多紀アルプス いいとこ取りのピストン縦走記
三岳(793m)・西ヶ嶽(727m)・小金ヶ嶽(726m) 篠山町・西紀町
山行タイムテーブル
日置から望む多紀アルプス
(1996.6.1.夕刻)
篠山盆地の南東部から北方を見る。
左から西ヶ嶽・三岳・小金ヶ嶽と並ぶ。
山行記 1996年6月1日(土) 薄曇りのち晴れ 単独
8:40 自宅発
篠山盆地に入って、R374を西に向かうと、
2、30人のハイカーがぞろぞろ歩いている。
「八上城まつり」の幟がいっぱい立っている。八上山に登るのだろう。
いずれ行きたい山であり、まだ登山口を知らないので
一緒に付いて行きたい衝動にかられる。
9:40 篠山京口
昼食のおにぎりを買うのに手間取った。コンビニが少ない。
やっと京口で見つけたが、開店10時。
うろうろすると、南新町の交差点に7時開店の所を見つけた。
遅くなった。火打岩へ急ごう。
バス道を瀬利から左に曲がってすぐに「御嶽口」の標識。
少し早いなと思いながら、標識に沿って左へいくと、
どうも火打岩方面じゃない。引き返して右の道を進む。
少し広がった道脇に車を止める。
10:20 火打岩
静かな里。三岳が奥に見える。うぐいすとかえるの声。
シャガの花がたくさん咲いている。他にもいろいろ。
バス停はあるが、本篠山行きは、時刻表を見ると2時間に1本。
しかも、土日運休のため午後からは16:21発の1本しかない。
10:30 登山口出発。
「御嶽道」の標識あり。
民家の間を抜け、あぜ道を通り、植林へ入る。
階段が続く。やがて雑木林になる。道が濡れている。
昨日は雨が降ったようだ。適度な登りが続く。
木に名札が掛かっている。「こなら」、「そよご」。
ふむふむ、勉強になるなぁ。
陽光を透かした新緑が美しい。下草も思ったほどない。
10:50 尾根分岐
道の両脇に熊笹が続くと、間もなく尾根分岐につく。
さっき車で迷った「御嶽口」からの道はここで合流する。
林の中の平坦な尾根道が続く。時折、道をはずして、隣の西尾根が
見渡せるところがある。みどりと鳥の鳴き声がいっぱいに広がる。
尾根道はまだまだ続く。草や若い枝が張ってきてい、背をかがめながら
歩くようになってきた。初冬の落ち葉の頃はさぞかし気持ちのいい
プロムナードだろうと想像しながら、日陰の道を行く。
登りがなく、日陰なので歩いていても汗がひいてきた。
11:10 鳥居堂跡
少し登って左にカーブするところに標識あり。
その後ろに熊笹の茂った石垣。説明文には、以下のようにある。
「三岳一山の没落後寺内の大売(おおひらめ)神社に移さる。」
この周辺は、平安末期から中世にかけて修験道だった。
11:30 水のみ場
うるさいくらいのうぐいすの声を聞きながら、熊笹の茂る道を
くねくねと行く。細い竹(めだけ?)の林を過ぎれば、水のみ場。
今は、水はない。名前だけ。
道標では、「丸山」からの合流点。登ってくる人の声が微かに
聞こえるが先を急ごう。
11:35 大岳寺跡
看板だけで、何もない。やがて登りがきつくなる。
体力低下を実感しながら、一歩一歩ふうふう息をついて登る。
11:43 小さい石の祠
露岩が出てきて、昔の修験道の趣が出てきた。「文化財を大切に」の
小さな立て札がある。
11:50 西の展望岩
いゃー、ずっと日陰の身だったので、今日最初のまともな展望は最高。
西ヶ嶽が大きく見える。木々のいろいろな緑で覆われて、きれい。
南側には北摂の山並みから、篠山盆地、松尾山方面が広がる。
足元にはヤマツツジが咲いて、クロアゲハが舞っている。
木々の海へ飛び込みたくなりそうな、ふさふさした緑が続いている。
登りのしんどさもあってついつい長居して西ヶ嶽のスケッチ。
それにしても西ヶ嶽へは、かなり下ってから登るんやなぁ。
12:00 東の展望岩
少し登ると、いやいやこちらもいい眺め。東側が展望できる。
ごっつい岩峰を従えた小金ヶ嶽がそそり立つ。スケッチ。
あんなとこホントに歩けるんやろかぁ。先が不安になる岩々がいっぱい。
腹の虫が鳴いてきたが、ここよりも三岳山頂のほうが
もっと気持ちいいだろうと我慢。
12:15 石室
杉やひのきの植林を登って抜けると、トイレ付きの休憩所があった。
今日初めて人とすれ違う。同年代くらいの二人連れ。
これをさらに登ると石室に着く。う〜んさすがに元修験道の地。
石室横の岩峰はいいけど、めしはやっぱり山頂にするか。
12:18 三岳山頂 (793m)
期待したほど展望がない。電波中継所もある。
先着の犬を連れたおじさんがシャツを干していた。
う〜ん、さっきの石室横の岩峰が良さそうだな。
戻って、岩峰に腰掛けようとすると、大たわ方面から登ってきた3人組。
私より少し上の世代3人で、うちひとりは元気な女性。
昨日の雨で気になったので道の状態を聞くと、「だいじょうぶ、大丈夫!」
かなり念を押されてしまった。
よっぽど心配そうな顔をしていたんだろうか。
12:40 石室出発(西へ)
おにぎり3個と麦茶、オレンジジュース。
3人組はバーベキューとビールで楽しい昼食みたいなので、
先を急ぐことにした。三岳山頂を通り越して、下る。
林が時折開けていい天気。さぁ!すばらしい稜線歩きが始まるかな。
それにしても、西ヶ嶽は遠くに見えるなぁ。
12:55 栗柄への分岐
道標が整備されていてわかりやすい。
まっすぐ通過。うって変わってブッシュが激しくなる。
何度もアップダウンが続く。景色は見えない最悪の歩き。
途中、「ポンポン」「ポンポン」という規則正しい音。
鳥の声のようでもあるが、全く想像が付かない。
大きな岩がある。その横をブッシュにつかまって登る。
13:15 西ヶ嶽山頂(727m)
また途中のピークかなと思ったところに山頂の立札が現れた。
ふぅー。着いた着いた。
狭い山頂だが、静かで誰もいない。人の手も入っていないので、
三岳よりいい感じ。眺めもこっちの方がいい。
東に三岳が大きくそびえ、北は丹波・丹後の山々が幾重にも重なる。
大江山もこの中にあるんだろうなぁ。
いつもは北摂の山しか行かないので、この多紀連山が
私の世界で最北の山波だった。しかし、こうやって見ると、
まだまだたくさん続いている。う〜ん、世間は広い!
南側は北摂の山だが、中でも大船山の尖峰は遠目でも目立つ。秀逸。
晴れているが、強い日射しでもなく、風が通ってシャツ一枚でも心地よい。
山頂西側にも登山道が続いていて、こっちの方が歩きやすそうだし、
登り着く手前で山頂の立札が目に入り、到着の感激が想像されそうだ。
北斜面の近くの木に、いろんな鳥が飛んできて鳴き声を競う。
うぐいす・キレンジャクの様で目のまわりが青いの・それから...
うーん、鳥の名前も勉強不足だ。
13:50 西ヶ嶽出発
そろそろ、またあのブッシュを戻ろうかな。憂鬱だが、時間もないし..。
それにしても、長袖で良かった。(家を出る時、半袖でと思ったが)
ブッシュをかき分けかき分け進む。道ははっきりわかる。
14:07 栗柄への分岐
やはり、分岐を過ぎると道が良い。木々の間から大きな三岳が
ふんぞり返って覗いている。登りは休み休み、暑い暑い、汗を拭く。
14:28 三岳山頂
やっと着いたか。さっきとはうって変わって誰もいない。
見晴らしは、西ヶ嶽のほうがいいな。そのまま通過。
14:45 石室出発(東へ)
グレープフルーツ・ジュースで一息つく。
岩峰から北側の眺めがいい。
シャツ一枚に心地よい風、元気が戻って来る。
さてさて、時間は予定より1時間近く遅れているので行こうか。
今から、あの厳しい小金ヶ嶽かと思うと、ため息がでそう。
しかし、ここまで来たら、三山縦走しないと悔いが残る。
14:55 階段
石室から下ると、程なく明るい林のプロムナード。
この道がメインルートなんだろうと感じさせられる。
次の下りは急で、脇にロープが張ってある。直ぐに階段が出てきた。
ありがたいけど、興ざめである。
私より少し年上のご夫婦とすれ違う。
「まだまだありますよ。」いかんいかん、こんなこと言ったら、いかん。
「上は気持ちいいですよ。」と付け足す。先程来の自分の気持ちが正直に
出てしまって、不適切な発言だったと後悔する。すみません。
車の音が近いなと感じるともう大たわが近い。
15:10 大たわ
大たわの「たわ」は、山へんに定と書く。(山定)
「橈」の当て字で稜線のくぼんだ所という意味だという。
県道が通っていて、大きな駐車場がある。ここからの三岳は楽だな。
さてさて、小金ヶ嶽に行くかな。県道を横切り、道標に沿って
薄暗い植林帯に入る。下草が全くない暗い林だ。歩きやすいが、
あまりの暗さに、もう遅い時間なので引き返そうかという思いが掠める。
15:20 植林帯おわり
一息入れて、歩けば直ぐに、階段の登りが天まで続くように長い。
とにかく一歩一歩登る。暑い暑い。
15:30 手前のピーク(約665m)岩場始まり
階段が終われば気休めの平坦道からまた登り。ピークを通過。
展望が開ける岩に着く。休憩。小金ヶ嶽の方は岩・岩・岩。
あんなとこどうやって行くんだと思って、行けば、
大きな岩峰の手前で急直下。岩の下をまく。
また岩の上に出る。なかなか「修験道」してきたな。
岩登りの様なところもある。雨は乾いている。よかったよかった。
切り立つ岩の間から抜ける風がみょーに涼しい。
またまた、岩の下をまく。
途中、岩峰に登れそうなところもあるが、先を急ぐ。
やがて、岩登り状態が続くと、そろそろかなと予感させられる。
15:50 小金ヶ嶽山頂(726m)
着いた。
三岳と同じ方位盤がある。西に三岳が大きく見える。
南方を除いてぐるりと見渡せる。山々が折り重なっている。日本海まで
見えそう。但馬の氷ノ山なんかもコンディションが良ければ見えるだろう。
今日最高の眺め。来て良かった。
園部町の方に気になる山、発見。いつか行こうかな。
山頂へは他に、東から四十八滝コースと南に小金口コースがあるようだ。
今日は約5kmの縦走だが、本当は三岳を中心に東西20km程の行程がある。
修験道では大峰山ほどではないにしても、そこそこのもんだったのかなと
勝手に修行僧の苦しさを想像する。
(まだ、大峰山は行ったことがない。^^; )
16:10 小金ヶ嶽出発
なかなか去りがたいが、帰りも遅くなりそうなので、そろそろ行くかな。
16:25 手前のピーク(約665m)岩場終わり 10分休憩
来た方を振り返ると、岩ごつごつでもちゃんとたどれる道がついている
もんだと、なんだか仕事のことを教えられたような感じ。ちと大げさかな。
おにぎりを一つ食べながら感慨にふける。
緑の中を歩いて階段を下りる途中、シジュウカラが直ぐ近くまで
飛んできて今日の疲れを癒してくれる。
16:40 植林帯始まり
下りは早い。もうすぐだ。高い杉の合間から通る光が幻想的。
16:45 大たわ
広い駐車場の横に大きな看板がある。「多紀連山O2の森案内図」
篠山町はハイキングコースの整備にかなり力を入れているのが伺われる。
16:55 大たわ出発
ここから舗装された県道を火打岩まで引き返す。
車が一台も通らない静かな道を歩いていく。
たにうつぎやヤマツツジがきれい。
17:10 小金ヶ嶽登山口の標識
水場があったかと思えばすぐに小金ヶ嶽登山口の標識が目に入る。
ほう、ここからも行けるんだ。ランドクルーザーが一台通る。
だんだん沢の音が聞こえてきた。
17:15 おのぶの滝登山口の標識
どんな滝かなと覗くと、砂防ダムの様な堰からの滝だった。
登山口とあるから、三岳へのものかなと見るがよくわからなかった。
17:30 危険区間遮断機
「畑川」と言う川らしい。きれいな水だ。途中、見上げると今にも落ちそうな岩。
落石注意。間もなく古びた危険区間遮断機があった。
17:50 火打岩着
田圃のあぜ道に座って、三岳を望む。おにぎりを一つ食べながらスケッチ。
6月だけどいい天気で良かった。帰路につく。
途中、振り返って小さくなった西ヶ嶽・三岳・小金ヶ嶽を望む。
19:10 自宅着
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1996.6.1. BY M.KANE