代休で休みの月曜日。夜の8時頃、けたたましく電話が鳴った。
俺「はい、田中です」
男「あ、あの、私、キューサイの平林(仮名)と申しますけど・・」
すーーーーっかり忘れていた。
なんと、あきらめずにまたまた電話をかけてきた平林(仮名)クン。
男「青汁なんですけど・・いまから届けにおじゃましてよろしいですか」 俺「ええ、どうぞ」
とっさにOKしてしまった俺。 恐いモノ見たさか? と言うか、ここまでする平林(仮名)の心に打たれたのだ。 折しも雨が降り出して、洗濯物を取り込まなければならない事態に。 かなり激しい雨だ。本当にくるのだろうか? 彼曰く、10分後ぐらいに 到着するというが・・・
おっ、本当に来たぞ! わくわく。 一体どんな奴なのか。 それよりも、俺の頭のなかでは、これ程までして家にやってくる平林(仮名) とは、もしかして途方もなく胡散臭い奴なのではないか、という心配が ムクムクと鎌首をもたげ初めていた。「無料サンプル」と銘打っておいて、 実はなんだかんだの理由を付けて金を請求するのではないか?
もう出るしかない。 意を決して俺はドアを開けた。
と、そこにはロン毛でサングラスをかけた、ひと昔前のロッカー風の男が、手に包みを持ってにこやかに立っていた。こいつが平林(仮名) なのか?
平林(仮名)「いやー、やっと会えましたね。」
俺は取りあえず表情を崩さずに「はあ」とだけ答えた。
著作者:田中H