#3 数の大運動会

(2006/4/19)

放送で紹介された内容

142857は特別な数。
  • 142857×2を計算すると、285714。142857を左にずらした数となっている
  • 142857×3は、428571。やはり142857を左にずらした数となっている
  • 142857×4は、571428。やはり142857を左にずらした数となっている
  • 142857×5は、714285。やはり142857を左にずらした数となっている
  • 142857×6は、857142。やはり142857を左にずらした数となっている


  • そして、142857×7は、999999。なんと、9が並んだ

数学的なバックグラウンド

何故このようなことが成り立つのかを説明します。
実は、142857というのは1/7の循環節です。
つまり、

1/7 = 0.142857142857142857...

実際に割算をやってみると、

    0.1
  ------
7 ) 1 0
      7
  ------
      3

まず、1割る7は商が0なので、1の次に0を足して、10割る7は商が1で余りが3。
次は、また3の次に0を足して、30割る7を計算することになります。

    0.14
  ------
7 ) 1 0
      7
  ------
      30
      28
     ----
       2

この最後の部分だけに着目すると、これは 3/7 を計算することになっています。
よって、結果は計算するまでもなく、1/7 の循環節 142857 の 4 以降が繰り返されることは明らかです。

3/7 = 0.42857142857...

これと、1/7 = 0.142857142857142857... を見比べると、左辺の 3/7 は 1/7 の 3倍なので、
右辺も当然 3倍になっているはずです。よって、

0.142857142857... * 3 = 0.42857142857...

142857 の 6桁に着目すると、142857 * 3 = 428571 となることがわかります。
1/7 の割算を続けていくと、以下、2/7, 3/7, 4/7, 5/7, 6/7 の計算を行うことになり、
両辺を見比べると、冒頭に述べたようなことが起こることがわかります。

また、最後の 142857 * 7 = 999999 については、
逆に、循環小数を分数で表すとき、(循環節)/ 99...99(循環節の桁数)を通分して求めるので、

142857 / 999999 = 1 / 7

から明らかです。

また、142857 * 7 = 999999 = 111111 * 9 の両辺を見比べると、
9は7で割り切れないので、111111が7で割り切れることになります。
111111が11, 111で割り切れるのは(前の頁の解説のとおり)一見して明らかですが、
7で割り切れるかどうかは一見しただけではわかりません。計算してみると、

111111 / 7 = 15873

となり、実際に割り切れることがわかります。
同じ理由で、142857は9で割り切れ、答は 15873 となります。


一般に素数pに対し、1/p の循環節の桁数が p-1 となるとき、同じような性質を持ちます。

1/17の循環節0588235294117647を例にとると、

循環節を適当な桁数で分割し、足し合わせると、やはり9が並びます。
例.142857 (1/7の循環節) の場合は、

2桁刻み:14+28+57=99
3桁刻み:142+857=999

0588235294117647 (1/17の循環節) の場合は、

8桁刻み:05882352+94117647=99999999


1000以下の素数 p で、循環節の長さが p-1 となるのは、下の表の30個です。

  7  17  19  23  29  47  59  61  97 109 113 131 149 167 179 181 193 223 229 233
257 263 269 313 337 367 379 383 389 419 433 461 487 491 499 503 509 541 571 577
593 619 647 659 701 709 727 743 811 821 823 857 863 887 937 941 953 971 977 983

また、100以下の素数について、1/pの循環節と長さ、足して9となる区切り方(桁数)は、下表のとおりです。

100以下の素数の循環節
p長さ循環節9が並ぶ区切り方
313-
761428572桁、3桁
112091桁
1360769232桁、3桁
171605882352941176478桁
19180526315789473684216桁、9桁
2322043478260869565217391311桁
2928034482758620689655172413793114桁
31150322580645161293桁、5桁
3730271桁
41502439-
43210232558139534883720937桁
4746021276595744680851063829787234042553191489361723桁
53130188679245283-
5958 016949152542372881355932203389830508474576271186440677966129桁
6160 01639344262295081967213114754098360655737704918032786885245920桁、30桁
673301492537313432835820895522388059711桁
713501408450704225352112676056338028169-
738013698634桁
79130126582278481-
834101204819277108433734939759036144578313253-
89440112359550561797752808988764044943820224719122桁
9796 01030927835051546391752577319587628865979381443298
9690721649484536082474226804123711340206185567
32桁、48桁

特に、

とすると9並びの合計値となることがわかります。

また、分母が合成数の場合でも、循環節を適当な桁数で分割し合計をとると、やはり9が並ぶことがあり、
100以下の数については、下表のようになります。

p長さ循環節9が並ぶ区切り方
2160476192桁
3960256412桁
494202040816326530612244897959183673469387755114桁、21桁
57180175438596491228076桁
7760129873桁
9160109892桁、3桁
93150107526881720435桁


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三島 久典