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【1月18日(金)】


 日本ホラー小説大賞予備選考会@角川書店本社。短編は評価が割れまくりでしたが、まあおおむね予想通りの結果に。長編に関しては、最終選考会を刮目して待ちたい――というか、果たしてアレにどんな反応が出てくるのか楽しみ。

 終了後は例によって摩天楼飯店。ここでも『アラビアの夜の種族』話が。あらすじとかおいしいところとかを大森がひとくさりぶちあげたのを聞いて、角川S戸氏いわく、
「おもしろそうだねえ。それ、どっから出たの?」
 一同爆笑。カドカワエンタテインメントNEXT賞とかで忙しく、自社本をチェックするヒマもないらしい。
 それにしても『13』が角川文庫から出たのはどういうわけなんでしょうか。

 ところで、古川日出男の最新作はいま出てる『小説すばる』2月号に載ってる「サウンドトラック」200枚。特殊な生い立ちの子供が成長して――という著者十八番のパターン。連作長編になる模様で、これも先が楽しみ。

 食事のあとは例によって麻雀。茶木、池上、S戸の3氏と午前1時ぐらいまで打ち、ラストの大トップでかろうじてとんとん黒字まで戻したところで角川T木氏と交替してタクシー帰宅。




【1月19日(土)】


 ひさしぶりにユタ。最近の新刊とか映画とか01年SFベストとかの話題。W杯チケットはプレステージでも買ってやる――と思って電話したけどやっぱりつながらないよ、とか。




【1月20日(日)】


 アスキーのコラム。吉野家コピペの元ネタ探しとか。新爆さんの日記の2001年4月7日の記述が原典らしい。ここが「小1時間問い詰めたい」の元ネタ。知ってました?
 しかしまた「最近大森はアスキーのコラムに2chネタしか書いてない」と言われてしまう(笑)。じっさいには去年1年間で2chネタがメインだったのは1回だけなんだけどなあ(ほかにちょっとでも言及があるのが2回ぐらい)。




【1月21日(月)】


 山田正紀×押井守対談@新宿MYCITYプチモンド。意外なことにご両人は初対面とか。山田さんは押井さんに会うというのでたっぷり予習をしてきたらしく、押井作品に関して突っ込んだ質問しまくり。そ、そういう趣旨の対談じゃないと思うんですけど。
 山田さんは、顔が腫れたので病院に行ったら(歯科)「悪性の腫瘍」とか診断されて、「おいおいまたかよ」と凶暴な気分になったそうです。でも実際には、猫に引っかかれた傷からわりと珍しい菌が入っただけだったとか。すでに二度捨てた命。山田正紀に怖いものはない。




【1月22日(火)】


 映画美学校で「マッリの種」と「自殺サークル」。
 前者はマルコヴィッチがプロデュースした(というか製作資金を負担した)インド映画。女テロリストもの。自爆要人テロの話で、悪くはないんだけどやや退屈。
「自殺サークル」は園子温監督の新作。女子高生50人だかが新宿駅中央線下りホームで集団自殺――っていうのが冒頭。「CURE」「回路」系に、B級テイストが少々という感じですが、桃井はるこの「Mail Me」を歌う劇中のアイドルユニット《デザート》のつくりこみがすばらしい。このユニット、TVに出るたびにユニット名のスペルが違うのはわざとなんでしょうね。カナ表記が決まってて英語表記はお好きなように――って発想(だとしたら)は面白いと思った。しかしこのユニットで歌うとMail Meがものすごく優秀なアイドル歌謡曲に聞こえるなあ。あとなんだっけ、人生はライト・ワンスって曲も傑作だと思いました。
 映画は部分的に非常にいいイメージがあるんだけど、後半説明を放棄しちゃってる感じ。ノベライズとかではちゃんと辻褄が合うのか? あと、ローリーが出てくるところでいきなりお笑いになるのはちょっともったいないかも。嘉門洋子の眼鏡姿は抜群なので、眼鏡っ娘萌えな人は必見。女優の使い方は全体に非常によかったす。

 映画のあと、中原昌也、T野辺くんほかの映画秘宝組とお茶。『スリープレス』を熱く語る三島賞作家。ふつうに聞いてるとけなしてるようにしか聞こえないが絶賛しているらしい。まあ、見終わったあとだれかと語らないとフラストレーションのたまる映画ではある。全然辻褄合ってないから。

 西麻布の「カサ・デル・ハポン」で、ソニー・マガジンズ《ヴィレッジブックス》創刊記念パーティ。柳下毅一郎と殊能将之話とか。柳下も『黒い仏』派らしい。倉阪鬼一郎も『黒い仏』派。二階堂黎人から「見識がない」に分類される派閥なわけですね。




【1月23日(水)】


 年末から、肩こりというか四十肩というか、原因不明の肩痛に激しく悩まされてて、マッサージに行っても全然よくならないので、整骨院の扉を叩く。鍼灸とカイロプラクティックと整体がいっしょになってるとこなんですが、なんか怪しい機械の山。音波で直す「オンパー」とか、すばらしいセンスですね。
 いちばんえらそうな機械は「ソーマダイン」という名称で、電極をぺたぺた肩や背中にくっつけて電気を流すんだけど、この能書きが傑作。
「ソーマダイン」には人工頭脳が入っている。「ソーマダイン」は電磁エネルギーフィールドにより細胞と対話して、自然治癒力を高めます。

ソーマダインに内蔵されている「特殊トランスジューサー」これこそが人工頭脳の正体。アメリカNASAの物理学者が考え出したこのトランスジューサーは共鳴の場利論に基づき、生体からの情報の感知・伝達・処理・記憶を総合的に誘導し処理します。トランスジューサーは人体の細胞周波と共鳴し、細胞の変化を電子的には1/1000秒で読みとり、電気的には5/1000秒で交換します。

 もうちょっとまともなサイトでは、「最新の経皮的神経刺激装置ソーマダインは、働きの弱っている細胞を、修復してくれます。損傷した細胞の電気的性質を正常化するので炎症・腫脹の軽減、筋肉の弛緩、リウマチ等の自己免疫疾患、喘息、アトピー等の全身的疾患にも有効性が期待されています」とか書いてあって、まだしもふつうそうなんだけど。
 しかし「NASAの物理学者」とか「共鳴の場理論」とかのフレーズはこのご時世にも有効なんでしょうか。
 そう言えば、昔SFコンテストに入選した短編で「奇妙な民間療法」ってのがあったなあ。とか言ってる人にはプラシーボ効果も期待できなくてますます治らないのかも。いや、電気を流すの自体は気持ちいいし、なんとなく良くなったような気はしますけどね。




【1月24日(木)】


 ガイナックス新年会@吉祥寺第一ホテル。巨大ダルマ落としとか射的とか餅つきとか、新年アトラクション多数つき。片手にあまるアニメ企画が進行中なのでさすがに勢いがありますね。
 しかしどうも静かだなと思ったら、あかほりさんが熱を出して寝込んで欠席だったらしい。

 売れに売れてるらしい「まほろまてぃっく」DVDは今年になってようやく見たんですが、さすがによくできてます。メイド服のロボットの話はもううんざり――とか思ってるのに問答無用で引き込まれる感じ。萌え要素追求結果としては模範解答じゃないですか。残り時間が決まってるところがポイント。

 二次会は近くの居酒屋。たいへんおめでたい話を聞いて仰天する。SF大会のときからいい雰囲気だとは思ってたけど、いやそうですか、おめでとうございます。しかし進行中の企画を含め、あいかわらず書けない話が多い――とか言ってるうちに日刊スポーツの芸能面で記事に。でも、「同監督が設立した製作会社に勤務していたAさん」ってだれよ。と頭の中が?マークだらけになってたんだけど、ご本人が公式サイトで訂正
 というわけで、庵野秀明さん、安野モヨコさん、おめでとうございます。サブカル業界のロイヤルウェディングっていうか。
 ガイナ新年会の二次会では、このおふたりの会話(パーティの引き出物の打ち合わせとか)を間近に観察する機会があったんだけど、ほとんど夫婦漫才の域に達してましたね。

庵野:(引き出物に)限定もののフィギュアとかどうかなあ。
安野:(言下に)ダメ。
庵野:そうかなあ。おれの友だちはみんな喜ぶと思うけど。
安野:(パーティには)わたしの友だちも来るのよ。
庵野:…………。

 ああ、字で書くと微妙な間合いとか口調のおかしさが再現できなくて残念。
 もっとも、安野モヨコさんもほうも中学生時代はおたくにハマり、即売会に行って同人活動とかもやってた経験があるので、おたくいじりのツボはしっかりつかんでいる模様。思わずおたく歴を根掘り葉掘り質問してしまいました。
 庵野さんのほうは、他人の息子を対象に、「男の子を正しいおたくに育てるビデオカリキュラム」を作成中らしく、この教育論もめちゃくちゃおかしい。
「小さいうちからちゃんとしたものだけを見せなきゃダメですよ。テレビシリーズにしても全話見せる必要はない。たとえば『ウルトラマン』なら×話と×話と×話……」とか。「『セーラームーン』にしたって、ほんとに見せなきゃいけないのは4話に1話ぐらいだから。え? ××××ですか? あんなの見せる必要はないです。それならまず××××を見せて……」
 などなど。「息子を正しいおたくに育てる方法」とか、おたく育児論の本を書くといいんじゃないかと思いますね。(庵野さんが)自分ちの子供で実践させてもらえるかどうかはまたべつの話としても。




【1月25日(金)】


 SFオンラインのSF映画ベストテンと代打の『ダイヤモンド・エイジ』レビュー。

 葛西駅前の本屋で室井祐月のサイン会があるというので、保育園帰りに子連れで覗きにいく。室井さんと会うのは3年振りぐらい? その間に室井さんは高橋源一郎と結婚して子供をつくり離婚しているのだった。光陰矢のごとし。その間の事情は高橋源一郎『官能小説家』に詳しい。って違うか。
 列が途切れかけたあたりで子育て本にサインをもらい、社長を母親に託して新宿へ。フクさんの送別宴会に二次会@パセラから参加。Kashibaさんがいまごろ本の置き場問題で悩んでいる模様。家ごと処分すると楽になるのに。と他人のことならいくらでも言えるがしかし。




【1月26日(土)】


 2時から銀座《柳》で日本推理作家協会の麻雀大会。三回目の出場ですが、今回はまったくダメ。3位→4位→1位→4位で36人中21位だかに沈む。勝負所の見極めを激しく間違えたのが失敗。
 優勝は権田萬治氏。しかし今回の白眉は、最終戦で11万点を叩き出し、25人抜きで2位に躍り出た大沢オフィスK嬢でしょう。




【1月27日(日)】


 アニメージュのコラム原稿を東浩紀『動物化するポストモダン』で、小説すばるの書評原稿を『アラビアの夜の種族』で書く。さらに東京新聞用の『中国科学幻想文学館』書評。




【1月28日(月)】


「幻の小松左京 モリ・ミノル漫画全集発刊を祝う会」@東京會舘ロイヤルルーム。小松左京が半世紀ばかり前にモリミノル名義で描いていたマンガの復刻版が小学館から箱入り全4巻の『幻の小松左京 モリ・ミノル漫画全集』として刊行されたので、そのお祝いの会。手塚治虫系の絵なんですが、今でも(今だから?)けっこう楽しく読めます。
 パーティのほうは、漫画家、編集者、作家ひっくるめて大御所多数。あと、コバルトの野梨原花南さんとは初対面。

 終わったあと、東京會舘ティールームでしばらくお茶飲んでから、とりさんとかといっしょに新宿のローズ・ド・サハラに流れ、我孫子武丸・吉田戦車両氏と合流。吉田戦車氏とは、今から15年ほど前、新潮文庫で糸井重里『家族解散』を出すときにカバーをお願いして、その打ち合わせでお目にかかって以来。月日が経つのははやいものである。『家族解散』はなかなかいい小説なのにあんまり売れませんでしたね。
 しかしテーブルが離れてたので、サハラではもっぱらガイナックス武田さんから最近のおたくビジネス情勢を聞く。おたく第三世代の消費動向とか。「萌え要素」問題は、ガイナ的にもきわめて重要なテーマらしい。まあ、それできっちり外部から萌えの血を導入して「まほろまてぃっく」を大ヒットさせるあたりがさすがガイナックス。




【1月29日(火)】


 日本推理作家協会新年会@ホテル・エドモント。




【1月30日(水)】


『90年代SF傑作選』に収録されるコニー・ウィリスの短編、 「The Soul Selects Her Own Society: Invasion and Repulsion: A Chronological Reinterpretation of Two of Emily Dickinson's Poems: A Wellsian Perspective」を翻訳中。
 エミリー・ディキンスンが『宇宙戦争』の火星人と遭遇していた――というネタの論文風お笑い短編。しかしディキンスンと言われて、どういう詩人だったのかぱっとイメージできる日本人がどれだけいるのか? 俺だって大学の授業でしか読んでないっすよ。
 日本で言うと、たとえば宮沢賢治とか石川啄木とかの未発表の詩とか短歌とかが発掘されて、その断片を解読してみると、火星人のことが書いてあると判明した――みたいな話なんですが、ディキンスンじゃあねえ。
 こんなの日本の読者にはわかんないから、ウィリス入れるんだったら「Even the Queen」にしたほうがいいとオレは山岸真には進言したのに――という事実は記録に残しておきたい。
 おかげでディキンスン関係の文献をいろいろ調べるハメに。原注が山ほど入ってるので、ついでに訳注もいれまくり。しかし研究書とかエッセイは山のように出てるんだけど、詩そのものの翻訳って意外とないのね。




【1月31日(木)】


 角川アニメコミック事業部新春感謝会@東京ドームホテル天空の間。挨拶すべき人に挨拶し、あとはおたく業界の人々と歓談。
 富野さんに劇場版∀ガンダムの話を聞く。後編のほうはやっと完成したばかりらしい。「《SFJapan》手塚特集の杉井ギサブロー氏との対談がめちゃくちゃ面白かったです」と言ったら、
「あの雑誌は対談じゃなくて小説がメインなんだから、そんなものだけ誉めてちゃダメですよ。編集者がかわいそうじゃないですか」
 と言いながらもけっこううれしそうな富野さん。当然というかやっぱりというか、あの対談はめちゃくちゃ反響が大きかったらしい。
 あとは仮面ライダーアギトな人が注目の的でしたね。デジカメ持ってけばよかった。堺三保が期待していた水川あさみの登場はなかった模様。
 スニーカー・ミステリでデビューした『匣庭の隅殺魔』の北之坂柾雪嬢、『氷菓』の米澤穂信氏を紹介される。北之坂さんはまるで高校生みたいなかわいらしいお嬢さんでびっくり――とかいうオヤジくさい感想しか出てこないのは情けないが、綾辻さんの推薦文の謎はかなり解けた気が。雑破業の本を出してるレーベルでデビューした人とは思えません(笑)。評判のいい『氷菓』は未読で申し訳ない。一時的に行方不明になってたのを発掘したので来月読みます(←読みました。古典部の歴史の謎を探るって発想は面白いんだけど、オレの世代だとネタ的にややつらいかも)。乙一氏はついに初ハードカバーが出るらしい。
 酒井美羽先生と花村えい子先生と安彦良和先生を遠くから眺める。まだまだいろんな人がいたようですが、人が多すぎてとてもわかりません。

 1時間ほど滞在してから、幻冬舎・新潮社のホラーサスペンス大賞授賞パーティ@全日空ホテルギャラクシーホールへタクシー移動。
 前回のレストラン開催からホテル開催へグレードアップして出席者もぐんと増えてるんだけど、角川AC事業部宴会からまわってくると、あまりの落差にくらくらしますね。思いきり地味。
 二次会は銀座。去年の一次会場だったところ。受賞者にようやく挨拶。今回はどっちも予選会のとき原稿眺めただけでまだ読んでませんすいません。


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