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【1月1日(火)】


 あけましておめでとうございます。
 ってことで、Air H"でつないで伝言板に新年の挨拶。なんか新年早々大にぎわいの気配ですが、暦と関係なく生きている人が多いらしい。

 トキオ社長はクスリが聞いたらしくずいぶん回復。面倒をみたくてしょうがない祖父母に子守をまかせ、両親は西澤夫妻と合流し、毎度お馴染みビッグエコー中央公園前店でカラオケ。西澤日記既報の通りですが、あのとき西澤さんがゆってたバラード版「はじめてのチュウ」を歌ってるのはLUVandSOULって4人組でした。

 カラオケ後は高知新阪急ホテルのレストランで家族食事会。




【1月2日(水)】


 朝の飛行機で東京帰還。たまたま弟もおなじ便だったんで途中まで荷物持ちを担当してもらう。3時ごろ家に帰り着いて年賀状の整理とか。
 夜は堺三保もやってきて、お雑煮とか食べつつモー娘。の正月オムニバスドラマを見る。安倍なつみの『時かけ』はほとんど大林版のリメイク。ゴマキの『伊豆の踊子』は、保田圭の薄倖の着物姿があまりにも似合いすぎていて悲しい。モー娘。抜けても、時代劇で最初に殺されちゃう貧乏で不幸な女の役とかで生き残りそうな感じ。『はいからさん』は最低。




【1月3日(木)】


 今度は東北新幹線で宇都宮。迎えにきてくれたさいとう弟のクルマでさいとう実家に行き、テレビの大食いバトルをはしごしつつ一族夕食会。本家のテレビ東京があんな企画に走ってはいかんと思うのだが。フードバトルのほうは選手のキャラ立てに走るのはいいとしても、人間関係まで使ってドラマ的に盛り上げようとするのがちょっとうるさい。ていうか、それは民放スポーツ中継と同じ問題か。




【1月4日(金)】


 ひとりだけ先に東京帰還。年明け締切に備えてひたすら読書と原稿読み。キム・スタンリー・ロビンスン『グリーン・マーズ』がいつまでたっても読み終わらないのはなぜですか。向いてないよ、オレ。




【1月5日(土)〜11日(金)】


 なんか書くのをすっかり忘れてましたが、年末(2001年12月21日)には、「『ミステリ美術館』(森英俊)&『本棚探偵の冒険』(喜国雅彦)出版記念忘年オフ会」ってのも二次会だけ参加したんでした。場所は新宿パセラ。古本極道オフっていうか血風オフっていうかそんな感じ。わたしはいまや、いかに本を増やさないかが課題なので、全国各地の古本屋をまわってまで本を買おうという人の気持ちがすっかりわかりません。読まない本は買わない。読んだ本は売る。読む予定がない本も売る。それでも増えるんだけど。

 いやしかし、他人の病の話は好きなので、『本棚探偵の冒険』はたいへん楽しく読みました。ところで、あの中にウチの本の話もちらっと出てくるんですが、念のために訂正しておくと、大森はハヤカワ文庫SFをコンプリートはしてません。ペリー・ローダン全部とか買ってるわけがない(笑)。いや、白背にはずいぶん抜けがあるし、青背にかぎってもたぶんコンプリートじゃないはず。というか、オレの世代にとって、創元とか早川とかの文庫は「いつでも買えるもの」だったから、そもそも全部そろえようと思う対象じゃなかったり。そろえるのは銀背とか元々社とか。新しいところだと、サンリオとかソノラマの海外シリーズぐらいかなあ。

 で、古本血風の会のあとは、ひとりでロフトプラスワンに流れて菊地さんの会でホラーな人たちと朝までうだうだ。くも膜下出血で倒れたと聞いて心配していた神月摩由璃さんがすっかり元気に復活してたので一安心。手術の話はかなり凄絶。

 さらに思い出してきたけど、その前日には新宿で我孫子武丸・田中啓文と落ち合って2時間ぐらい飲んだりしたような。主に『ベルゼブブ』の話。いかにあれが不本意な状態で世に出てしまったかという愚痴ですな。駄洒落も止まらないが愚痴も止まりません。ていうかいいわけ? しかし田中啓文が書きたいと思ったとおりに『ベルゼブブ』を書いていたらいったいどうなっていたことやら。

 まだなんか忘れてる気もするが2002の正月にもどって某新人賞の下読みとか。めっきり記憶力がないので、カレンダー・ソフトに記載がない日のことはなにも思い出せない。あとは作成したファイルのタイムスタンプが頼り。これでも最近6年間自分がなにをしていたかはこの日記のおかげでだいぶん思い出せるんだけど、日記を書く前に忘れてしまうことは一生思い出せないかもしれない。そうか、思い出したくないことは日記に書かなきゃいいのか。




【1月12日(土)】


 フクさんが幹事をつとめる最後(になるかもしれない)「恐怖の会」#7@赤坂ですぺら。渡辺一考さんが経営するシングルモルトバーを総勢二十余名で借り切り。冬コミに行けてないので、ダンセイニ研究誌、〈ペガーナ・ロスト〉の新刊が買えたのがラッキーでした。7号のダンセイニ邦訳リストは謄写版印刷の同人誌(って〈リトル・ウィアード〉ですが)まで入っている労作。しかしこんなにたくさん訳されてるとはなあ。
 あとは『アラビアの夜の種族』(→bk1amazon)とか、掲示板関連の話題とか、『少年トレチア』はほんとに今月出るんだろうかとか(→1月末に出ました)。はっと気がつくと5時間たってて、ひと足先に電車で帰宅。




【1月13日(日)〜14日(月)】


 本の雑誌の原稿。今回とりあげるべき本をリストアップして原稿書いたら、またしても既定枚数の倍に。いちいち縮めるのがめんどくさいので、今回は主要4作だけに絞り込む。
『ダイヤモンド・エイジ』『グリーン・マーズ』のローカス賞ヒューゴー賞ダブルクラウン対決と、古川日出男『アラビアの夜の種族』、粕谷知世『クロニカ』。優勝候補が集中する死のグループ――という趣旨で書いたんだけど、スペースに余裕がないのであんまりW杯ネタは振れませんでした。bk1のコラムで書くべきだったかも。リチャード・パワーズの人工知能SF(?)、『ガラテイア2・2』(みすず書房)は未読。

『フリーウェア』後半の訂正も終えて入稿。なんか3月に出すらしいんですけど大丈夫かなあ。




【1月15日(火)】


 仕事が一段落したので『玩具修理者』を見にいこう――と思ったら公開終わってました。とほほ。
 しかたないので、試写をはしごしてホラー・サスペンス映画4本立て。アルジェントの新作(ジャーロです)「スリープレス」に始まって、コッポラ製作総指揮の「ジーパーズ・クリーパーズ」、ジョニー・デップの切り裂きジャックもの「フロム・ヘル」、中田秀夫の新作「仄暗い水の底から」と見たらさすがにぐったり疲れた。

「仄暗」は舞台挨拶付きの完成披露試写。原作者・監督コンビ以外に、ナマ黒木瞳とかナマ水川あさみも登場。
 司会者から、「原作を読んでいかがでしたか?」と訊かれた黒木瞳いわく、
「よくある話だと思いました」
 さすが黒木瞳。格が違いますね。原作者が隣にいるのに、「よくある話」とは(笑)。さすがにそのあと、「つまり、(怪物とかが出てくるんじゃなくて)リアリティがあるっていうことだと思うんですけど」とフォローしてましたが、それにしても……。じつはものすごい心の闇を抱えてたりして。
 映画の出来は上々。オレの趣味から言うとまだちょっと見せすぎなんだけど、まあ許容範囲。水川あさみのパートはだれが見ても不要だと思うけど、まあそれなりの意味を持たせることには成功している。
 あとコッポラ製作の「ジーパーズ・クリーパーズ」はめちゃくちゃへん。ちょっとリチャード・レイモンな味わいかも。しかし、いくら頭を使っても、アルジェントの天然ぶりにはかなわないのだった。




【1月16日(水)】


 本日は「ジェヴォーダンの獣」「快盗ブラックタイガー」「カンダハール」の三本立て。
「ジェヴォーダン」は「ヴィドック」「フロム・ヘル」と同じような話ですね。ものすごく面白くなりそうな話なのになあ。惜しい。
 新宿武蔵野館で見た「カンダハール」は超満員。一文字も読めないエンドクレジットになっても席を立つ人がほとんどいないのがすごいね。しかも隣のスクリーンでは「美術館の隣の動物園」の再上映とかやってて、武蔵野館もアジア映画専門ミニシアター化しつつあるのか?
 あ、それで思い出したけど、年末には「少年と砂漠のカフェ」の試写も見たんでした。アボルファズル・ジャリリの最新作。マフマルバフほどのけれんはないけど、やっぱりマジックリアリズム的な描写はある。三百人劇場でやってる特集上映にも行きたいんだけどヒマがあるだろうか。




【1月17日(木)】


 オキサイド・バン監督のデビュー作「タイムリセット 運命からの逃走」。タイの大林映画、みたいな。世評に高い「レイン」はオレは全然感心しなかったんだけど、こっちは嫌いじゃないです。しかしこういう話に仏教がからむのはタイならでは? 新聞記事の使い方は面白いけど、坊さんはやっぱり無理がある気が。

 『アラビアの夜の種族』を読みながら、部分的に非常に既視感があったんで、古川日出男幻のデビュー作、『ウィザードリィ外伝II 砂の王1』(ログアウト冒険文庫)を再読――しようと思ったが、仕事場の山に埋もれて本が出てこないのでネット古本屋で注文。思い立ったときにすぐ買えるのは便利。この小説、ログアウト本誌に連載されてたときぱらぱら読んで、おお、けっこうすごいじゃんとか思ってたんだけど、読み直してみると『アラビアの夜の種族』にずいぶん材料を提供してるのね。ていうか、『アラビアの夜の種族』は9年遅れで出た『砂の王』完結編なのか?
 あちこち検索してみたところ、ベニー松山氏ご本人のコメントを発見。ベニーさんと言えば、伝説的なWiz小説『隣り合わせの灰と青春』(集英社スーパーファンタジー文庫) で歴史に名をのこしてるわけですが、『ウィザードリィ外伝II 砂の王1』は、そのベニー松山がシナリオを担当した『ウィザードリィ外伝2 古代皇帝の呪い』の小説版なのである。うーん、こうなったら『古代皇帝の呪い』もプレイしてみなきゃいけないのか。たしか再発されてたと思ったけど。

 ところで、『アラビアの夜の種族』の著者紹介に『砂の王』が入ってるのは、オリジナルに対するリスペクトってことではなくて、実はたんなる手違いだったらしい(笑)。たしかに小説の冒頭では、「これを四冊目の著書としてカウントしてもかまわない」みたいなことが書いてあるので、『砂の王』が入ると計算が合わなくなるんですね。  じっさい、Wiz方面のネタを強調すると、「なんだ、ゲーム小説なの? じゃあいいや」とか思っちゃう頭の悪い人が出る危険性もあるんだけど、すでにゲームと無関係な絶賛はあちこちに出てるので、かつて『砂の王』にハマった読者にこの本の存在を告知する作業も必要でしょう。
 しかし考えたら、『ダイヤモンド・エイジ』のほうはドラクエ・モンスターズみたいな携帯RPGの話だし、『アラビアの夜の種族』も元ネタはGB版のRPGなわけだから、WDQ対Wizのゲームボーイ対決と言えなくもないのか(笑)。おたく世界文学の金字塔?


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