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【お知らせ】
コニー・ウィリス『航路』、全国書店で発売中(大森望訳/ソニー・マガジンズ/上下各1800円
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『航路』ネタバレ感想・議論用掲示板を設置しました。あんなことやこんなことを心おきなく語りたい人はどうぞ。



【10月19日(土)】


 新保さんが手配してくれたらしく、『幻影の蔵 江戸川乱歩探偵小説蔵書目録』が届く。amazonで注文しようと思ってたやつは買い物かごに入れたままになっててぎりぎりセーフ。しかし8,000円分宣伝するのはたいへんかも。

 月刊アスキーのコラム原稿。夕方から馬場。
 長らく例会場に使ってきたユタは今月いっぱいで閉店とか。常盤新平も学生時代に愛用していたという由緒正しい喫茶店で、ぼくがはじめて行ってからでもかれこれ四半世紀になるんですが(高校2年の夏休みかなんかに東京に来て、早稲田古本街を歩いてたときに入ったのが最初だと思う)、創業はいつごろなんだろう。店名がどうしてUTAHなのかも知らずじまいでしたが、ここの店員のおじさんには非常によくしていただきました。時代の流れとはいえ、ちょっと残念。スタバとかになるのかなあ。

 帰宅してから、スカパーでフラム1-1マンチェスター・ユナイテッド。何試合か見たフラムの試合の中ではまちがいなくベストゲーム。中盤を完璧に支配して、マンUは防戦一方。マルブランクがPKをバルテズに止められる不運がなきゃ、大金星だったのに。フラムがこんな強いチームだったとは。これならアーセナル相手でもいい試合ができそう。
 稲本がいるときにこんないい試合ができないのはなぜ。ってそれは相手の問題か。ベッカムはあいかわらず不調。今日はスコールズで持ってるチームだったな。ファンニステルローイが休むととたんにこれかよ。

 国内ミステリ新刊未読消化。荻原浩『コールドゲーム』(講談社)は『ラストサマー』系のティーンズサスペンスを少年探偵団っぽい設定でアレンジ。うまいことはうまいが器用にまとめすぎている気も。鮎川賞受賞の後藤均『写本室の迷宮』(東京創元社)は、犯人がなんであんなことする必要があったのかさっぱり納得がいきません。本格風ミステリ? 霞流一『デッド・ロブスター』(角川書店)は『ミステリークラブ』の姉妹篇。今回はエビづくし。真相は笑えるけど、そんな人はいないだろう。というか、おたく観が根本的に違う気がする。馳星周『マンゴーレイン』(角川書店)は所変われど品変わらず。むしろ、場所が変わったせいでよけいに変わらない部分が目につき、セルフパロディのように見えてしまう。



【10月20日(日)】


 妻子はさいとう妹一家とディズニーランド。オレは風邪気味なので家で新人賞の原稿を読みつつ、スカパーの録画中継でインテル1-1ユーベ戦。デルピエロのPKでユーベの勝ちが決まったかと思ったらロスタイムの喧嘩で退場各一名。その直後、インテルはコーナーキックのチャンス。GKのトルドもゴール前に上がってきたところ、混戦からこぼれたゴールがトルドの目の前へ。トルドがゴールに蹴り込み、劇的なドロー。最後にさわったのはヴィエリらしいけど、これはもうトルドのゴールでしょう。いや、たいへんな試合でした。こういうことがあるからつい見ちゃうんだよな。

 一仕事してから、夜はウディネーゼ0-1レジーナ。点がとれないチーム同士の対戦は、またしてもキャプテンのバルガスが相手にPKを与えて(5試合で3度目。しかも今日はその前に一回見逃してもらってるのに)あえなくレジーナが敗北。俊輔は日本代表のジャマイカ戦のときよりはよくなってたし、チームも多少見られるようにはなってきてるけど、とにかくディミケーレにツキがない。前途はさらに険しそう。5戦消化して得点4、そのうち3点が俊輔(PKが2点にFKが1点)ですからね。
 その裏でやってたミラン4-1アタランタではリバウドがミラン移籍初ゴール。トマソンもゴールを決めて、後半はミランのやりたい放題。こっち見てると点入れるのなんか簡単そうなのに。

 12:00から、ペイパービューで『攻殻機動隊 STAND ALONE COMPLEX』の1話2話を見る。2本にオマケがついて800円。さすがに800円払うと真剣に見るから(録画制限つき)、これはこれでいいかもしれない。
 うちのメインのビデオデッキはリモコンが行方不明で番組予約ができないから、見たいのに見られないアニメもけっこう多くて、見逃してる回をまとめていますぐ見せてくれるなら800円払うぞと思ったり。『ガンダムSEED』とか。スカパーで有料再放送チャンネルつくってくれないかなあ。
 で、問題の『SAC』ですが、クォリティ的には800円払っても惜しくない仕上がり。方向性としてはオレの期待とは違ってるんだけど、笑い男編が始まってみないとまだなんとも。

 はっと気がつくとアーセナルがエバートンに負けてました。ほとんど一年ぶりの敗戦。もうすぐ17歳のルーニーが初ゴールで、オーウェンのプレミアシップ最年少ゴール記録を更新したらしい。しまった、こっちを見るべきだったのか。

 と言いつつ、3:30からモデナ2-1パルマ。先制はするんだけどなあ。ナカタが右サイドでフリーになって手を上げててもパスが来ないのは深い理由があるんでしょうか。



【10月21日(月)】


 15:00、ミステリチャンネルで「ブックナビ」収録。今月の大森イチ押しは二転三転の末、『陋巷に在り 13』。

 帰宅して風呂に入り、リーズ・ユナイテッド0-1リバプール。ディウフのクロスからディアオが得点したセネガル・ホットラインのゴールは見事。ディアオはプレミアシップ初ゴール。

 小川勝己『撓田村事件―iの遠近法的倒錯』(→amazon | bk1)読了。横溝正史の世界を現代の日本でリアルに再現する試み。1999年の第4回新潮ミステリ倶楽部賞の最終候補に残った『iの遠近法的倒錯』が原型らしい。殊能将之で言うと『美濃牛』に相当するが、『撓田村』のほうが正攻法。小野不由美『屍鬼』の手法に近い。閉鎖的なムラ社会とか「家系の悲劇」みたいな話を現代でやろうと思ったら人工的な閉鎖空間をつくらなきゃ無理だろうと思ってたんですが、『撓田村』はリアリズムの枠組みの中で横溝的なフーダニットを書くことにほぼ成功している。中学三年生の主人公がいかにも中学生男子らしく思いきりバカに描かれているところが成功の秘訣かも。
 ただし、『眩暈を愛して夢を見よ』のあとではやや物足りない気がする。『黒い仏』のあとで『美濃牛』を読むようなもんか。違います。



【10月22日(火)】


 19:00、根津の串揚げ屋《はん亭》でソニー・マガジンズ主催『航路』増刷謝恩打ち上げ宴会。今回は推薦コメントを依頼した人全員に声をかけたらしいんですが、出席は香山二三郎・新保博久・茶木則雄・豊崎由美・西上心太・三村美衣・吉田伸子・吉野仁というおなじみのメンバー。ソニマガ側は、発行人のM氏と営業部のI氏と宣伝部のS氏とS木編集長とM山嬢の5人。欠席の瀬名さんからはお祝いの花束が届いてました。ありがたいことである。花なんかもらったのは十年ぶりかも。

 ちなみに引き出物というか記念品として用意したのは泉屋のクッキー。救命具のロゴマークが『航路』にぴったり。と思ったけどあまりウケなかった模様。リングターツ好きなんだけどなあ。子供の頃、泉屋のクッキーをもらってうれしかったのは田舎の子供だけなのか。泉屋東京本店のショップリストで番号調べて上野・松坂屋に電話して揃えてもらったら、泉屋の段ボール箱入りでちょっとうれしい。ほんとは全員分、缶入りのにしたかったけどさすがに重すぎて断念。

 はん亭の一次会は和気藹々と盛り上がったが、近くのショットバーに移っての二次会はつぶれる人続出。新保さんは昏々と眠りこみ、西上心太は酔眼朦朧でろれつが回らず、茶木vsトヨザキvsヨシダの白熱のバトルを仲裁しようとしているらしいんだけどなにをいってるのかさっぱりわかりません。説教モードに突入した茶木則雄も話が堂々巡りをくりかえし、もはや支離滅裂な状況。とうとうばったり寝てしまった西上心太とあしたはハリポタ祭りだから5時起きで仕事だという茶木則雄(最近、書店員に復帰)をタクシーに押し込んでいっしょに帰宅。

 宴会で評判のよかったサラリーマン主人公のユーモア小説2本、荻原浩『神様からひと言』(光文社)奥田英朗『マドンナ』(講談社)を読む。吉田伸子絶賛の『神様からひと言』はお客様相談室に飛ばされちゃった若者の話ですが、設定がベタすぎていまいち笑えず。男性版ショムニというか、TVドラマの原作に最適かも。『マドンナ』は40代課長クラスが主人公の連作。表題作はいかにもっていう話なんだけど、女性部長がやってくる短編とか、抜群のうまさ。そこにオチるのはわかってても感心する。

 ロバート・J・ソウヤー『イリーガル・エイリアン』(ハヤカワ文庫SF)をやっと読む。ファーストコンタクトしたばかりのエイリアンが殺人犯として逮捕されて法廷へ――というSFリーガルサスペンス。『エイリアン・ネイション』の路線ですが、ミステリ読者的には、『さらば、愛しき鉤爪』の法廷小説版と思えばいいかも。最初からこういう話だとリアリティの敷居がぐっと低くくなるので細部があまり気にならず、一種のパロディとして楽しく読めるのは『鉤爪』と同じ。フーダニット部分の真相にはきちんとミステリ的なネタが用意されているし、ホワイダニットには(使い古しとはいえ)SF的な解決を持ってくるサービス振り。『ゴールデン・フリース』以来ひさしぶりに最後まで文句なく読めるソウヤー作品――と思ったら、最後の最後でこれですか。ちょっとそれはかんべんしてほしかった。こういうのがアッパー系ファーストコンタクトSF?



【10月23日(水)】


 ほとんど徹夜で保育園の運動会。区立スポーツセンターの小体育室を借り切り、園児がかけっことかおゆうぎとか玉入れとかするわけです。テントはないけど、万国旗を吊すだけでけっこう運動会っぽい雰囲気になるもんですね。しかしBGMが90年代アニソンのインストゥルメンタル版で大笑い。『残酷な天使のテーゼ』とかTwo-Mixとか。

 スポーツセンターの食堂で昼飯食ってから、明和書店に寄ってハリポタ4巻を購入。チェーン系の大書店は朝5時からハリポタだけ売るために店を開けたそうで、ドラクエやFFの新作発売日みたい。値段も上下セット3,800円だからゲームソフトに近い。ていうか、初版部数が100倍なのに『航路』より200円も高いのか。しかしこれ、『海辺のカフカ』並みに薄い紙使ってますね。
 もっとも、A-tooの買取価格表によると、『ハリー・ポッターと炎のゴブレット(上下巻2冊セット)』の買取価格は2,500円だから、読んですぐ売れば出費は1500円以下で済む。一方、『航路』上下の買取価格は600円(笑)。売らないほうがお得です。

 『海辺のカフカ』もようやく読了。斎藤美奈子が《AERA》の書評で、これは村上春樹版「微笑み返し」なんだから文句言ってもしょうがないとか書いてたけど、村上春樹は解散するわけじゃないからなあ。これで最後だと思うから「微笑み返し」は許せたわけで。ナカタさんの話はけっこう好きだけど、15歳のカフカくんはねえ。小川勝己の15歳とは全然違います。ハリポタ4のハリーくんも14歳ぐらい。こっちは子供すぎて困るけど。しかし『海辺のカフカ』でいちばん驚いたのは手コキ場面。後半は熟女ものだし、やはり流行に敏感なのか。3年前に出てれば完璧だったと思った。
 それにしても『海辺のカフカ』を読んでると、これまでの村上春樹作品ははたして面白かったんだろうかという疑問がふつふつと湧いてくる。オレにとってはドラクエ・シリーズにおける『VI』みたいな位置づけ。

 WOWOWで『巨人の星』特別編『猛虎 花形満』。花形視点で総集編っていう発想は応用範囲が広そう。しかし花形って嫌いなんだよなあ。次は星一徹編をやってほしい。ふつうは『あしたのジョー』力石編とかでしょうか。『猛虎 花形満』のエンディングテーマはなんとオーロラ3人娘
の「クールな恋」。ザ・ゴールデン・カップスの同名曲のカバー。でも橘ルミは出てきません。ところで花形の紅葉高校は神奈川代表で、青雲高校は東京代表だったんですね。子供のころは全然気にしてなかったけど。

 発売が延びていたハヤカワSFシリーズJコレクションの恩田陸『ロミオとロミオは永遠に』はいよいよ今週見本で、来週には店頭に並ぶらしい。

 リンド・ウォード『狂人の太鼓』(国書刊行会)拝受(→amazon | bk1)。まさかこんな本の翻訳――じゃなくて日本版が出ようとは。向こうでの古書価を考えると2,000円は爆安。詳細は藤原編集室通信「狂人の太鼓」参照。


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