【10月20日(金)】


 WEB本の雑誌の読書相談室でもまたまた『合成怪物』(『合成脳のはんらん』)ネタが。ゴセシケは永遠に不滅なのか。昔、伝言板に貼りつけたゴセシケ原稿をこの機会にhtml化しておきました。

 スタージョン「ワム・バップ!」(仮)の翻訳用にジャズ方面の本をどんどん読む。山下洋輔とか、『マイルス・デイヴィス自伝』とか。このタイトルを訳すならやっぱり「ぐがん」だろうとぼんやり思ってたんだけど、違うかもしれない。つうかこの小説は浅倉さんが訳すべきだと思う。だから引き受けるなよ>おれ。教訓:どんなに忙しいときでも短編の翻訳依頼を受注するのは読んでからにすること。

 アジアカップ予選リーグC組最後の試合は、日本のB代表×カタールのA代表。海本も高桑も望月も奥も久保もダメだと判明。なぜこんなにダメかなあ。A代表の中にひとりずつ入れたらそれなりに機能したかもしれないので、この試合の前半だけで判断するのは酷か。しかしレギュラーとサブの差ははっきりしたわけで、トルシエの選手起用の正しさをデモするための試合ですかね。
 結果的には、10人になってからメンバーを入れ替えて追いつくという理想的な展開。ゲンドウと冬月なら、
「シナリオ通りだな」
「ああ、シナリオ通りだ」
 とつぶやきあったことでしょう。小野はまあまあ。しかし結局、フル代表は名波のチームじゃなくて明神のチームだいうことが証明されたわけである。ほんとかよ。

 決勝トーナメントの初戦はイラク。1点とられるのは今大会のお約束だとして、2点とるのはそう難しくない気がするんだけど。





【10月21日(土)】


 土曜深夜の27時台にテレビ朝日でやってる書評番組『おすぎとピーコの本ビニエンス』がけっこう面白い。は『本パラ!関口堂書店』なんかと違って、最近読んだような本が出てくるし、小説中心だし。
 売れ筋マンガ紹介コーナーは青山ブックセンターからのロケで、いきなり『BLAME!』とか登場。しかし『木島日記』の紹介、男声ナレーション(真地勇志)で折口信夫を思いきり「民俗学者のおりぐちのぶお」と紹介するのはどうかと思いました。ビニーズ(木谷映美、河村和奈、相沢しのぶ)のだれかのセリフならまだよかったのに。ちなみにこの番組、ナレーションの半分は住友優子さんの担当なので、そっちの原稿ではまちがえないようにしていただきたい。
 しかしこういうの見てると、ベストブックスみたいに、30分間ひたすら読んだ本の話ばっかりしてるのはつらいね。
 もうひとつ笑えるのは、カウントダウン方式のVTRで書名紹介のバックに流れるテーマ曲の選曲。タイトル合わせの強引なこじつけがめちゃめちゃおかしい。宮部みゆきの『怪』で、いきなり『恐怖の町』が流れたり。闇を/切り裂く/あやしーいーひーめーいの「あやし」に掛けてあるわけですね。ほとんど駄洒落レベルのもあって退屈しません。やるなあ。
 おすぎとピーコの毒舌もすさまじく、番組で紹介してもらえたからと言って油断はできない。こないだなんか、最後にピーコが、
「いま読んでるのはこの本なんだけど」と言ってとりだしたのが柴田よしきの『PINK』。

ピーコ「まだ十ページぐらいしか読んでないんだけど、なんだか読みにくいのよ。先に進まないの」
おすぎ「じゃあ読まなくっていいってことね」(きっぱり)
ピーコ「そうね。読まなくてもいいと思うわ」
おすぎ「じゃあまた来週」

 おいおい。いやまあ、僕も『PINK』はちょっとどうかと思いましたが。トヨザキ社長がこの番組を見ていたら快哉を叫んだかも。




【10月22日(日)】


 桜井弘明監督の結婚パーティ@代官山。と言っても、大森が面識あるのは新婦の小ゆり嬢のほうだったんですが、会場についてみると、そこにはなんと、等身大のでじことぷちことうさだがいたにょ。もうすっかりなんのパーティだか忘れたにょ。
 いやあ、うさだと同じ色の髪にしといてよかったっていうか、ラ・ビ・アン・ローズな世界。でじこ方面のイベントではここまで至近距離には近づけまい。
 というわけで、これが「デ・ジ・キャラット」のぷちこです>瀬名さん。こないだのbk1インタビューのとき、瀬名秀明氏が、「むしろ全然違う方面のノベライズとかやってみたいですね。ときめきメモリアルとか」などとゆってたので、

大森「んじゃデ・ジ・キャラットのノベライズどうですか。電撃G文庫で」
瀬名「デジなんですか? それは知りません」
大森「だってタニグチリウイチの日記にしょっちゅう出てくるでしょう」
瀬名「谷口さんの日記はわたしには半分ぐらい意味不明なので……」
森山「意味不明のうちの半分がデ・ジ・キャラットですよ」

 みたいな会話が交わされたことでした。瀬名さんにはとりあえず、こことか見て勉強していただきたい。

 ブロッコリー特製の一点物着ぐるみ(とくにぷちこの尻尾は秀逸な出来)ばかりでなく、真田アサミ、氷上恭子、沢城みゆきの主演CVトリオも揃い踏み。キャラが前に立ち、陰マイクでお祝いを言う生アテレコのサービスもあって大ラッキー。とくに間近で見るみゆきちゃんは……って、沢城係数が3に近いおやじが喜んでていいのかという問題はありますが、ま、おれはアニメの国のひとじゃないから心おきなく自慢できるにゅ。とくにタニグチリウイチに(笑)。というわけでこれがその6点セット写真。ついでにでじこと肩を組む鶴巻監督とか。

 あ、NHKで放映中の『だぁ!だぁ!だぁ!』のキャラのひともちゃんと来てましたがすいません、こっちは見てないのでよく知りません。

 榎戸洋司氏とは初対面。鶴巻監督やてんちょさん(佐藤浩紀氏)@GAINAXも交えて『フリクリ』話とか。4、5、6話はどんどんSFになるらしい。やっぱり巻き込まれ型が日本SFの王道でしょう、みたいな。SFオンラインに再録されたZero-CONの「SFアニメ道」読んでも思ったけど、ガイナックスの中でもSF成分はやっぱりこのへんにぎゅうと凝縮されてる感じですね。
 3話のニナモリは営業的てこ入れのニュアンスもあったらしいが、視聴者的にはようやく「フリクリの見方」がわかってきて、4話以降への期待がますます高まる。
 いまの状況だと、毎週放映のワンクール物はあっという間に終わってあっという間に忘れられちゃうので(『十兵衛ちゃん』とか『いま僕』とか、もっと話題になってもよかったのに)、このぐらいのペースでゆっくりやるのが正解かも。アニメだって、ミカヅキみたいに月イチ放映はありなんじゃないかと思いますがどうですか。週一回の枠をIGと4℃とガイナックスとマッドハウスで分けて、4週に1回の連続アニメとか。

 小黒くんが「違うんだよ、リミテッドアニメとフルアニメの差っていうのは…」とか大声で力説している相手が、なんかどっかで見たことがあるような――と思ったら、これが東浩紀氏。会うのは3年半ぶりぐらいですが、なんだか体型的にもおたく方面への接近をはかっている気配が。
「こういうところに来ると、つくづく自分が薄いってことを思い知らされるんですけど、でも、よく知らないからって、発言しないっていうのは違うと思うんですよ!」
 と相変わらず熱い。いや、おれもアニメの国の事情には非常に疎いので他人事じゃないんですが、基本的にはそのジャンルに対する敬意があれば(つまりその分野の専門家にくらべて自分が相対的にものを知らないことをわきまえてさえいれば)、あとは自分理解でなにを言ったってかまわないし、知らないことは勉強すればいいでしょ。

 その他の話題は、清涼院流水とか、「クラインの壺」問題とか。アメリカのポストモダンはアカデミズム的な権威になったけど、日本ではそうじゃない。浅田彰はわかっててシャレでやってるんだから、ああいうかたちの批判は有効なポストモダン批判にはなりえない――みたいな話。しかしそれは山形浩生がゆってることとはあんまり関係ないでしょう。啓蒙書だから間違いがあるのはまずいよね、みたいな単純な話で。
「SFで科学を学ぼうとする読者はいないが、SFでまちがった科学を学ぼうとする読者もいない」っていう話とそんなに違わないでしょ。
 しかし、「ドゥルーズやラカンも、カスタネダを読むようにして読めばいいと思うんですよ」という東浩紀の指摘はなるほどと思いました。つまりSFだと思うから腹が立つので、オカルトファンタジーだと思って読めば害はない、ってこと?(笑)

 東氏からは販促用に自主制作されたメメッとくんバッジを拝受。Bタイプでした。
 それにしても、でじこと東浩紀がいるのにタニグチリウイチがいないのは不思議な気がしたことである。さすがに結婚パーティまでは潜入できないか。

 パーティ終了後、「渋谷センター街《北の家族》で待つ」という謎の伝言を残した大月プロデューサーご一行さまに合流すべく、てんちょさんの引率で東横線に乗り、ぞろぞろ渋谷を歩く。いつの間にか総勢17人。日曜の夜だというのに渋谷は大混雑。しかしさすがに《北の家族》は空いてました。
 デ・ジ組のスタッフがたくさんいたようですが、そばの席で話をしたのは、『学園戦記ムリョウ』製作快調の佐藤竜雄監督とか、『地球防衛企業ダイ・ガード』の水島監督とか、 サムシング吉松こと吉松孝博氏とか。ここで教えてもらって、あとから見にいったこれは傑作。やっぱり星雲賞と暗黒星雲賞の両方とる人は違うね。
 ひさしぶりにナデシコ話とかしてて昔書いた原稿のことを思い出したので、角川スニーカー文庫の小説版『機動戦艦ナデシコ ルリの航海日誌』(大河内一楼著)解説用に書いたナデシコ論のようなものをhtml化してみました。

 あ、それでいま思い出したが、1年前、キングレコードに呼ばれて佐藤竜雄氏と対談したときの原稿って、あれはどうなったんだっけ。劇ナデCDつき絵コンテ集(?)って、わたしはもらってない気がするんですけど大月さん。とだれかガンジス方面の人に伝えておいてください。それともオレが忘れてるだけ?

 ちなみに東浩紀氏が『機動戦艦ナデシコ・続お洒落倶楽部』のCDライナー用に書いた原稿はここ。こっちには、でじこに関する東浩紀原稿もあります。さらに勉強したい場合はこれをどうぞ>瀬名さん。
 しかし90年代的なキャラ萌えの特徴はむしろ「ダメ萌え」っていうか、ここでいうおたく的シニシズムの行き着く果てでしょう。ダメなものに萌えるダメな自分に萌えるとか。
「むしろ現在のオタクたちは、より素直かつ受動的に、デザインの良し悪しのみでキャラクターの魅力を判断しているように思われる」というふうには思われません。
 初期のデ・ジ・キャラットはダメ萌え(こんなものに萌えてちゃダメでしょ萌え)の典型だったわけだけど、アニメの出来がよかったおかげであんまりダメな対象じゃなくなった気が。アニメのでじこはむしろ80年代的っていうか、吾妻ひでお的だと思うんですがどうですか。


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