廃盤のない社会、絶版のない世界を その2


物理的流通の代替手段 -- 通信はどうか?

本来、通信こそは「廃盤のない社会、絶版のない世界」を実現するうえで力を発揮するべきである。稀少性に満ちあふれた物理的な情報流通の代替手段として。これは、まったくの空想であろうか。試算をしてみると、現時点で、一般的なインターネット・ユーザには手が届きそうにない。しかし、レンタル・ビデオ屋さんのような「名曲流通センター」みたいなお店が業務用で使える可能性はありそうだ。

1)一般的なインターネット・ユーザの場合(試算を参照するなら→ ここをクリック。

一般的なインターネット・ユーザの場合、CD1枚分をダウンロードするのに、通信費用が1万円から4万円もかかってしまう。また、1枚のCDをダウンロードするのに、まる2日マシンと回線を稼働させなくてはならない。今のマシンや通信ソフトの信頼性を考えると、エラーに悩まされて、断念せざるを得ないかもしれない。

しかし、発展著しいコンピュータ通信の世界だ。10年というスパンではなく、5年というスパンで、今のCDの流通コストを下回る可能性もある。

2)INSネット1500の場合(試算を参照するなら→ここをクリック。

この場合は、あと一息というところだ。CD1枚をダウンロードするのに、従量制の通信費用は4〜5千円だ。ダウンロードするのにかかる時間も、1時間程度だ。これなら、今のマシンやソフトでも大丈夫かもしれない。

問題は、インターネット・プロバイダに払う費用だ。これが高い。100万円くらいはしてしまう。また、現時点でINSネット1500のアクセスを提供しているプロバイダはいない。だから、これは絵に描いた餅となりかねない。

しかし、廃盤CDデータベース業者が同一区域内にいれば、プロバイダのコストは考えなくても良い。月間基本料も4万5千円。今のレンタル・ビデオ屋さんが、業務用で提供する・・・という形ならビジネスになる可能性もある。

物理的流通の代替手段の当面の本命 -- CATVからのインターネット・アクセス --

96年1月19日の読売新聞に、郵政省がCATV網を使ったインターネット・アクセスの実験を行うと報道されている。この実験では、「端末側の受信回線が毎秒最大30メガビット、送信回線同4メガビット」とされている。このネットワークを共有する人数が増えるほど、実際のスループットは下がってくるだろう。しかし、この最大の伝送速度を使えたとすると3分少々でCD1枚分のデータをダウンロードできる。

気になるのは、コストだ。通信費はCATV網を使えば「月額5000円程度」という。これが実現すれば、「廃盤なき社会」を実現するための情報流通基盤となるだろう。これには期待が持てる。CATVからのインターネット・アクセスは台風の目だと言えるだろう。

ここから抜ける


試算

1. 現在の平均的なユーザがCD1枚分の情報をダウンロードする場合

前提条件
○今の通信費用は時間に比例するから、まず、時間を計算してみよう。

650 × (1,000k) × 8(bit) = 5,200,000 (kbit) 5,200,000(kbit) ÷ 28.8kb/s = 180,556(秒)

この前提で、ユーザが負担する費用は、以下のとおり。

(1)通信料 

   3分10円であるから
   180,556(秒)÷180(秒)×10(円)= 10,030(円)

(2)プロバイダ接続費用

   概ね1分10円であるから、
    180,556(秒)÷60(秒)×10(円)= 30,092(円)

通信費用、プロバイダ接続費用を合わせる1万円から4万円。市販のコンパクトディスクの10倍程度の水準であり、これでは話にならない。



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2. INSネット1500を利用する場合

前提条件

○通信時間を計算すると・・・・

650 × 8(bit) = 5,200(Mbit)
5,200(Mbit) ÷ 1.5Mb/s = 3,466(秒)

ユーザが負担する費用は、以下のとおり。

(1)通信料 

   INSネット1500の通信料金は、区域内で、60円で50秒通信できる。
   3,466(秒)÷50(秒)×60(円)= 4,159(円)

(2)プロバイダ接続費用、ネット1500基本料等(月間固定費用)

   現在、ネット1500からのアクセスを可能にしているプロバイダはいない。定額だと、月間100万円くらいはしてしまうらしい。

   INSネット1500の月間基本料金は、DSUをレンタルすると月間約45,000円である。

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(続く)

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