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【6月19日(水)】


 ぐったり疲れた体をひきずってミステリチャンネルの収録。



【6月20日(木)】



 原稿書かなきゃいけないんだけど気力も体力もない。寝床で新人賞原稿を読む。



【6月21日(金)】



 休養不充分のまま、昼前に家を出て東京駅。静岡でひかりをこだまに乗り換えて掛川到着。シャトルバスに並び、ぞろぞろ歩かされてから15分バスに乗り、スタジアムから徒歩15分のロータリーに到着。もうちょっとなんとかなりませんか。と思うのだが、好天に恵まれたおかげで、高台を歩くスタジアムまでの道のりはほとんど遠足気分。しかし暑い。さわいにも座席は日陰――と思いきや、キックオフ15分前から西日が直撃しはじめ、長居の二の舞な感じ。昼間の試合をバックスタンドで見るときは座席の位置が非常に重要です。

 というわけで、事実上の決勝戦の声もあるブラジル×イングランドの決戦ですが、スタンドのイングランド占有率は6割か7割。ブラジルが意外と健闘してます。ただし声は圧倒的にイングランド。
 試合のほうはルシオの凡ミスというか好パスを受けてオーウェンが先制ゴール。さあ、オーウェンを下げてがちがちに守りなさい、スヴェンくん。とか勝手なことを言ってたんだけど、さすがに残り時間が長すぎましたね。そろそろ完調のはずのベッカムもロベカルの対応に追われてか見せ場なし。前半ずっと日陰で休んでたんだから後半にがんばるかと思ったのに。
 ブラジルのゴールは例によってロナウジーニョの伝統芸能から。スピードが必要な芸は若いもんにまかせて、リバウドはペナルティエリアでじっくり待つと。ブラジルらしいとしかいいようのない攻撃。わかってても止められないのが情けない。
 決勝点になったロナウジーニョのFKはクロスがうっかり入っちゃったラッキーゴールだと思いますが、イングランドの先制点もラッキーゴールだからおあいこだね。

 試合終了と同時にダッシュで飛び出し、愛野駅から掛川駅へ。例によってものすごい行列を行進させられるが、新幹線下りホームはがらがら。浜松でひかりに乗り換え、空いてたグリーン車にゆったりすわって新大阪まで。御堂筋線に飛び乗り心斎橋のハートンホテルにチェックイン。そくざにテレビをつけてドイツ×アメリカ戦を前半途中から見る。カーンさま絶好調。そしてまたしてもバラック。
 NHKはノイビルをヌビルと呼ぶことにしたらしい。自宅ではスカパーの中継しか見てないので地上波のことはよくわからないんだけど、いつからヌビル? スイス出身だからドイツ語読みしないの?
 それにしても、トーナメントに入ってからはやっぱり渋い試合がつづくなあ。ファーストラウンドのほうが面白かったのでは。

 試合終了後、梅田・泉の広場でべつべつのホテルに泊まってる同行者三人と落ち合い、お初天神通りのゆかりでお好み焼き。阪急東通り商店街をぶらつき、キャバクラ情報スポットの急増に驚愕する。関西一円のキャバクラ専門の無料情報誌まで出ている。大阪はキャバクラ・セクキャバの天下なのか?



【6月22日(土)】



 昼過ぎに起きてホテルを出ると、土曜日だけあって外は大混雑。なにしろすぐとなりはアメリカ村なので。三角公園までぶらぶら歩き、コンビニでスポーツ新聞買って、目についた飯屋で昼食。ニードルスで謎のTシャツを購入してから、サラリーマン御用達の古ぼけた喫茶店に入る。店の隅に置いてある14インチのテレビでは阪神戦の中継。大阪の喫茶店はテレビがあっていいなあと思いながら見てると、店のおばちゃんが、
「あ、もう三時や。サッカー始まるんちゃうか」とチャンネルをいじりはじめる。まだ阪神戦やってるのに。
 しばらくして常連客らしきおっちゃんがやってきて、オレの向かいにどっかと腰を下ろす。相席はあたりまえらしい。怪訝な顔でテレビを見上げ、
「あれ? 阪神は?」
「うちとこ、六月はサッカーやねん」
「……」
「阪神見たいか? どうせ負けてるで。点だけでも見る?」とチャンネルに手を伸ばす店のおばちゃん。客のおっちゃんは手を振って、
「ええわ。今日はサッカー見たる」
 大阪ではこのようにしてサッカーが根づいているのだった。いや、阪神が勝ってる試合だったらまたべつかもしれませんが、阪神の負け試合よりは韓国×スペインの準々決勝のほうが重要なのである。

 その喫茶店で向かいのおっちゃんといっしょにしばらく見てから、ホテルにもどって試合のつづきをTV観戦。エジプト人の主審はけっこういい感じで笛吹いてます。陸上トラックが併設されてるせいか、スタンドの応援もおとなしめで、イタリア戦にくらべるとふつうの試合。ラウール抜きのスペインはモリエンテスが孤立し、プジョルもあんまり上がれなくて、ホアキンが孤軍奮闘するだけでは勝ちきれない。副審の判定はかなり謎めいていたし、韓国の絶体絶命を救う笛もありましたが、終わったあとで幻のゴール2点が盗まれたとか騒ぐスペインも大人げない。ゴール決まる前に笛/旗でプレーが止まってるんだから言ってもしょうがないでしょ。あれが盗まれたゴールならベルギー戦の稲本の2点めも盗まれたゴールだよ。ブラジル戦のウィルモッツのゴールもね。
 もっとも従来のW杯では、ホーム寄り疑惑判定の主力が主審のPK判断だった(ような気がする)のに対して、今回は副審の判定が大きくクローズアップ。ホアキンのあのクロスはどう見てもゴールラインを割ってないから、スペインの人が怒る気持ちもわからなくはない。
 それにしてもPK戦になればカシージャスのいるスペインが有利だったはずなのになあ。止めたはずの一本目をこぼしたところから迷いが出た感じ。この試合でいちばん活躍したホアキンがPKはずすのはお約束でしょう。

 心斎橋から御堂筋線に乗って長居ふたたび。今大会を象徴するようなセネガル×トルコの準々決勝。わたしは駅前に立ってたセネガル人の兄ちゃんから買ったセネガルTシャツを着てセネガル応援してたんですが、試合は一方的にトルコ。ハカンがシュートを忘れてなかったら2-0でトルコが90分勝ちしてた試合。セネガルはもどってきたファディガの出来がいまいち。というかトルコの守りかたがうまかったのか。

 試合終了後、長居商店街のモツ鍋屋に四人で入って食いまくり。「警備と誘導のせいでW杯の試合がある日も全然客が来ない」という長居商店街の怒りの声が新聞に載ってたんですが、たしかに店はがらがらでした。新潟駅前の居酒屋がどこも満員だったのとは大ちがい。駅の入口まで問答無用で行進させられちゃうから、その先には人がほとんど流れない。徒歩三十秒のロケーションなのに。おかげで「すぽると」とか見ながらのんびり食事ができたからよかったけど。

 終電がはるかに延長されている御堂筋線に乗り、なんばで降りてホテルまで歩く。韓国戦のあとは数十人規模のダイブもあったらしいひっかけ橋ですが、さすがに今日はもうやってません。それでも各国サポーターは目立つ。セネガルTシャツ姿で心斎橋筋のアーケードを歩いてると、向こうからセネガル人集団(みんな白人)が十人ばかりやってきて、オレのTシャツを見るなり「セネガール、セネガール、セネガール!」と歌い出し、おまえも一緒に来いと無理やり行進の列に参加させられたり。長居の試合のあとはこのへんに集結するのがお約束なのか?




【6月23日(日)】



 お昼にチェックアウトし、心斎橋大丸地下で夕食を買い込んでから新幹線で東京帰還。



【6月24日(月)】



 どっと疲れが出て一日寝てました。



【6月25日(火)】



 ずっと寝てるわけにもいかないので、とうに締切を過ぎた原稿を書く。アスキーもアニメージュもW杯ネタ。だってまだ終わってないし。

 というわけで8:30からはドイツ×韓国の準決勝。立ち上がり10分は韓国が圧倒的によくて、中2日なんてとんでもないスケジュールなのにこの人たちは超人? と思ったが、やはり90分はつづかない。ミスも少なくて前2試合より出来はよかったのにドイツが一枚うわ手でした。機械のように正確で単調なドイツ・チームの中でノイビルひとりだけリズムが違ってて、勝手に走りまわってるんですが、その異分子にやられた感じ。
 ま、韓国は、ホームで三位決定戦を戦えるうえに、「日本に勝ったトルコを倒して、日本より強いことをはっきり見せつける」という強いモチベーションも持てるから、ここで負けても結果オーライでしょう。

 夜中のスカパー「ワールドカップ・ジャーナル」でソウルから電話出演した後藤健生が、「韓国がほんとに強かったらどうしようと思って夜も寝られないぐらい心配だったんだけど、今日の試合を見て安心しました。ひたすら走りまくる昔ながらのアジアのサッカー。あれは日本が目指すサッカーじゃない」
 とか胸を撫で下ろしたように語っていたのが笑えました。しかし結局、ワールドカップでは戦術とかシステムがいくらよくても関係ないってことじゃないの? いくら勝ち上がってきたからといっても、ドイツやブラジルの真似しようと思う国はないだろうし。かろうじて見習う余地があるのはトルコかな。

 アジアなんかでやるからこういう結果になるんだとヨーロッパの人は苦々しい気持ちでいっぱいでしょうが、考えてみたらむしろこっちのほうが(定義的には)正しい結果なのかもしれない。ワールドカップなんだから。欧州ローカルで強いからといってアジアで勝てるとは限らないと。



【6月26日(水)】



 飯田橋から南北線で三たび浦和美園へ。準決勝と決勝だけと見に昨日ケープタウンからやってきたという英国系のおっちゃんたちが品の悪い歌(どこのだれそれはbloody pissだとかいうやつ)を歌いまくっているので、新潟で覚えたマイクル・オーウェンの歌を教えてあげる。Micheal Owen, Micheal Owen, faster than the Shinkansen, みたいな。まわりの日本人客も巻き込んでサッカー談議。
「おまえはだれが好きだ?」
「アーセン・ベンゲルです」
「ベンゲル? ベンゲルなんか犬のクソだ。ファーガソンのほうがずっとましだ」
 などなど。ニューオータニとか高輪プリンスとかに泊まってるくせにやっぱり下品。

 駅前の広場で三村美衣と落ち合い、花火を見物。埼玉スタジアム周辺の警備もいい感じにこなれてきたのか、露天商の取締は飛躍的にゆるくなり、これまでとは見違えるようにたくさん店が出てました。フェイスペイント屋も多数。これでこんなに寒くなきゃ夏祭り気分だったのに。ま、雨がやんだだけましか。

 しかし、寒さにもかかわらずブラジル×トルコ戦はすばらしい好ゲーム。前半途中まではトルコが中盤を制圧し、ワンタッチのパスが面白いようにつながる。ハサン、バシトゥルクもいいけど、エムレがうまいね。いいときのポルトガルやアルゼンチンを彷彿とさせるみごとな攻撃は見てて非常に楽しいんだけど、問題はフィニッシュ。
 対するブラジルはカウンターからの速攻で再三チャンスをつくり、これまた見せ場たっぷり。この試合の前半は、今大会、ナマで見たなかでもベストワンかな。ダイレクトで勝負するトルコと、ボールを止めてから芸を披露しにいくブラジルと、個人技の見せ方も好対照。調子よくパスがまわってる時間帯にトルコが1点決めてれば勝機があったんだろうけど、後半立ち上がり、ロナウドが四人のディフェンダーに囲まれながら放った爪先の一発で勝負あり。ブラジルの守備はだんだん安定してきてるんじゃないですか。
 こういう攻め合いの試合はやっぱり楽しい。トーナメントに入ってからではベストゲームかも。家に帰ってからスカパーの再放送を見はじめたら止まらなくなり、最初から最後まで見ちゃったよ。
 それにしてもニールセンさんは背が高いね。ボールと関係ないどつきあいにイエロー出さない判断もよかった。
 これで決勝はドイツ×ブラジル。ブラジルも今日みたいなサッカーはさせてもらえないはずなので、少ないチャンスを決められるかどうかだな。0-0PK戦になればカーン様のご威光でドイツか。どっちみちバラックのいないドイツは点がとれる気がしません。ブラジルがはやい時間帯に先制しないかぎり思いきり渋い試合になりそう。



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