雪の大野山からの教訓    

冬枯れ
花立岩越しの南望 (上の山にて)
■目的地:大野山(753.5m)・上の山(706m) <山域:北摂・猪名川町・篠山市>
■2.5万図:福住・木津
■日にち:2002年12月30日(月)
■天気:曇り
■同行者:単独
■コースタイム:
  渓谷の森公園 発(8:50)〜山頂(10:00-10:05)〜駐車場〜林道〜花立岩(10:25)〜
  上の山〜北の展望岩(10:30)〜駐車場(10:45)〜渓谷の森公園 着(11:15)

【北へ】 落ち葉を踏みに北摂の山へと軽い気持ちで大野山に向かう。西軽井沢バス停の
付近から県道脇には雪が寄せてある。西峠を過ぎると思わずスローダウンしてしまう。
渓谷の森公園は雪で覆われていました。
 車を降りると靴底が滑る。転ばないように登山靴に履き替えてリュックを担ぎ事務所へ
向かう。アスファルトに足を踏み入れた途端、尻餅をついてしまった。幸いリュックが
クッションになったので大事に至らず。事務所のおばさんから大丈夫かと心配された。
駐車の断りを入れると年末年始の休みで昼前後に出入り口は車止めするとのこと。
出入り口の外に車を移動して出発。

【林の道】 キャンプ場の抜けるアスファルト道は凍結しているのでその脇の芝生に
積もった雪の上を歩く。さらにわんぱくの森という丘の上に向かう道を辿る。粗目の雪が
残っており、とても落ち葉を踏むという状態ではない。ワーキングハウス「杉木立」の
脇から植林の山道になる。シンと静まりかえった林の中は久しぶりの感覚で懐かしい。
 何度か歩いた勝手知ったる道にも雪が薄く残っている。沢を渡り返して谷から尾根に
上がる急登が始まる前にヤッケを縫いでセーター姿となる。二年ぶりに歩く道は少し
風化してきたようで斜面が急に感じる。高度が上がると背後に上の山北尾根が見えてきた。
野鳥の声、雪に残る獣の足跡、幹に付いた雪。落ち葉道とはうって代わって少し厳しい
表情の山道だ。静か。
   足跡  
可愛らしい足跡
【足跡】 尾根の高度を増していくと、道の雪も厚くなる。ウサギやシカと思われる足跡が
あちこち行き交っている。姿は見えないが生き物が活動している様子が伝わってくるのは
何となく嬉しい。斜面の雑木林はすっかり葉を落としてグレイの冬化粧。
 ササがでで来る手前でスパッツを着けた。以前は駐車場の下に出ていた道だが手前で
左手に分岐して少し上って駐車場へ出るようになっていた。ここに来ると周りは白一色で
ある。アンテナ設備の巡回と思われるバンが一台停まっているが、人影はない。空も鉛色の
雲が流れて微かに青空が覗く。
   深山  
雪雲に隠れた深山
【眺め】 今日の目的は新設されたという岩巡りの道がどんなものかを見てみること。
そういうわけで山頂は申し訳程度に寄ってみるのみ。白い雪の上を登ると方位盤が青空に
でてきた。眺めは相変わらず素晴らしい。弥十郎も深山も頂は雲で隠れている。どこも
厳しい冬の山なのである。雲は流れて弥十郎の斜面が光った。
 駐車場に戻って新しい天文台の下を林道づたいに上の山へ向かってみる。
路面の轍は凍結しているので滑らないように路側の雪の上を歩く。蛍光色の吹き流しが
たなびく天文台の西側にハングライダーの飛翔ポイントができていた。寄り道してみると
足元から柏原の里まで遮るものがない。この景色を見ながら緩やかに飛ぶのも心地の
良いものかも知れない。
   花立岩  
花立岩
【岩】 コブを過ぎて上の山に差し掛かると斜面が伐採されて大きな岩が鎮座している。
立て札もついていて「花立岩」とある。2年前に来たときは名前も知らず雑木林に囲まれて
いたのだが、今は林道からロープを伝って登れるようになっている。赤裸の様で少し寂しい。
伐採整備された方々のご苦労も判らないではないが個人的にはそっとして欲しかったのです。
 北の展望岩はどうなんだろうと雪の積もった林の尾根を歩いていくと見覚えのある大岩が
右の林の中に現れた。花立岩より小振りだが、一面に雪を被った岩の上からは弥十郎など
北の展望が相変わらず素晴らしい。
 岩巡りの道というのでさらに西の方に「太鼓岩」があるというが、午後から用事があるため
引き返すことにした。

【足】 上の山から林道と並行に尾根伝いに戻ったが、膝を越える笹に雪が載っている。
しばらくすると膝から上が濡れてしまった。気づいたときは既に遅く、急に冷やされた膝には
周りの筋肉が緊張して痙攣しそうな感覚がある。動きを止めたらさらに冷えそうなのでかばい
ながらやっとの事で林道から駐車場へ。こんなところで足が利かなくなったらと不安がよぎる。
 しばらくは緊張した歩きになったが、やがて暖まってくると何とか気にならなくなった。
来た道を戻るが、気が抜けたところで思わぬ怪我が潜んでいるかも知れない。上りの時とは
打って代わった気分で逃げ帰るように山を下りた。植林の平坦な道になると、以前は植林の道と
敬遠していたのに、ホッとした雰囲気に包まれてしまった。

【教訓】 事務所がまだ開いていたので缶コーヒーを買い、おばさんに挨拶して帰路に就いた。
山に登る前に滑って転んだり、笹薮での雪で足を冷やしたりと、今日の山は安易な気持ちで
山に来た者に対する警告と感じた。低い山でも気を引き締めてかからないと大変なことになると
改めて教えられた大野山でした。

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2003.1.1. BY M.KANE