#10 9の一族をさがせ!

(2006/6/7)

放送で紹介された内容

  • 9の一族(9の倍数の見分け方)
    各桁の数を足して9の倍数になったら、もとの数も9の倍数
  • 例.9864:9+8+6+4=27 これが9で割り切れるので、元の9864も9で割り切れる
  • 例.1359:1+3+5+9=18 これが9で割り切れるので、元の1359も9で割り切れる
  • 例.1980:1+9+8+0=18 これが9で割り切れるので、元の1980も9で割り切れる。
    この他にもいろいろ

数学的なバックグラウンド

10=9+1
100=99+1
1000=999+1
10000=9999+1
...

なので、例えば4桁の数を、1000a+100b+10c+d と表すとき、

1000a+100b+10c+d = (999+1)a+(99+1)b+(9+1)c+d = (999a+99b+9c)+(a+b+c+d)

ここで、999a+99b+9c は9で割り切れるので、
1000a+100b+10c+d を9で割った余りと、a+b+c+d を9で割った余りは等しくなります。
一般に、10のn乗 (n≥1) は9で割ると1余るので、何桁の数であっても、
9で割り切れるかどうかの判定は、各桁の数を足して9で割れば求めることができます。


ここでは、他の数について、割り切れるかどうかの判定法を考えてみます。

まず3の場合。

これは、9の場合と同じ。例えば、4桁の数については、

1000a+100b+10c+d = (999a+99b+9c)+(a+b+c+d)

999a+99b+9c は3で割り切れるので、1000a+100b+10c+d を3で割った余りは、
a+b+c+d を3で割った余りと等しくなります。
一般に、10のn乗 (n>=1) は3で割ると1余るので、何桁の数であっても、
3で割り切れるかどうかの判定は、各桁の数を足して3で割れば求めることができます。

次に2の場合。

これは要するに奇数か偶数かの判定で、1の位の奇偶で判定できます。
任意の数nは、1の位と、10以上の位に分けて、n = 10a+b と表すことができ、
nから1の位を除いた数は、必ず2で割り切れるので、1の位だけに着目する方法が正しいことがわかります。

この方法は、4、8、16、一般に2のべき乗で割り切れるかどうかの判定に応用でき、

n = 100a+b と表すと、100は4で割り切れるので、下2桁が4で割り切れれば、元の数も4で割り切れる
n = 1000a+b と表すと、1000は8で割り切れるので、下3桁が8で割り切れれば、元の数も8で割り切れる
n = 10000a+b と表すと、10000は16で割り切れるので、下4桁が16で割り切れれば、元の数も16で割り切れる
...

となります。5も10も同じ理由で、1の位だけに着目すればわかります。

6は、2の倍数かつ3の倍数であればOK。

これで、10以下で残っている数は7ですが、7の倍数の判定の前に、もう少し簡単な11について。

10=11−1
100=99+1=9×11+1
1000=1001−1=91×11−1
10000=9999+1=909×11+1
...

このように、偶数桁の時は、11の倍数−1、奇数桁の時は、11の倍数+1となるので、
例えば4桁の数を、1000a+100b+10c+d と表すとき、

  1000a+100b+10c+d
= (91×11-1)a+(9×11+1)b+(11-1)c+d
= (91×11)a+(9×11)b+11c + (-a+b-c+d)

つまり、偶数桁の数、奇数桁の数をそれぞれ足して、引き算をした結果が11で割り切れるとき、
元の数も11で割り切れます。


さて、7の倍数について。

これまでと同じように、

10=7+3
100=98+2=14×7+2
1000=994+6=142×7+6
10000=9996+4=1428×7+4
...

とやっていって、

10000a+1000b+100c+10d+e
= (1428×7+4)a+(142×7+6)b+(14×7+2)c+(7+3)d+e
= (1428×7)a+(142×7)b+(14×7)c+7d + (4a+6b+2c+3d+e)

としてもできなくはありませんが、3, 2, 6, 4, ... という数字の並びを覚えるのが大変だし、
計算も全然簡単になっていません(そのまま割った方が速い)。
実は、もっと簡単な方法があります。
それは、以下のような手順で行います。

  1. 1の位に5を掛け、1の位の数を取り除いた残った数(10の位以上)と足す。
    この処理を繰り返す。
  2. 1桁又は2桁ぐらいになった時、7で割ってみて、割り切れれば元の数も7で割り切れる。
    割り切れない場合は、元の数も7で割り切れない。

例.142857の場合

14285+7×5=14320
1432+0×5=1432
143+2×5=153
15+3×5=30
⇒ 7で割り切れない。
(注:この時の余りは、最初の数とは無関係)

例.1001の場合

100+1×5=105
10+5×5=35
⇒ 7で割り切れる。

何故この方法でうまくいくのかの説明は難しいので、 一応、説明は書いておきますが、興味の無い方は飛ばして下さい。

この方法でうまくいく理由

ある数が7で割り切れるなら、その数をn倍しても7で割り切れる。
7で割り切れないなら、n倍しても割り切れない。
(ただし、nは7の倍数以外の数)

よって、元の数 n = 10a + b と表した時、
n が7で割り切れるかどうか、は、

    5n = 50a + 5b

が7で割り切れるかどうかと同じ。
ここで、

    50a + 5b
    = (49+1)a + 5b
    = 49a + a + 5b

ここで、49a は7で割り切れるので、残った a+5b が7で割り切れるかどうかを調べればよい。
これは、元の数の1の位に5を掛け、10の位以上の数に加えることを意味する。

この方法を応用して、(どの本でも紹介されていない)13, 17, 19, ... で割り切れるかどうか、
も判定することができます。具体的な手順は、

ただし、いずれの場合も、そのまま割った方が速い、というのが難点ですが。


#9 4ケタの数が辿り着くところ 「ゆるナビ」サポート #11 同じ数をどんどん出す数

E-mail : kc2h-msm@asahi-net.or.jp
三島 久典