今日をこえて (岡林信康)
11月7日。長谷川雄二さんの吉祥寺のstar pine's cafeでの公演を見に行った時、笹山氏と会ったら、風邪でひどく弱っていたのでした。声もでない。9日、やれるかどうか自信もなさそうで、とても心細い様子でした。咳と熱がひどかったのです。
音のセッティングができて、中川からリハーサル。例によって、ギターのベースの音を強くしてもらい、また、ボーカルには目一杯リバーブをかけてもらうセッティング。ひとまず、音だしをはじめた頃に、笹山氏がキーボード、ギター2本をかかえて登場。
様子を問いかけると、「家で練習したんだけれど、一曲も最後まで歌えない。今日は長谷川雄二さんも来てくれるので、最悪、中途でリタイヤとなったら、長谷川さんに出てもらおうかと思う。」との答。一曲でも、納得のいく形で歌えたら、それでいいんだと思う・・と心底思ったのでした。
笹山さんのリハーサルが終りました。何とか、1曲を終えられるという感じ。後は、この好調の持続を祈るのみ。「『今日をこえて』を最後に一緒にやろう」と中川がもちかけ、笹山さんも了解。中川がギター、歌。笹山さんがピアノという構成でやりました。
お客様も入場していただきました。ディジタルビデオカメラ、MDのセッティングも終了し、いよいよ、笹山さんの本番。「今日はひどい風邪をひいて・・・」そんなMCをところどころ交えながら、笹山さんは歌い始めました。
1曲、2曲と進行し、それぞれきちんと歌い終る。曲の進行ととともに、声も調子良くなる。そんな感じです。そして、歌い続けること1時間。最後の1曲は歌い上げる感じ。気力ってあるなあと心の底から感じたのです。
今回は、3部構成でやってみようと思っていたのでした。自分自身の歌の傾向のようなもののなかで、D−Openチューニングのギターによる、ゆったり、のんびり、しんみりしたもの。短くて、浮かんだフレーズを生のまま繰り返すかつてのパンクロッ ク青年的なスタンスのもの。そして、浮かんだイメージを、歌で記述するようなもの。大体、この3種類に、しようと思えば分類できるかと思うのです。それを3部構成としてみた次第です。
おおむね、好評だったようですし、自分でも気持よくやれたでしょうか。ゆったりとしたうねり、テンション、そして歌が醸し出すイメージ。そんな展開になったのかもしれないと思います。
中川の演奏が終了して、笹山さんと「今日をこえて」を歌いました。歌詞カードを眺めながらの歌の中川でした。笹山さんは、今回はピアノ演奏だけでした。望むらくは、次回、ハーモニーをとってやりたいなどと考えた次第です。
今回は、kaztou店長の古賀さん夫妻のサポートに感謝。第1部は、海のイメージということで、kaztouの青い壁とシンクロするようなあおい照明にしてもらいました。中川が歌に徹することのできるような状況をつくっていただいたことに感謝です。
そして、見に来て下さって、最後まで聴いて下さった皆さん。共有していただけるから歌う。そういうところがあります。また、この日は大阪出張であったけれども、歌が終ってからkaztouに到着ということで残念でしたけれども、日頃の活動を支え、そして、中川の歌を聴いて下さる方を広げる努力を日頃続けてくれているRさん。
さまざまな人々のおかげで生きているわけであり、さまざまな人々のおかげでこう して歌えるのであり、歌いつづけられるのであり、続けられる状況のなかで続けて いくということが、そのさまざまなおかげに対するお礼ということになるのでしょ う。という思いで、これからも続けていきたいと思うのです。
971120 中川一郎
地下鉄丸ノ内線「東高円寺」の1番出口から青梅街道を新宿方向に徒歩2分。 お問い合わせ:03-3316-6210(当日) 環 ■ 七 ■ 吉野家 ■ ◇ 青梅街道沿い ←荻窪 ■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■ 新宿→ ■ ◇ ★ ◇ ■ 東 クリーニング店 セブンイレブン 高 の地下1F 円 kaztou 寺 駅 1番出口
笹山てるおさんと中川は、77年頃埼玉県立春日部高校で出会いました。高校の同級生なのです。サイケ、フォーク、ジャックス等で話ができる数少ない学友でありました。
高校卒業後の79年、笹山てるお氏に中川は誘われて、「絶対零度」に参加したのでありました。このバンドは、東京のニュー・ウェーブシーンの一角を担ったバンドでありました。笹山氏はとても個性的なギターを弾き、中川は無手勝流でベースを弾き、後に、ギター、歌という展開でありました。
「絶対零度」が終って82年から、中川は音楽活動を休止しました。それ以来、笹山氏と会うこともなくなったのでした。
笹山氏と再会したのは、94年11月。渋谷公会堂での早川義夫さんのコンサートの時でした。中川は音楽活動を再開したのでした。
96年から「地下から空へ」という歌の集いを、笹山さんと中川は開始しました。
笹山さん、中川ともに、それぞれに生きていることの、そして、その時、その時の在り方の表明として、歌に託し、それを歌っているのだろうと思います。それぞれの現在を確認しあいながら続けていこうと思っています。明示的に互いに語ることはないのだけれども、そういうところで続けているのだろうと思います。
この集いもさまざまな方のご協力で成立し、そして継続できています。今度も、一人でも多くの方にお越しいただければと思います。よろしくお願いします。
(971012 文責:中川一郎)