残雪の丹波・長老ヶ岳から地蔵杉へ             

 
長老ヶ岳から地蔵杉 (中央)
■目的地:長老ヶ岳(916.9m)・地蔵杉(758.3m) <山域:丹波・丹南市・京丹波町>
■2.5万図:和知・島
■日にち:2006年4月1日(土)
■天気:晴れ後曇り
■同行者:単独
■コースタイム:
  三埜・菅原神社 発(10:15)〜水道施設(10:30)〜林道分かれ(10:50)〜Ca670m尾根(11:50)〜
  831m山(12:00)〜長老ヶ岳(12:35-13:15)〜831m山〜仏主峠(13:45)〜752m山(14:20)〜
  Ca775m(14:55)〜Ca830m(15:05)〜地蔵杉南西Ca810m(15:45)〜地蔵杉南尾根Ca810m(16:00)
  南尾根Ca700m(16:30)〜Ca440m東谷川(16:55)〜菅原神社 着(17:35)

 2日ほど前に雪が降った。歩きやすい尾根道を求めて丹波の山へ行こう。
長老ヶ岳は何度か登ったので近くの稜線歩きとセットにしたい。地蔵杉まではしんどいだろうか。
 R27から美山に分かれる府道で林床に雪を被った和知富士が現れる。思ったよりも残っている。
翡翠のような湖面、大野ダム湖。大野小学校から左折して三埜の菅原神社前に駐めさせて頂く。
林道を歩く。田んぼの石垣にふきのとうが出ている。よく見ると小さなシヨウジヨウバカマも。
 
三埜から歩く 
 水道施設を過ぎて立派な杉林の中、だんだん雪が覆ってきた。カーブした橋で山道に分かれる。
近畿自然歩道の道標が長老ヶ岳を指している。5cm程の雪になってきたのでスパッツを着ける。
さっきから樹上からの雪解け水がぽたぽたと落ちてくる。山道は倒木が多い。
 右上の大きな岩に気を取られていたら道を外して谷に入りそうになった。元に戻り白い山道を
つづら折れに登る。南端で植林を抜け、少し展望がある。小休止。再びつづら折れの植林へ
入って高度を上げる。植林から出ると西に長老ヶ岳。
 
665m尾根 
 明るい日差しに白い雪が眩しい。キツツキが幹をつつく音が響く。
665m尾根に乗るとそこは白い回廊が延びている。尾根の両側は葉の落ちた疎林越しに山並み。
右に長老ヶ岳、左に地蔵杉が遙かに見える。植林の登りから解放されてルンルン気分の歩き。
831m山手前に古い道標があった。尾根の手前に来ると雪庇が舌を出したように見える。
低い所をよじ登って尾根に乗る。西斜面は雪と落ち葉ががまだらになり春を感じる風景である。
北西の山並みが眼前に広がる。
 
長老ヶ岳の登りから振り返る 
 南西に尾根を下りると雪がうねるように残る管理道に合流。山頂への急斜面を登る。
雪庇と滑りを避けて落ち葉の出かけた所を登っていく。約100mの標高差、この登りがなかなかきつい。
平坦になり山頂はもうすぐ。雪が少し深くなる。山頂手前が広く伐採してあり北の眺めが
欲しいままである。薄雲りながら若狭湾や丹後半島まで見える。
 
長老ヶ岳山頂から三埜 
 山頂に着くと程なく乙見の方から単独おじさんがスノーシューで登ってきた。
仏主からふれあいロードで来たという。雪が深く別の2名は断念したそうな。美山ルートはたまたま
歩きやすかったのかも知れない。しばし山談義。高御位山、大江山、鈴鹿、比良など。
話は尽きないが地蔵杉へも行きたかったので先に失礼させて頂く。
 
仏主峠 
 831m山を過ぎて少し下ると仏主峠。個人の説明板が無ければそのまま通り過ぎてしまうほどの
素朴な峠だ。さて、ここから先、どこまで行けるだろうか。エスケープルートを思案しながら
時計を見つつ歩いていく。地蔵杉へは時間的に厳しと見るべきだがついつい先へ歩いてしまう。
812m山の先は下り加減で尾根も広くて歩きやすい。思ったよりも早く752m山へ着いた。
ここが中間点なので、この調子なら地蔵杉へも行けるかと希望が出てきた。
 
北の谷 
 尾根道は落ち葉と雪が半々で顔を出す。林越しの眺めも良くて快適そのもの。
Ca760mから768mまで尾根は南に湾曲する。北からの谷のせいだろうか、この湾曲尾根は
雪が深かった。膝近くまで潜ってしまう。この辺りからブナも見られるようになる。
西を見ると林越しに長老ヶ岳が随分と遠く見えるようになった。野鳥が多い。
 
細い尾根へ 
 768mからCa775mは雪庇に気をつけながらも割と楽に歩けた。しかし、Ca775mからCa830mの
登りは標高差70m程なのだが、足が痙攣しそうになりきついものになった。幹に掴まって足への
負担を少しでも小さくする。振り返って景色を眺めて休みつつ登った。Ca830mピークは右手に
杉があって窮屈な感じ。尾根は次第に細くなり岩が露出してきた。いよいよ細い尾根となり
両側は切り立ってくる。馬の背の様な岩尾根を進むことになる。さっきまでのゆったりした林の
尾根とは全く違う。地形図に岩の記号はないのだが。

 疲れが無ければなんとか通過できそうなやせ尾根も、今は自信がない。力が入らずバランスを
失いそうだ。山の事故でバランスを失って滑落したとは、こんな場面なのかなと頭を過ぎる。
しばし思案する。すると右下に鹿の足跡がある。そうか一旦下に巻いてから登れば先へ行けそうだ。
心細い小さな木を掴んで尾根を下巻く。ここまで岩尾根を進んできがこの先へいけるのだろうか。
この時点で心身共に疲れ果て、目の前にある地蔵杉への約100mの登りは断念することにした。
 
地蔵杉断念 
 エスケープを考える。右に見える谷は地形図で見るよりも険しい。岩肌も見える。この谷へ
下りるのは止めよう。右の谷の上を巻いて地蔵杉の南尾根を下りた方が良いだろう。
ルートは決めたが、この岩尾根をどうやって下りようか。先へ進んで見下ろすと、思ったよりも
切り立っておらずなんとか下りることができると判断した。下りる姿はたぶん情けないへっぴり腰の
三点支持だったのだろう。下手すると谷に落ちて死ぬかもと思っていたので仕方がない。(^^;;

 鞍部に無事辿り着き谷を巻く。手袋を交換する。急斜面はササの上に雪が被っている。
足を取られないように気をつけながら、時には両手で斜面を確保しつつ巻いていく。
ここでも鹿の足跡を目安にする。少し登り加減に歩いて南尾根に辿り着く。
北を見上げると伐採された南面が寒々と広がっている。ここから地蔵杉へは比較的緩やかな
登りなのだが、既に登る気力は失せてしまっている。夕暮れへの時間もあるのでひたすら尾根を下りる。
 
地蔵杉南尾根を見下ろす 
 763m点までは長く感じられた。この尾根はササが多く、雪がなければ歩きにくいかもしれないなと
思いつつ下りていく。途中鹿除けネットが続き、鹿の頭骨や息絶えた鹿一頭を見る。無惨な光景だ。
進行方向に大岩山が見える。Ca700mで尾根は二叉になる。林道に早く下りられる西の支尾根を採る。
西には遠く長老ヶ岳。時刻は午後4時半、山を下りているべき時刻である。日は長くなってきているので
18時までは大丈夫だといいきかせ、あせる気を静める。

 約600mで鹿道が少し西へ向いている。再び鹿を信じて辿ってみる。
思うと北摂のバリエーションルートで培った経験がこの山行ではフルに動員されているようだ。
斜面が少し緩やかな空間に入る。大きなモミの木がある。さらに植林の急斜面を下りていくと
眼下に沢と白く雪で覆われた仕事道が見える。なんとか辿り着いたかとほっとする。
 
林道 
 沢でスパッツを洗うと冷たい水が心地いい。
まだ雪が残る林道には植林地の名前だろうか、立て札がある。「寺暮」「肩又」。
しばらく歩くと道の雪はなくなり落ち葉で覆われる。雪解け水が崖のあちこちから吹き出る。
苔が多い。冷たい水なのに強いものだ。沢の水は青く速い。
長い歩きの途中、小さな祠で無事を感謝する。

  長老ヶ岳について   

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2006.4.9. BY M.KANE