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amazon.co.jpでコニー・ウィリス『航路』予約受付中。10月8日発売(大森望訳/ソニー・マガジンズ/上下各1800円)。

コニー・ウィリス日本語サイト:To Say Nothing of the GOD(神は勘定に入れません)開設しました



【9月27日(金)】


 宝生裕子さんが亡くなったと知らせる電話で起きる。宝生流第19世宗家の宝生英照夫人だが、結婚前までは新潮社装幀部に所属。大森と同期の入社で(大学院卒なので年は彼女のほうが二歳上)、もう十数年会っていないものの、家元夫人として活躍中の消息を最近よく聞いていたんですが……。まだ43歳の若さ。ご冥福をお祈りします。

 夕方からは、事実上、鮎川哲也氏を偲ぶ会となってしまった創元三賞の授賞パーティ@ホテル・エドモント。鮎川賞受賞者の人は職業柄(経営コンサルタント)、思いきりスピーチ慣れしていたようですが、こういうシチュエーションでは完全に裏目でしたね。

 会場では、このミス大賞一次選考・二次選考担当者から忌憚のない感想を取材。
 さらに『航路』パイロット版を読んでくれた人々の話を聞く。ペナン島で現地の親父がすすめるビールを断りながら読みふけったという杉江松恋は絶賛。杉江松恋が誉めれば誉めるほど不安になるのはなぜ(笑)。

 ティールームでしばらく休憩したのち二次会場のタゴール。『本格ミステリクロニクル』のセレクションにまつわる疑問について関係者に取材し、だいたい謎が解けました。大森が読んでないのはどれなのかそっちが知りたいと別々に二人から言われたので一応書いておくと、300冊中の未読作は以下の通り。Kappa Oneを1冊しか読んでないのが弱点か。
地獄時計(日影丈吉)/逃げ水半次無用帖(久世光彦)/ミレイの囚人(土屋隆夫)/未熟の獣(黒崎緑)/ゴッホ殺人事件(高橋克彦)/嫁洗い池(芦原すなお)/仮面の祝祭2/3(笠原卓)/ロンドン園遊会殺人事件(井上ほのか)/スラム・ダンク・マーダーその他(平石貴樹)/ The Unseen 見えない精霊(林泰広)/双月城の惨劇(加賀美雅之)/アイルランドの薔薇(石持浅海)/藤田先生のミステリアスな一年(村瀬継弥)/本格推理1新しい挑戦者たち(鮎川哲也選)/ロシア幽霊軍艦事件(島田荘司)/アリア系銀河鉄道 三月宇佐見のお茶の会(柄刀一)/マリオネット園(霧舎巧)

 タゴール向かいの地下のバーを経て最後はそのとなりのロイヤルホスト。法月夫妻とか喜国夫妻とか福井健太とか。酔っ払って寝込んでしまった杉江松恋は酔っ払ったまま生姜焼き定食と海の幸スパゲティとなんかもう一皿を注文、どうするんだろうと思ったらいつの間にか皿の上の料理はきれいに消えていた。不可能状況の食事消失事件。だれも目を離してなかったし、杉江松恋はずっと寝てたはずなのに! そして杉江松恋は生ビールのジョッキを盛大にひっくり返し、ふらふらしながら去っていくのだった。だれかこの人を探偵役にしてシリーズを書けばいいのにと思った。杉江松恋を連れてくることで自分を常識人に見せる作戦by福井健太はわりと成功したかも。



【9月28日(土)】


 アクセスログで検索エンジンからの検索語を見てると、毎日のように「nozomi」「Nozomi」で飛んでくる人がいて、非常に不思議だったんですが、lycosサーチで「nozomi」を検索すると、nozomi Ohmori SF page (since Mar.31 1995)がトップに来てしまうことが判明。lycos的には、nozomiと言えば広山望でも辻希美でも安藤希でもなく大森望らしい。あ、タイトルタグにNozomi Ohmori SF pageって入れてるからか。

 セリエA、ユベントス2-2パルマ。中田は大方の予想を裏切り左サイドMFで先発、FWムトゥが右にまわる。前節よりはまだましだが、ジュニオールにまかせて中央に入っていく場面が多すぎ。どう見ても左にはいたくないらしい。
 と思ってたら、だんだん右サイドにまわる機会が多くなり、後半はほとんど「3トップの右」にポジションチェンジ。自分で先制点(セリエA今季初ゴール)決めた前後から飛躍的に動きがよくなって、決定的なパスも数本。無人のゴールに入れ損ねたやつをはじめとしてムトゥがはずしまくっていなければ、パルマが楽勝だった試合。そうじゃなくても後半40分まで2-0で、今日は楽勝かと思ったのに、それでも勝てないパルマ。ラムーシ退場で10人になり、しかも相手はユーベってことで、どうしても浮き足立ってしまうのが若いチームの悲しさか。ロスタイム残り10秒のデルピエロのゴールはかなり怪しかったけどなあ。ま、いまの実力差を考えれば、アウェイでユーベ相手に引き分けたのは上出来なんだけど、九分九厘勝ってた試合だと思うと……。とはいえ、去年の同時期にくらべればチーム状態は全然いいと思う。

 ベルギーリーグ第7節ゲンク1-0ラルビエールをやってたのでぼんやり見てたら鈴木隆行がスタメンで出ててびっくり。右サイド上がり目のMF。それなりにソツなくこなしてる感じで、思ったよりチームにフィットしてる。ひっこめられたときには観客席からはスズキコールも出てたし、どん底ゲンクの中では期待の星かも。しかし交替で出てきた選手が決勝点のアシストを決めるあたり、ツキはないかも。それにしても、試合としてはJリーグ中位〜下位チーム同士の対戦ぐらいに見えましたが、あんなもんなんでしょうか。

 レジーナ-コモはさすがにもういいやと思った見なかったけど、俊輔のPKでかろうじて引き分けたらしい。PKでしか点がとれないチームなのかやはり。



【9月30日(日)】


 このミス大賞選考会@ダイヤモンドホテル。
 たまに誤解してる人がいますが、『このミス』本体と直接の関係はなく、宝島社/日本電気株式会社/三菱商事株式会社が主催する公募のエンターテインメント新人賞。選考委員は、香山二三郎、茶木則雄、吉野仁、大森望。ミステリチャンネル系というか××座談会系というか。書評家が選ぶ賞というコンセプトらしい。ま、新人賞の応募原稿を読むという経験に関するかぎり、他のどんな小説賞にも負けないメンツではある。この一年で考えると、オレひとりだけでも400本ぐらい読んでるもんな。
 しかし、ということは、「この賞の最終候補作からいちばんいいのをひとつ選ぶ」というだけじゃなく、どうしても他の新人賞の候補作・受賞作と横の比較をしてしまうことになり、ろくな作品がなかった場合には四人そろってがっくり落ち込む――という結果になることもじゅうぶん予想されたわけですが、さいわいその心配は杞憂に終わり、最終候補6本のうち、A評価をつけられる作品が2本。他の賞では最終候補をぜんぶ読んでもB+評価が最高ってことが少なくないので、結果的には(好き嫌いはべつにして)かなりレベルの高い争いになったと思う。
 もっとも、すでに掲載されている一次・二次の講評とはかなり落差の大きい感触だったのでどうなるかと思ったけど、蓋を開けてみたら4人の評価はほとんど一致。趣味の違いや部分的な留保はあるにしても、「大賞出すならコレかコレ」って評価は早々と定まって、コレとコレの扱いをどうするかでちょっと議論になったものの、授賞作はすんなり決定。すでにサイトで発表されている通り、大賞は2作同時受賞になりました。一本で1200万に値する作品がなかったというわけじゃなく、傾向が正反対の2作ががっぷり四つに組んだ結果、どちらか一本だけを大賞に決めて、それで「このミス大賞」の性格を決定づけるのはためらわれたという感じ。それぞれ欠陥はあるにしても(減点方式で採点する賞だと選ばれない可能性もある)、面白さは年間ベスト級。ま、そのへんの詳細は選評に書くとして、ここでは結果だけ。
 大賞 金賞『四日間の奇蹟』浅倉卓弥
    銀賞『タード・オン・ザ・ラン』東山魚良
 優秀賞  『沈むさかな』ティ エン

 東京創元社からプルーフ本で送られてきた柄澤齊の小説デビュー作『ロンド』を読む。これは力作。予価3300円の大作ですが、それだけの値打ちはあります。



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