早春・高岳北尾根の隠れた美林に遭う    

 
明るい雑木林へのいざない 
■目的地:高岳北尾根の655mピーク <山域:北摂・兵庫県猪名川町>
■2.5万図:福住
■日にち:2002年3月3日(日)
■天気:晴れ
■同行者:単独
■コースタイム:
  奥西軽井沢 発(11:00)〜関電巡視道〜No.103,104分岐(11:15)〜北尾根(11:40-12:10)〜
  655mピーク(12:15)〜ササの鞍部(12:30)〜コンクリート道の峠(12:55)〜
  赤白鉄塔上のピークCa665m〜コンクリート道三叉路(13:10)〜No.101へ〜No.101〜
  No.102へ〜ヤブの沢(13:25)〜炭焼き跡の沢(13:35)〜奥西軽井沢 着(14:00)
  
【思案】 3月23日に予定しているオフの下見に行くことにしよう。目的地は奥山654.8mであるが
それだけでは物足りないので、高岳北尾根の途中に上がり杉生新田を取り巻く府県境尾根を伝う
ルートを模索する。どこから北尾根に上がろうか。2.5万図「福住」にある406m標高点からの
破線道は病み上がりの私には少し長いと自重して、その北の436m標高点からの谷に探りを入れて
みました。

【青空】 杉生新田の東奥へ細い車道を進む。民宿や窯元が近い436m標高点辺りを過ぎて
小さな橋を渡ると石仏の前を通る緩い登り道。「奥西軽井沢自治会」という立て札がある。
サーカステントのような建物の前に空き地があり、ここに駐車させていただく。
 車を降りると西に大野山の大きな姿、東は高岳北尾根の鞍部が青空を背に鉄塔を担いでいる。
そこから迫る谷の冬枯れがいい色をしているではないか。
     
大野山を望む
【谷の入り口】 2.5万図436m標高点辺りにある手すりのない橋。その脇から田んぼとコンク
リートで固められた川の間に下草の刈られた道が谷へと入って堰堤が見える。その手前には
鹿よけの手作りゲート。横に立派な民家。巡視道を示す赤い矢印プレートが目に入った。
ゲートから向こうは私有地なのかと気にして近づいてみるとMTBのタイヤ跡のような細い筋が
たくさん残っている。10m程横の民家には誰も見えない。巡視道プレートも有ることだし
中へ入らせてもらう。道は一旦民家に近づいてから山裾へ折れて登っていく。堰堤は少し古い。
晴天の日射しの中、とてもいい感じの山道だ。よく踏まれている。(冒頭の写真)

【雑木の谷】 しばらくすると畑の跡のような段地を間にして道が二股になった。
左の雑木林の道も歩いてみたいが、小川に沿って右手を採る。沢を渡ると植林を過ぎてすぐに
冬枯れの雑木林が一面に広がった。落ち葉に覆われて下草がない。いい天気で実に明るい。
巡視道のプレートがあり、またまた良い感じの左の道を指しているが、また今度。あまりの
素晴らしさにため息の連続。どんどんと主流をさかのぼっていく。さらにさらに雑木林が続く。
よく手入れしてあるのだろう。北摂でこんなに広々とした一面の雑木林は初めてである。昨秋
歩いた台高の奥山川源頭を思い出す。ぽーん、と台高に飛んでいった気分である。こんな近場で
台高気分に浸れるとなれば最高である。
 わくわくウキウキしながら登って行くと前方の沢源頭部がササに覆われているようだ。
この辺で左の谷に入ろう。うーん、いいなぁ。青空に冬枯れの谷、最高である。
     
いい感じの谷
【北尾根を行く】 雑木林を十分堪能して高岳北尾根に辿り着いた。その谷を見下ろす所で
昼食とする。静かだ。日が差して明るい雑木林の中。
後は尾根を北へ歩く。もう5年ほど前になるので懐かしさとこんなだったかなとの入り混じりで
ある。655mピークを過ぎて5分ほどするとササが出てきた。あの頃の私には初めてのササヤブだ
った。同行してもらった佐竹さんは難なく漕いでいったものだ。あの時と同じように激下りの末
ササヤブの鞍部から上りへ。しかし、今回の上りはササが刈られていて歩きやすい。ここにも
人が来るんだナァ。
     
北尾根から大野山を望む
【幻滅の林道】 懐かしいササのピークの手前で大野山や杉尾新田の谷などの展望を楽しみ、
いよいよ府県境が西を向く頃だなと上り始めの雑木林以来ウキウキ気分で尾根を歩いていました。
おぉ、右前方に深山が横たわっているではないか。
 と、その時行く手に白い大蛇のような影。もしかしてと思ったらやはり、もしかであった。
近年の北摂界隈を荒らしまわっている高圧鉄塔。それを作るための林道である。
せっかく私にとっての大発見である雑木の谷で気を良くしていたのに、すっかり幻滅。
     
北尾根から深山を望む
【迷走】 真新しいコンクリートの林道に嫌気が差してしまった。おまけに方向感覚も
おかしくなってしまったのか。目的の奥山へ向うつもりでコンクリート林道の峠を横断して
さらに北のピークへ歩いてみた。ん?何か違う。高圧線は谷を跨いで北へ伸びている。
地形図で確認するとどうも行き過ぎたようだ。引き返すのも面倒なので新しい赤白鉄塔の辺り
まで下りてみた。うーん、切り開かれているもののイバラが生い茂り歩きにくい。奥山はその
先に泰然と居座っている。まるで、ここだよ〜と手招きするように。
 イバラの隙間を縫って下りていくと結局、さっきのおぞましき林道の途中に出てしまった。
コンクリートの道が三叉路になっている辺りである。
     
奥山は目と鼻の先
【巡視道】 林道歩きは癪なので、すぐ左脇の植林の中に上っている巡視道に入ってみる。
No.101丹波丹後線。もう少し下ってNo.102 府県境尾根の鉄塔下に出る。しかし、その先は
低木ヤブがおびただしそう。今日は林道に打ちのめされたので(^^;; ヤブを漕ぐ元気はなく
素直に引き返す。この時点で奥山まではあきらめた。あとはどうやって愛車へ戻るかを考える。
少し登って巡視道を南下。尾根の腹を下りるつづら折れの道はやがてヤブっぽい谷となり、
枯れかけた沢を渡る。再び小さな尾根を乗り越えると炭焼き釜跡のある沢に下りる。巡視道は
そのままさらに尾根を巻いて南下するようだが、愛車を停めた所はそこまでいかんだろうと、
この沢を下りてみることにした。薄い踏み跡があったが次第にヤブっぽくなってきた。
小さな尾根を右に交わすと丁度車を停めた道に飛び出し、ぴったしと愛車に辿り着いた。
 うーん、あの素晴らしい谷といい、林道や最後の巡視道といい気になる歩きでした

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2002.6.30. BY M.KANE