読書記録

2001(平成13)年7月〜12月



<凡例>
冊数タイトル出版社
読了日著者初版
評価 コメント

<ジャンル分け>
理工系 人文系 文学 社会・実用書 未分類

No. 68
2001/12/30
新ゴーマニズム宣言SPECIAL戦争論2 幻冬舎
小林よしのり 2001/11/15

データは詳細になっているが、前回のような、直接情に訴えるインパクトは、多少薄い。
南京大虐殺の虚実(というか、ほとんど虚)を語るために、正確に成らざるを得なかったのだろう。

 
No. 67
2001/12/24
アジア 地域統合への模索 日本経済新聞社
日本経済新聞社[編] 2001/09/19

仕事用。
このように、経済的な政策提言のみという立場で関わっている人たちは、現実の世界の政治的な動き、
もっと具体的に言うなら政治的な対立というものをどのように考えているのだろうか。
9.11以降も、ここに書かれているのと同じ考えでいるのだろうか。

 
No. 66
2001/12/21
The Code Book
The Science of Secrecy from Ancient Egypt to Quantum Cryptography
暗号解読 ロゼッタスト−ンから量子暗号まで
新潮社
Simon Singh
サイモン・シン
2001/07/30

タイトルのとおりだが、暗号解読のみに焦点をあてて書かれた本はめずらしい。
ヴィジネル暗号、エニグマの解読等のところを読むと、世の中には、なんと頭のいい人間が存在するのだろうか
と、感心してしまう。しかも、その能力が、よりにもよって、アルゴリズム全般に対する問題ではなく、
個々の暗号の解読という、応用の利かない分野に向けられた、ということに、なんとも言えない、
もったいもったいなさを感じる。

量子暗号の Deutsch の顔写真を初めて見た。
ハリー・ポッターの映画を見る前に、この人がスネイプ役だ、と言われれば信用するだろう。
これに比べれば、Back to the future のドクなど、まったくの常識人に見える。

 
No. 65
2001/12/16
ここまで見えた宇宙の神秘 講談社+α新書
野本 陽代 2001/10/20

このジャンルの技術の進歩はかなりのもので、子供の頃図鑑で見た写真とは全然違う。
重力レンズの写真、大気のゆらぎを補正して地上からクリアな写真を撮る技術、
ブラックホールは別にめずらしい存在ではなく、銀河の中心部にも10個程度観測されている、等
本当に知らないことばかりだ。

 
No. 64
2001/12/12
ホームページにオフィスを作る 光文社新書
野口 悠紀雄 2001/11/25

最近、私の頁は更新が滞っているが、このような本を読むと、 ホームページを公開し始めた頃のことを、いろいろ思い出して、やる気が出てくる。

この本の著者は、ITに関しては成果を受け取る側にいる。 それ故、この本の後ろの方の章で展開されている意見は、少し考えれば誰でも気付く (が、ITを売ろうという思惑のある側からは、絶対に提示されない意見) をはっきりと提示しており、ひじょうに気持ちがよい。

 
No. 63
2001/12/10
アジア情勢を読む地図 新潮文庫
浅井 信雄 2001/12/01

このように、小さくて、網羅的で、専門的ではないが、内容が濃くて、 かつ最新の状況も含まれている本(なんとなく矛盾あり)、というのを待っていた。
特に、文庫本というのがよい。これで統計情報と各国略史があれば、文句無し。

 
No. 62
2001/11/30
Liavek
緑の猫 魔法都市ライアヴェック[2]
現代教養文庫
Will Shetterly and Emma Bull
ウィル・シェタリー&エンマ・ブル編
1989/04/15

Robin Hobb の作品の日本語訳(Megan Lindholm 名義の作品)が載っている唯一の本(と思われる)、

  • 『緑の猫』……パメラ・ディーン
  • 『誕生日の符合』……メガン・リンドーム
  • 『〈固定〉されたもの』……ウィル・シェタリー
  • 『幸運の紡ぎ手』……バリー・B・ロングイヤー
この中でお勧めは、最後の『幸運の紡ぎ手』。
Lindholm のものは、あまり Assassin シリーズの香りは感じられなかったが、 日本語で読めた、という一点のみ、とりあえずは満足。

 
No. 61
2001/11/2
Liavek
いにしえの呪い 魔法都市ライアヴェック[1]
現代教養文庫
Will Shetterly and Emma Bull
ウィル・シェタリー&エンマ・ブル編
1989/04/15

ジェイン・ヨーレンの作品まで載っている、ということで、amazon.co.jp と bk1 から購入。
収録作品は、

  • 『バドゥの〈運〉』……エンマ・ブル
  • 『スリアンの翡翠の兎』……ジーン・ウルフ
  • 『いにしえの呪い』……パトリシア・C・リーデ
  • 『誕生日の〈運〉』……ナンシー・クレス
  • 『痛恨事』……スティーヴン・ブラスト
  • 『化物ラクダの旅籠』……ジェイン・ヨーレン
  • 『芸術家の手』……カーラ・ドーキー

 
No. 60
2001/11/25
Tom's Midnight Garden
トムは真夜中の庭で
岩波少年文庫
A. Philippa Pearce
フィリパ・ピアス
1975/11/26

これはちょっと収穫。
始めはタイトルのとおり、真夜中の庭に起こる不思議な出来事が話の中心だが、 そこである少女と出会い、そこでの時の流れの速さが少年の世界とは違うため、 少女が少年よりも速い速度で成長していくに連れて、話の焦点が別の方向へ移っていく。
最後にある謎が解き明かされ(それはほとんど予想どおりの結末だが)ハッピーエンドに繋がる。

これこそ、映画で見たい。
特に、最後の方の、教会の上から街を見下ろした場面、スケートで街に帰るところ、等。

 
No. 59
2001/11/05
【現地取材版】アジア経済2001■持続的成長への新たな課題 中央経済社
富士総合研究所 2001/03/15

これも仕事用。
この手の本を読むと、世の中がどんどん変わっていて、自分がその変化に気づかない、 ということに驚かされる。

 
No. 58
2001/10/26
理屈じゃ英語は話せない! アルク
岩村 圭南、ブレーブン・スマイリー 2001/09/10

最近(というか今年)は、TOEIC & 海外出張対応で、英語入門の本をいろいろ買ったが、 書店でもあまりの数の多さに驚かされるし、中味の良さでも、自分が高校の頃とは大違いで、 あのころこのような本が出ていたら、自分の英語も少しはましになっただろうと、つくづく思う。

この本は内容的には英文法の本だが、実際に覚えるべき項目(つまり、実際によく使われる表現)を 中心に構成されていて、そのまま覚えると日常会話にも使えるようになっている。 しかもネイティブ的な表現で、CDもついていて、値段は2000円もしない。 中学か高校の教科書に、そのまま使ってもよさそうな本。

 
No. 57
2001/10/17
5時間でTOEICテスト730点 宝島社新書
小池 直己 2001/08/24

『650点』に比べてかなり難しく、4択でもほとんど当たらない。 この点数は軽くクリアしているはずなんだが。

 
No. 56
2001/10/16
フロン 結婚生活・19の絶対法則 海拓舎
岡田 斗司夫 2001/06/14

一読した多くの人の感想は「何もそこまで」というのが大半だと思う。
頭だけで考えた理屈の典型だが、否定する気にはなれない。

 
No. 55
2001/10/11
数理科学 2001 10 特集 ヒッグスの謎 サイエンス社
  2001/10/01

ヒッグス粒子に関して自分が持っている知識(というか疑問)、

  • 質量を媒介する素粒子ということは、これと相互作用する前は質量がなくて、 これと相互作用した瞬間に質量が付与されるのか?
  • ヒッグス粒子自体の質量は? 他の素粒子に質量を与えるための、余分な質量を持っているのか?
というレベルから脱却するため買ったがよくわからない。
知っている人に云わせると、上のような素朴な認識ではなく、基本的に現代的な物理の考え方として、
物理量は何か素粒子と相互作用することによって付与されるものであり、 「質量」も一つの物理量に過ぎないので、当然質量に関与する素粒子も存在し、それがヒッグス粒子である、 という認識らしい。といっても、これだけなら単なるアイディアに過ぎないので、理論とするためには、 ヒッグスが満たすいろいろな方程式が、今の量子力学のいろいろな式とどう整合性がとれるか、 ということをやっていくのだが、ここから先はついて行けない。

 
No. 54
2001/10/02
企業を守る セキュリティポリシーとリスク評価 日経BP社
塚田 孝則 2001/07/02

勉強用。今はやりのセキュリティポリシーとセキュリティ評価に関する入門書だが、 担当する立場の人も実際に使用できる。ISO 15408 と、ISO 17799 (BS7799) が1冊でわかる本。

 
No. 53
2001/09/27
六人の超音波科学者 講談社ノベルス
森 博嗣 2001/09/05

内容的には、もう、本当に安定しているが、
紅子のポーズが、実際にどういう動きなのかイメージできない。
誰か一度実際にやってみて欲しい(と云いつつ、別に見たいとは思わない)。

 
No. 52
2001/09/21
彼女は存在しない 幻冬社
浦賀 和宏 2001/09/10

かなり名前の知られた、似たような趣旨の作品や映画はあるものの、 最後の一瞬で現実と虚構がひっくりかえるような感覚は、 浦賀和宏の、この文体だからこそできる技。

 
No. 51
2001/09/19
メフィスト 小説現代9月増刊号 2001 講談社
  2001/09/18

今回は、森博嗣なし。京極はたった16頁。
それでも買ってしまうのは、習慣の成せる技。
『黒と茶の幻想』は、なんと最終回。ネタバレにならないので云ってしまうと、

みんなで山に登って、いろいろうわさ話に興じて面白かった
って、さんざん引っぱいといて、こんだけかい!?
というような感じ。
『総門谷R』は、早く終わって欲しい。これを楽しみにしている人が一人でもいるんだろうか?

 
No. 50
2001/09/10
Barron's Business Success - Make Presentations with Confidence
アメリカ人はこうしてプレゼンに自信をつけている!
スリーエーネットワーク
Vivian Buchan 2000/06/30

内容的には普段自分が思っていることの再認識だが、対訳本なので、用語を覚えられる。

 
No. 49
2001/09/09
イコノソフィア 聖画十講 河出文庫
中沢 新一 1989/10/04

いまいち薄味で、宗教にも哲学にも成り得ていない。

 
No. 48
2001/09/05
PKI Public Key Infrastructure
PKI 公開鍵基盤 電子署名法時代のセキュリティ入門
日経BP企画
Tom Austin
トム・オースティン
2001/08/07

仕事用。訳がひじょうに丁寧。1人の人間が、ちゃんと全体を通して見ている。
内容的には、最初斜め読みした印象に比べると、掘り下げが浅い感じがした。

 
No. 47
2001/08/31
The Innocence of Father Brown
ブラウン神父の童心
創元推理文庫
Gilbert Keith Chesterton
G.K.チェスタトン
1982/02/19

生硬な翻訳文とブラウン神父の描写が幼稚な cartoon のようで、最初は読むのがきつかったが、 慣れてくると、だんだんその無茶な論理に引き込まれてくる。

 
No. 46
2001/08/27
『時をかける少女』たち 小説から映像への変奏 彩流社
江藤 茂博 2001/01/10

タイトルにひかれて買って、読んでみてがっかりする人が多いと思われる。
買うだけ無駄。要するに読みが浅い。
関連する作品をいろいろ取り上げて比較していくのが新しい学問的手法と、勘違いしているようだが、
そもそもの読解が浅ければどうしようもない。

 
No. 45
2001/08/13
偶然性と運命 岩波新書
木田 元 2001/04/20

この自由でラジカルな発想と、読みやすい文体は、とても70代の著者が書いたものとは思えない。
この歳になって、未だにいろいろ悩んでいる(しかも、自分の専門分野)というのもすごい。
まさに、真の哲学者という感じがする。

 
No. 44
2001/08/11
Harry Potter and the Prisoner of Azkaban
ハリー・ポッターとアズカバンの囚人
静山社
J. K. Rowling
J.K.ローリング
2001/07/18

2巻よりは面白かったが、やはり薄味

 
No. 43
2001/08/10
情報、官邸に達せず 新潮文庫
麻生 幾 2001/08/01

雑誌の連載を集めたものなので『宣戦布告』に比べて物足りない感じがするが、 ルワンダ難民PKOの話は、これを読むまで、ここまで大事とは知らなかった。

 
No. 42
2001/08/05
上と外 6 みんなの国 幻冬舎
恩田 陸 2001/08/25

無事、大団円を迎えた。
この小説で書かれている『電子政府』というのは、現在実際に官庁が進めようとしているものよりも、 インテリジェンシーがある。この方向性での「意思決定のための電子政府」について自分なりの構想を持っているが、 商売ネタなので、ここには書かない。

 
No. 41
2001/08/03
本格ミステリ01 講談社ノベルス
本格ミステリ作家クラブ編 2001/07/05

今年1年を振り返って、というか、ここ数年の作品を集めたアンソロジー。 内容的には、メフィストに発表されたものがほとんど。こういう感じのアンソロジーをコンスタントに 出してもらうと、趣味が広がってよい。

 
No. 40
2001/07/29
Harry Potter and the Chamber of Secrets
ハリー・ポッターと秘密の部屋
静山社
J. K. Rowling
J.K.ローリング
2000/09/19

3の訳も出て、冬には映画にもなるので、順番に、ということで、古本屋で購入。
前作の記憶があまり残ってなくて、主人公以外の登場人物は、ほとんど忘れてしまっていた。
『ゲド戦記』等に比べると薄味で、ファンタジー読者としては物足りないが、
逆にその辺、大多数にうけるレベルのファンタジー度の薄さが、ベストセラーと成り得る要因なのだろう。

 
No. 39
2001/07/03
英会話リスニング完全攻略 宝島社新書
小池 直己 2000/12/15

下記「TOEIC 650点」と同じ著者で、CD付きだったので、古本屋でget。
ミニCDで、残念ながら(というか当然ながら)例文全ては収録されていなかった。

 
No. 38
2001/07/22
永遠の森 博物館惑星 早川書房
菅 浩江 2000/07/31

まさに「人間が描けていない」の典型。
登場人物は男性がほとんどであるにも関わらず、全て女性のロジックで思考している。
別にそのようなジェンダー意識を問題としている作品ではないので、 それならば、登場人物を全て女性にしてしまった方が違和感がなくてよかった。

たとえば、主人公が属する組織のマネージャーが「案山子」というあだ名で呼ばれているが、

  • まず「案山子」と呼ぶことに、どのようなニュアンスをこめているのか不明。
    「中味を持たない、人の顔色だけを伺う存在」という意味をこめているようだが、
    そのような場合は、普通「風見鶏」と呼ぶ。
    この意味で「案山子」を使うのは、「オズの魔法使い」(の映画)に心酔している人だけ。

  • それ以前に、男は人をあだ名では呼ばない。

さらに「登場人物全てがヒステリック」というのも変。
SFの道具立ては悪くないが、それを除くと全体が、昭和の少女マンガのような感じ

 
No. 37
2001/07/12
琥珀の城の殺人 講談社文庫
篠田 真由美 1998/10/15

歴史ミステリーというよりは、ミステリー仕立ての、西洋時代劇といった感じ。
最近、女性作家でこの手の作品を書く人が多い。

 
No. 36
2001/07/02
基礎からよくわかる英文法 旺文社
綿貫 陽 1983/02/01

家内が持っていた高校の参考書。下記の本に触発されて、 英文法の基礎の部分をもう一度見なおしてみたくなった。 読んで見て、20数年間のブランク、 いろいろなことをすっかり忘れてしまっていた、ということがよくわかった。

 
No. 35
2001/07/01
5時間でTOEICテスト650点 宝島社新書
小池 直己 2000/08/24

TOEIC対策で買った本。この本はおすすめ。
このぐらいの厚さであれば、絶対挫折することはない。 パズル本として、暇つぶしにちょうどよい。 もちろん、レベル的にも全然遜色はない。



読書記録 2001年
(平成13年)1月〜6月
『枕草子*砂の本』 読書記録 2002年
(平成14年)1月〜6月

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三島 久典