表紙の言葉



ヒラルムは無言だった。
生まれてはじめて、夜の正体を知ったのだ。
夜とは、大地そのものが空に投げかける影であることを。

Ted Chiang, "Tower of Babylon"
テッド・チャン 『バビロンの塔』

アクセスカウンタ
230,000〜
  • 『あなたの人生の物語』収録。

    (2004/04/30)

The Flight

Look back with longing eyes and know that I will follow,
Lift me up in your love as a light wind lifts a swallow,
Let our flight be far in sun or blowing rain --
*But what if I heard my first love calling me again?*

Hold me on your heart as the brave sea holds the foam,
Take me far away to the hills that hide your home;
Peace shall thatch the roof and love shall latch the door --
*But what if I heard my first love calling me once more?*

Sara Teasdale, "The Flight"
セーラ・ティズデール 『私の初恋』

アクセスカウンタ
215,000〜229,999
  • 5月に第8話を見て以来、今年は『冬のソナタ』一色の1年だった。
    まず、韓国版のサントラを買いに行き、6/26の小説日本語版上・下巻の発売、
    (「下」は、最終回を見終わるまで読まないつもりだったが、
     KBSのWebページで最終回らしきユジンの写真を見てしまい、
     我慢しきれず、第19話放送の直前に読んでしまった)
    8/21のDVD I、10/22のDVD II、そして本命、11/25発売の
    「『冬のソナタ』で始める韓国語」等、ひたすら待ち続ける1年だった。
    第4話、6〜10話、13〜15話は、何回見たかわからない。
    ソウルでは、小説の韓国語版を買い、香港では、VCDの中国語&韓国語版を買った。
    KBSのページからは、関連データを全てダウンロードし、
    コンファレンス会場では、プレゼン用の大スクリーンにチェ・ジウのブロマイドを投影して、
    韓国の友人といっしょに眺めた。その友人から、
    「(その政府系組織の中で)最も有名な日本人」との称号をもらい、
    「そんなに好きなら、韓国に来ればいいじゃないか」とまで云われた。

  • よく話題になる題記の詩、セーラ・ティズデール『私の初恋』は、正確には、
    "Love Songs" (1917) の中の "The Flight" の前半だと思う。放送時のセリフは下記のとおり。
    原文と微妙に違うが、これは韓国語のセリフを日本語に訳したからだと思う。
    日本では(私の知る限り)、セーラ・ティズデールの詩は訳されていない。
    (もちろん、どこかの英文科の学生が訳している可能性はあるが)

    どうか いとしいその目でふりかえって
    ここにいる私を見つけて下さい
    あなたの愛で私をふるい立たせて下さい
    つばめを運ぶそよ風のように
    太陽のように 嵐のように
    私たちをどうか遠くへはこんで下さい

    それでも私の初恋がまた私を呼んだら
    どうすればいい

    (2003/12/15)

恋しい瞳で振り返り、ついていく私を確かめて……
それでも、私の初恋がまた私を呼んだら、どうすればいい?

セラ・ティズデール 『初恋』

二人は信じる
求める気持ちが出会わせたのだと
信じ合う心は美しい
でも揺れ動く心はもっと美しい

ヴィスワヴァ・シンボルスカ 『恋』

アクセスカウンタ
200,000〜214,999
  • 両者とも、詩も詩人も日本ではほとんど知られていないが、
    どちらも現在、或いは近い将来有名になる作品の中で使われている。
    前者は『冬のソナタ』のモチーフそのものといってよい。
    後者は台湾の絵本作家、幾米(ジミー)の 『向左走、向右走(君のいる場所)』 の冒頭。

  • 出張の直前、9/11からたまたま香港で『向左走、向右走』が封切りとなっており、
    先週、帰国の前日、9/18に見ることができた。
    もともと原作が気に入っていて、出張の初日、テレビの音楽チャンネルで、
    梁詠hの『両個人的幸運』を見てCDを買ったが、その後、街をぶらぶらしていて、
    偶然、上映している映画館の前に辿り着き、感動できるものが欲しいという、期待の元、
    中に入って、やはり予想どおり、期待は裏切られなかった。

    地元の台湾では、9/26から封切になる。

    主演は、金城武と梁詠hで、金城武は日本でも知名度が高いので、
    おそらく、日本でも封切になるのではないかと思う。
    梁詠h(liang yong qi、GIGI)は、教育TV、中国語講座のオープニング『I wish I was』を歌っている。

  • 『冬のソナタ』と『向左走、向右走』の間には何の関係もないが、
    どちらの詩も、両方の内容に密接に関係している。

    (2003/09/22)

  • ヴィスワヴァ・シンボルスカ、2012年2月1日死去。
    上記の詩、『恋』は、 『終わりと始まり』 に収録されている。
    また、映画『向左走、向右走』は、日本でも 『ターンレフト・ターンライト』 のタイトルで上映された。

    (2012/02/11)


『表紙の言葉』
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『枕草子*砂の本』

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三島 久典