツァンをキャスティングする勇気は尊敬に値するね。まさかこんな話になるとはなあ。
 というわけで、今年の映画祭は、観るつもりじゃなくて観た映画が当たりで、観るつもりで観た映画はハズレという結果でした。《アジアの風》は通し券買ってぜんぶ観るべきだったかも。《コリアン・シネマ・ウィーク2002》のほうはDVD集めるか。



【11月2日(土)】


 ミステリチャンネル「ブックナビ」の年末スペシャル、今年は海外編の「戦うベストテン」にも出ることになったので、ここ数日はひたすら今年度翻訳ミステリの未読消化中。話題作中心なのでどんどん読める反面、あっと驚く傑作も見当たらない。★★★1/2〜★★★★ぐらいの感じですかね。

▲『第四の扉』ポール・アルテ(ハヤカワ・ポケットミステリ)
▲『わが名はレッド』シェイマス・スミス(ハヤカワ文庫)
○『グルーム』ジャン・ヴォートラン(文春文庫)
▲『嘲笑う闇夜』ビル・プロンジーニ&バリー・マルツバーグ(文春文庫)
○『レイトン・コートの謎』アントニイ・バークリー(国書刊行会)
▲『髑髏島の惨劇』マイケル・スレイド(文春文庫)
○『踊り子の死』ジル・マゴーン(創元推理文庫)
○『雨に祈りを』デニス・レへイン(角川文庫)

『踊り子の死』とか『雨に祈りを』みたいな、ふだんあんまり読まないタイプのミステリは採点が甘くなるような気も。『グルーム』はミステリ読みじゃない人にもおすすめ。



【11月3日(日)】


 アーセナル1-0フラム。どちらも絶好調時の7割ぐらいの出来。CKからゴールを背にしたマルレの芸術的シュートで先制――したのはフラムじゃなくてアーセナル。空振りのクリアミスならまだよかったのに。見事というしかないオウンゴールでした。後半から出場の稲本はプレースキックをぜんぶ蹴り、惜しいチャンスを再三演出するもゴールには結びつかず。しかし次は先発に復帰させてもらえそうな出来でした。

 パルマ0-1キエーボは、パルマが勝ち試合をみすみす落とした一戦。ワンチャンスを生かしたキエーボを誉めるべきなのか。しかし後半になると運動量が落ち、残り10分未満の時間帯に失点するパルマの悪い癖はぜんぜん改善されない。中田の出来はよかったんですが。



【11月4日(月)】


 南新宿のスペース・ゼロで谷山浩子コンサート「猫森集会」。8公演4プログラムあるうちのBプログラム2日目で、ゲスト・ミュージシャンはベースのバカボン鈴木氏。津原泰水氏をややバカボン化したような風貌の人。曲の合間のトークコーナーによると、もともとお坊さんになろうと思って仏教系の高校から高野山大学に進んだんだけど、そこでバンドやってる同級生からボーカルやらへんかと誘われたのがこの道に入るきっかけだったらしい。
「いや、そんなこと言われてもバンドとか興味ないし。だいたいなんでオレがボーカル?」
「せやかておまえ、声明(しょうみょう)の成績ええやんか」
 と、この話には爆笑。声明の成績がよかったからミュージシャンになった人はたぶんほかにいないと思います。
 イアン・アンダーソンのフルート話から、石井AQ氏とジェスロ・タル話が盛り上がったり、観客置いてけぼりのトークがいい感じ。AQ氏はオレとたいして歳が違わないはずなのになんでジェスロ・タルとかリアルタイムで聞いてるかな。

 Bプログラムの曲目は前日に行ってたらしい安田ママさんのレポートにある通り。「悪魔の絵本の歌」「たんぽぽ食べて」あたりがたいへん懐しく、一気に頭の中が20年ほどタイムスリップ。アットホームで居心地のいい、素敵なコンサートでした。7日〜10日のチケットもまだ残ってて、当日売りもあるみたいなので、今週末時間のある人はぜひどうぞ。

 終了後、物販で新譜の『そっくりハウス』を買ってオマケのマスコットをもらい、そのあと楽屋に挨拶に行ったら夕食に誘われて、谷山夫妻、石井AQ夫妻にくっついて四谷三丁目のフレンチレストランへ。最近の本の話とか。へべさんは倉阪鬼一郎ファンらしい。あと恩田陸と川上弘美とか。おかかえエンジニアN氏とは初対面だったんですが、想像通りのジェントルマンでした。
 それにしても、谷山さんと初めてお目にかかってからもう18年ですか。新潮社本館3階の会議室にこもって全アルバム(LP)をノンストップで流しながら谷山浩子詩文集『猫の森には帰れない』(新潮文庫・品切)の編集をえんえんやってたり、打ち合わせと称して毎週のようにオールナイトニッポン二部の生放送スタジオに遊びに行ったりしていた頃が懐しい。
編集者時代にいちばん燃えてつくったのは、伊藤典夫・浅倉久志編のSFアンソロジー三冊(『スペースマン』『スターシップ』『タイムトラベラー』)とこの本。イラストだけでも森雅之、さべあのま、吾妻ひでお、内田善美、近藤ようこ、小沢真理、田山麻理、まついなつき、上野紀子、本橋靖昭、ますむらひろし、大島弓子、鈴木翁二、影中白葉、谷内こうた……と入ってました。



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