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【3月1日(金)】


 徳間文芸賞授賞パーティ@東京會舘。
 第4回大藪春彦賞は奥田英朗『邪魔』、第22回日本SF大賞は北野勇作『かめくん』、第3回日本SF新人賞は井上剛『マーブル騒動記』と、佳作が坂本康宏『○○式歩兵型戦闘車両』。
 新人賞受賞作はSFJapanに一挙掲載。佳作のほうはオレの箱だったので予備選考 で読んだけど、『地球防衛企業ダイ・ガード』みたいな話。なぜ合体ロボになってしまったのか、という理屈がけっこう笑えます。

 パーティ会場では、大藪賞前回受賞者・五條瑛嬢の真っ赤な髪が異様に目を引く。ブリーチしないでのせただけでどうしてそんなにきれいに染まりますか?
 なんかウェラの新しいカラーリング剤で、国内未発売のを美容院が入れたんだとか。しかしあそこまで鮮やかだと近所を歩きにくい気が。ううむ。

 東浩紀氏とおたく第三世代に関する意見交換。最大の問題は、動物化モデルになりそうな第三世代おたくをオレが直接見てないので、実体として認めにくいってことかなあ。つまり原理的には納得できても、実感として納得しがたいと。ていうか、『動物化するポストモダン』に対して第三世代サイドから目立った反論が出てこない(少なくとも《アニメージュ》のコラムを書いたときざっと検索したかぎりでは見つからなかった)って事実が、東浩紀の主張の正当性を証明している? それとも若い人はあんな本読まないのか? 学生向けの本なのに。

 北野勇作の受賞スピーチは飛ばしまくりだったけど、会場の反応はいまいち。「上方お笑い大賞」とチョコエッグは難度が高かったのか?
 しかし北野勇作が本格的に爆裂するのは三次会。
 夜の銀座を歩きながらの北野×牧野対決も名勝負だったけど、破壊力ではやはりカラオケボックスに移ってからの浅暮×北野の罵倒合戦に軍配が上がる。田中哲弥×北野勇作対決はよくわからない勝負に……。しかしいちばん凄まじかったのは、リング上にいない他団体チャンピオンとの勝負。
「ていうか、おれが国境なき医師団なんや」発言は一生忘れません。これからは日本の国境なき医師団と呼んでいきたい。病気になっても診てもらうのは財政的に無理ですが。保険なき医師団だしなあ。
 ……とうちの伝言板に書いたところ、ご当人から、
「私は、国境なき医師団というより、増刷を知らない子供たちですよ。
 それに癒し系として売ってるんですから、癒し系イメージを壊しかねないこういう書き込みは今後は謹んでいただきたい。知らん知らんなあんにも知らん。というか、記憶なき医師団なのよ。なんでもいいからチョコエッグよこせ。」
 とのコメントを頂きました。いうまでもなく、大森のこの日記における記述は最近の出来事をもとにした創作です。

 そのときにも書いたけど、授賞式会場で配られた日本SF大賞の選評には茫然。「純文学コンプレックス」って……。『鳥類学者のファンタジア』を候補/受賞作に選ぶことについて、「純文学コンプレックス」という言葉を適用するからには、この小説が「SFというより純文学である」って前提に立ってるんだろうけど、それについてはほとんど検証されず、「純文学作家」が書いたんだから「純文学」というトートロジーに陥っているような。奥泉光は一生純文学作家ですか? 芥川賞の呪い?
 これは70年代によく言われた冗談、「SFとはSF作家が書く小説のことである」ってSF定義とほぼパラレルで、日本のSF作家が書いた本はなんでもかんでもその年のSF作品リストに入れてしまう(個々の作品に即したジャンルの判断を放棄する)という慣習が長く続いたんですが(いまだに多少は尾を引いているかもしれない)、実質的にはもうとっくに無効でしょ。
 大森は、「作品」のジャンル分けには意味があるという立場ですが、「作家」のジャンル分けには意味がないというか、分けることがほぼ不可能なので、作品ごとに判断するしかない。作品のジャンル分けにしてもべつに相互排除的ではないので、「純文学でかつSF」とか「SF+本格ミステリ+時代小説」みたいな組み合わせも当然ある。さらに厳密にいいはじめると、オレは「SFホラー」とか「SFファンタジー」という組み合わせを原則として認めないんだけど(ジャンルの性格が相互排除的)、それだって例外はあるしね。

 ところでこの選評では、中島梓が(「あずさの更新日記」の記述からも予想されたとおり)、小林泰三『ΑΩ』を(書名に言及せずに)大罵倒。レトリックにしてもあまり品がよくないけど、まあ相手が小林泰三だし(←理不尽な扱いを受けると、いかにもうれしそうにそれをネタにするのが芸風)、どうせ受賞しないんならこれぐらい言ってもらえたほうが本人としてはうれしいに違いない。
 と思っていたところ、義憤にかられる人が出現。鈴木力『恥を知れ、中島梓――第二十二回日本SF大賞・中島梓の「選評」批判』は、読者サイドの見解としてはまあわからなくもない。しかし、伝言板にも書いたとおり、、「姑息で陰湿な書き方」とか「責任回避の態度」とか「奴隷根性」とかって批判は的はずれだと思います。批判するとしたら、「下品」「笑えない」「ルール違反」「ウェブ日記じゃないんだから」……あたりかな。
 大森としては南山宏の選評について、言いたいことがより多いんだけど(ほかになにを候補にすればいいと思っているのかとか)、それは南山さんに会ったときに直接言うことにしよう。




【3月2日(土)〜4日(月)】



 トキオ社長は水疱瘡。絵に描いたようで笑えます。しかし最近は水痘の抗ウイルス剤があるらしく、あんまりたいしたことにならずに峠を越した模様。はやいうちにかかっとくほうが楽らしい。保育園は水疱瘡大流行で、休んでる子のほうが多い状態。これが小学校なら学級閉鎖か。

 《スターログ》の連載、「80年代名画座」の原稿を書くためにデラックス版DVDで『ダーククリスタル』を再見。あそこまで異星の生態系をちゃんとつくったんなら、ラストもSFで落としてほしいとやっぱり思いますが、まあそんなことはどうでもいいぐらい傑作。しかもこのDVDには1時間近いメイキングが収録されてて、こっちのほうも必見。→『ダーククリスタル デラックス版』4,700円はたいへんお買い得だと思いました。
 ついでに、The Japanese Dark Crystal Unofficial Siteも、『メイキング・オブ・ダーク・クリスタル』の日本語訳や公開当時の《スターログ》特集記事など膨大な関連資料がまるごと読めてたいへん便利。思わず読みふけってしまったことである。




【3月5日(火)】



 トーレン社長のお供で双葉社〜辰巳出版。スタジオ・プロテウスに関しては将来的に大変動があるかもしれないんだけど、まだよくわからない。
 サンフランシスコでお留守番の斉藤友之はウルシ(poison oak)にかぶれてたいへんな模様。しかし電話で愚痴を言われた愚痴をオレにこぼされましても。




【3月6日(水)〜10日(日)】



 《本の雑誌》用に翻訳ファンタジーをひたすら読む。World Fantasy Awards(世界幻想文学大賞)受賞作が4冊もまとめて出るっていうのはどういうこと。

1979年度受賞:マイクル・ムアコック『グローリアーナ』(大瀧啓裕訳/創元推理文庫1300円)
1976年度受賞:リチャード・マシスン『ある日どこかで』(尾之上浩司訳/創元推理文庫980円)
1985年度受賞:バリー・ヒューガート『鳥姫伝』(和爾桃子訳/ハヤカワ文庫FT740円)
2000年度受賞作のマーティン・スコット『魔術探偵スラクサス』(内田昌之訳/ハヤカワ文庫FT680円)

 ちなみに歴代受賞作は、たとえばこのあたりhttp://www.ameqland.com/sf2/wfc.htmを参照。
 長編部門の受賞作でいま手に入るのは、 ジョン・クロウリー『リトル、ビッグ』(国書刊行会)、ジュースキント『香水』(文藝春秋)、グリムウッド『リプレイ』(新潮文庫)、シャイナー『グリンプス』(創元推理文庫)、マキャモン『少年時代』(文春文庫)ぐらい? ストラウブの『ココ』も品切らしい。
『ある日どこかで』が好きだった人には、『グリンプス』がおすすめ。しかし『グリンプス』が好きだった人が『ある日どこかで』を読むと、タイムトラベルの手続きがシンプルすぎると思うかも。瀬名さんが好きだというのは非常によくわかるんだけど。

 フィリップ・プルマン《ライラの冒険》三部作が、『琥珀の望遠鏡』でついに完結(→amazonbk1)。ハリポタは借りて読み、こっちは買って読むのがファンタジー愛好者の正しい態度かも。しかしまさか『エンディミオンの覚醒』になって終わるとは思わなかった。びっくり。

 そう言えば、山田真美『夜明けの晩に』(幻冬舎)が送られてきたので読んだんだけど、これはなんなんでしょう。トラベル伝奇小説? 著者のサイトのトップページはたいへんなインパクトがあったけど、小説は……。ヒロインのキャラが1970年頃のベタな少女マンガみたいだったり、いろんな意味でかなり浮世離れしてます。明石散人よりはふつうだけど。

 780ページの道も1ページからってことで、コニー・ウィリス『Passage』の翻訳にも着手。とりあえずペーパーバックの背にカッターを入れ、第一部だけ分割。それだけでも250ページ(笑)。ウィリスの文章は訳しやすいので、ほかに仕事がない日なら一日10ページは進むんだけど……。


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