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【6月7日(金)】


 決戦は金曜日。
 2時間睡眠で明け方起き出し、さいとう姉妹+トキオ社長とタクシーで羽田。国樹由香嬢と合流したのち、午前9時初のJASで千歳に着き、さらに柳下毅一郎と合流して札幌へ。
 ホテルはテレビ塔そばのエーデルホフモントレ札幌の20階。JTBで予約したホテルなんですがイングランドからのサポーターも多数。
 14階にスパがついてるというのですばやく偵察に出かけ、ナトリウム系の温泉に浸かって極楽気分のあと、味の時計台ラーメンで昼食。
 札幌の街はイングランドサポが圧倒的多数。しかし路上でものを売ろうとするとすぐに警官が寄ってきて「ノー・セールス」と注意するのでたいへんです。
 しかし、いちばんたいへんなことになってたのは大通公園。公園内は放任政策がとられているらしく、集会・結社の自由も販売の自由も認められている模様。イングランドのユニは純正品で7000円ぐらい。Tシャツは2500円とか。イングランド優勝の年を記念して「66」のロゴが入ったやつと、「02」のロゴが入ったやつ。着替えがないので02バージョンを一枚購入。さらに、イングランド・ユニの上下セット子供用を売ってて、値引きしてくれたので4000円で買う。上着がわりにトキオ社長に着せたところイングランド・サポーターのお姉ちゃんに大人気(笑)。芝生の上で遊ばせてるといろんな人がやってきて写真を撮ってゆく。話を聞いてると、だいたいみんなスウェーデン戦の前から東京に泊まり、埼玉の試合を観たあと昨日から札幌入り。イングランドが敗退するまで日本に滞在するらしい。日本の評判は上々で、警官の数がやたら多いのもべつに気にならないとか。

 そうこうするうち3:30になり、ナイジェリア×スウェーデン戦がキックオフ。社長を連れてホテルにもどるさいとうよしこと別れ、残る4人で「スカパーの観られる店」を求めてススキノ方面へ歩く。目指すは、今朝の朝刊各紙に格好のニュース種を提供していたSapporo Soccer Cafe。酔っ払ったイングランド人サポーターが店の壁に貼ってあったユニフォームをガメて帰ろうとしたので店が警察に通報したところ、サポーターの数があんまり多いので機動隊まで出動する騒ぎになったとか。
 昼間やってるかどうかよくわからなかったんでとにかく行ってみたんですが、いやもうものすごい人口密度。で、その8割はイングランド人サポーター。ブライトンのワールドコン(世界SF大会)に行ったときよりさらに英国人密度が高かったのでは。それでもかろうじて立錐の余地はあり、TV画面はなんとか見られたんですがとにかく暑くて死にそうな状態。イングランドの予選リーグ突破に向けてみんなナイジェリアを応援してて、ストレートなリアクションがなかなか楽しいんだけど、まあこれはどこの国でもいっしょか。

 あまりにも暑いので途中で抜け出し、向かいの喫茶店でちょっと休憩。ナイジェリアの負けを確認してからいったんホテルにもどり、いよいよ札幌ドームに向かって地下鉄で出発。車内は当然ENGサポの山。God Save the Queenとか歌いまくってます。
 福住駅から札幌ドームまでは徒歩。いたってスムーズな流れで会場に到着。ドームの中はむしろプロレスとかレスリングとかが始まりそうな雰囲気。しかし座席はバックスタンド側の前から27列目とかなり近い位置。おかげでベッカム様のPKは真正面から見物できましたが、ベッカムの見せ場はそれぐらいだったなあ。プレースキックを蹴るだけの係り。これなら中村俊輔を出すほうがよほど役に立つと思う。それでもベッカムを下げられないエリクソン。そのおかげというべきか、後半、一瞬だけ奇蹟のようにパスがつながり「強いイングランド」が見られたんだけど(最後ベッカムが右からのシュート外したときの攻撃)ほんとにその一瞬だけでしたね。あとはオーウェンまで下げてひたすら守る。ゴール前に全員かたまってなりふりかまわず守る守る守る。
 アルゼンチン側は途中出場のアイマールがキレまくり何度となくチャンスをつくってたんだけど、やっぱりオルテガの動きが鈍い。ボール持ちすぎ。伝統芸能だからしょうがないのか。なんかやりそうな気配だけ漂わせて結局下がっちゃうんだよなあ。カニージャなんかじゃなくてサビオラを呼んでおけばここで流れを変えられたのに。せめてバティストゥータとクレスポの2トップでしょう。
 イングランドもとにかく猛攻をしのぐことしか考えてないラスト15分で、第三国の観客としてはちょっと情けないと思うのだが、本国のサポーターとしては格上のアルゼンチンに勝った事実だけで歓喜の絶頂。よっぽど不安視されていたらしい。
 しかしこの勝利のおかげでイングランドは1位抜け確率急上昇。ナイジェリアに勝つと大分でデンマークかセネガル(ひょっとしたらフランス)ですか。意外といいとこまで行くかもね。

 ところで試合中、前の席にいたイングランド人サポーター3人組はキックオフまでずっと立ちっ放しで歌を歌い、アルゼンチン応援団にブーイングをがなり、先頭を切って応援しつつ、こっちにふりかえってカメラをわたし写真撮ってよと要求したりするという具合で、今からこれじゃあ試合がはじまったらどうなるんだろうとひそかに頭を抱えてたんですが、キックオフの瞬間に着席。なるほど、これが正しい観戦マナーなのか。3人組のひとりがブレザー姿の渋いおやじだったのもいい感じでした。




【6月8日(土)】



 トキオ社長がまたしても熱を出したので札幌観光は中止して主にホテルでだらだら。パソコンのバッテリーを充電しにきた柳下毅一郎と温泉に浸かってラウンジでのんびりスポーツ紙を読み、ちらっとススキノまで出かけて買い物したり。あとは斉藤友子・国樹由香コンビがデパ地下で買い込んできた食糧を部屋に広げて食べながらTV観戦。

 イタリア1×2クロアチア@茨城は、無理してでもチケットとっておけばよかったと後悔。国立でアントラーズ戦を観たときも思ったけど、やっぱりイタリアはネスタがの守備の要。あそこからおかしくなって修正できず、あわてたマルディーニの凡ミスが致命傷。イタリアが1点リードして勝ちきれないなんて。まあなんというか、今回はサッカーの常識がことごとく通用しない大会ですね。ヨーロッパ的なフットボール観というか、サッカー先進国の考え方でやってるとぜんぶひっくり返されてしまうという皮肉。ヨーロッパの人は、この大会はなんか変だと思ってるんじゃないですか。しかしそういうのはみんな20世紀の常識で、この大会のパターンが21世紀のW杯スタンダードになるのかも、という気もちょっとする。
 それにしてもラパイッチのあのゴールは、偶然とはいえ奇蹟のように美しい軌跡。一瞬、時間が止まったかと思ったよ。オリッチもよかった。
 ま、イタリアもレフリーが常識的な笛(強豪国と新興国の対戦では常に強豪国有利に判定する)を吹いてれば勝ってた試合なので、運がなかったとは言えるのだが。

 つづくブラジル4×0中国@西帰浦は、ロベカルのフリーキックでブラジルが先制した時点で勝負あり。いまのブラジルがそんなに強いとは思えないのだが、イケイケドンドンになっちゃうと中国はどうしようもない。先制点さえやらずに後半まで持ち込めばけっこうなんとかなると思う。というわけで、日本が神戸で中国の敵討ちをすると。





【6月9日(日)】



 熱が下がったトキオ社長と午前中しばらく大通公園を散歩してから、お昼の飛行機で羽田に帰還。
 メキシコ 2-1 エクアドル@宮城とコスタリカ 1-1 トルコ@仁川はちらちら横目で眺めた程度。トルコも勝ちきれないのは情けない――というか、コスタリカがしぶといのか。パルマでも冴えないハカンシュクールはW杯でもやっぱり冴えない。

 という試合を横目で観つつ風呂に入って昼寝して日本×ロシアに備える。決戦は日曜日。
 いや、じつはロシア戦のチケットはフィフティの確率で手に入ってたんですが、柳下毅一郎との札幌ドーム前ジャンケン対決でまさかの敗北。あそこはやっぱり素直にパーで行くべきだったよなあ。そもそも一回勝負に応じたのがまちがいで、三回勝負にしていれば――とか言っててもしょうがないので体調を整えてテレビの前へ。
 右サイドの先発は明神。いや、当然そうでしょう。左サイドの小野は守備の負担が多くてほとんど攻撃にからめない。やっぱり体調は良くないみたいだなあ。そうそうそう、やっぱりそこは服部でしょう。おお、今日はトルシエとシンクロ率高いな。はやく服部を入れて……と思ってるのになぜかなかなか交替せず、かわり中山なんか入れちゃって(山本コーチの進言だったらしい)どうするんだよ。
 と、服部の投入を待つあいだがいちばんドキドキしましたがなんとか事なきを得た。すばらしい。なんかこのチーム、すごく安心感があるね。宮本くんもあの状況でよくがんばった。あそこまで引いて守るのはきっとすごく不本意だったと思うけど、ポリシーはポリシー、本番は本番だからさ。イングランドだってああいう試合するんだから、日本は引いて当然。前半ロングボールばっかりだってOK。勝てばいいのよ勝てば。
 ま、オレがジャンケンに勝って横浜に行ってれば中田英寿のミドルシュートはゴールに入れてたから、もっと楽勝だったけどな。ま、審判も今日は正しい笛を吹いてくれたので助かった。戸田がペナルティエリアで相手をうしろから羽がい締めにして倒したのがPKとられなくてほんとにラッキー。ま、ベルギー戦と合わせておあいこかな。2試合合計の勝ち点はどっちみち4だ。

 唯一の問題はこれで1位抜け確率が飛躍的に高まったこと。コスタリカ相手のほうが勝てない気がするのはオレだけ? ブラジルを破ってベスト8っていう劇的展開で盛り上がるシナリオなので、そこを間違えないでいただきたい。




【6月10日(月)】



 ロシア戦の余韻が醒めぬまま、韓国では天下分け目の大一番。共同開催国の試合をどうして地上波では中継しないんですかね。と怒る柳下毅一郎に電話で途中経過を実況しつつ試合を観る。
 韓国 1-1 米国@大邱は最初から異様な雰囲気。しかしアメリカには全然関係ないのだった。関係あったのは審判の笛。前の試合でビューティフルなオウンゴールを決めてしまったアグースはろくにさわってもいないのにペナルティエリアでファウルとられてしまい、イユリョンのPKは防いだものの(ああいうときは頭に包帯巻いてるファンソンホンに蹴らせたほうがよかったと思う)、その後はゴール前の守備が腰砕け。それが伏線になってアンジョンファンに楽々ヘディングを決められる結果に。
 しかしゴールを決めたあとのパフォーマンスは何事かと思いましたね。やることが子供。冬季オリンピックのことなんか関係ないじゃん! しかも、勝ち越しシュートならまだしも同点でしょ。韓国にはぜひグループリーグを抜けてほしいと思ってたんだけど、あんなの観ちゃうとなあ。四面楚歌の状況で、本国のファンはほとんどだれもTV中継なんか観てないし関心さえ持たれてないというのにそれでもがんばるアメリカは強い。ドノヴァンなんか人気爆発しそうななのになあ。アグースだけはやや不安ですが。

 チュニジア 1-1 ベルギー@大分はチュニジアのしぶとさが目立ち、ベルギーはベルギーらしい試合運び。
 これで日本はロシア×ベルギーの結果を気にすることなく、チュニジアとの対戦結果だけ考えればよくなったわけですね。1点差負けなら2位通過。ということはA組のデンマークやセネガルとまったく同じ状況なので、ふつうに考えればグループリーグ突破はほぼ確実。気分的には、フランスとあたるデンマークより、ウルグアイとやるセネガルに近いか。ほら、そう思うと安心でしょ。とはいえ、「2点とるために最初から3トップでがんがん攻めてくる」みたいな相手と当たった経験はたぶんまったくないので、最初の15分とかに決められちゃうとすごくあわててしまう可能性も。とか考えてるとどんどん不安になってくるのでやめましょう。
 決勝トーナメントを考えると中田英寿も小野も休ませて、西澤と秋田を試すとかしてもいい気がするんだが、まあそうは行かないだろうなあ。サイドの先発は服部と市川か、アレックスと明神。服部と明神で、前半ははっきり守備的に行ってもいいと思うけど。
 しかしちょっと前までは、「攻撃は点が取れないが守備は安心なチーム」だったはずなのに、いまや「点は取れそうだけど守備が不安なチーム」に変身してしまったのはなぜでしょう。「2点差で負けなければよし」という余裕を感じさせるボール回しに期待したい。

 ポルトガル 4-0 ポーランド@全州はパウレタ大爆発。ルイコスタを先発から外したのはとりあえず正解でしたね。フィーゴを下げてもよかったと思うがそうも行かないか。
 それにしてもこの2チームが負け負けでぶつかり、どっちが草刈り場になるかを競うことになろうとは。
 米国×ポルトガルではポルトガルを圧倒的に応援していた韓国人観客は、今日は一転してポーランドを大応援。そりゃま、アメリカに負けたポルトガルのせいでたいへんな迷惑をこうむったわけだからしょうがないけど、先制したポルトガルは強い。韓国の人にとってはもっとも頭の痛い結果。負けなきゃいいとはいっても調子に乗ってきたポルトガルだもんなあ。最初からがんがん来るのをどう防ぐか。ホンミョンボの指導力が問われる試合になりそうな気が。

 本の雑誌の締切をとうに過ぎているので、あわててヴァーナー・ヴィンジ『最果ての銀河船団』(創元SF文庫)を読みはじめる。上下で1200ページもありやがんの。どうするんだいったい。




【6月12日(火)】



 フランス最後の試合なのに地上波では中継がありません(笑)。復帰したジダンは、ジョルカエフやミクーよりは可能性を感じさせるものの、やはり決定機に決められず。デンマークは守備的とはいいながらも全員で引いて守るわけでもなく、余裕を持った試合運び。
 フランスも最後の試合の相手がヨーロッパのベテラン国じゃなきゃもうちょっとなんとかなったかもしれないが、サッカーの常識を知ってる国同士の対戦では、やはり2点差勝ちは無理。デンマークが先制した時点でほとんど終わってた試合でしたね。それにしてもぶざまとしか言いようがない敗戦。3試合やって得点ゼロ、失点3、勝ち点ゼロの最下位とは。
 同時キックオフの試合でウルグアイが前半0−3とリードされながら後半怒濤の攻撃で3−3まで追いついてるだけによけいフランスのダメさが目立つ。
 結局、前回大会同様フランスは決定力のないチームで、老朽化したディフェンス陣の綻びが目立つばかり。ルメールも打つ手がないというか、この期に及んでもシセとトレゼゲの2トップにしないところがダメすぎる。追いつめられたときになりふりかまわぬ試合ができないとダメっていうのが今大会これまでの教訓か。




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