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建築をつくるということはどういうことなのだろうか。 たとえば地面に壁を1枚たてれば、 その場所には新しく空間が誕生する。 そう、建築をつくることの答えのひとつは、 空間を生み出すことと言えるかもしれない。 しかし、ひとつの空間が成立するということは、 その内部が外部から切り取られるということ。 建築とは、内部と外部とを分離するものなのだろうか。 壁1枚によって、こちら側とむこう側が違う空間になる。 たった壁1枚のために、空間が2つに引き裂かれるとしたら、 そんな悲しいことはない。 建築とは、そんな冷酷無情なものなのだろうか。 建築によって乖離させられた内部と外部は、 永遠に、別々の存在になってしまうのか。 1枚の壁に隔てられた2人の人間は、 もはや同じ人生を歩むことはできないのだろうか。 いや、そんな空間を分節するためばかりでなく、 反対に、つなげるために建築が存在したっていい。 つなげるのは、なにも空間に限らない。 家族をつなげる、時間や思い出をつなげる、 組織や地域をこえてつなげる、、、 建築は、いろいろなものをつなげる力を持っているはずだ。 人と人とのつながりには、さまざまなつながり方がある。 過去や将来の自分自身とのつながりというのもある。 そんないくつかのつながりを提起するような建築を考えてみた。 個人重視の時代で、 家族や地域の人々とのかかわりが希薄になっている昨今だからこそ、 よけいに人とのつながりを考えるのかもしれない。 それは、日々の生活に追われて、 自分の来し方行く末に思いをはせる機会が少なくなったことも、 関係しているかもしれない。 |