日漏れ落つ晩秋の大船山 山行記 

 
  
 夕刻、十倉から大船山の鋭鋒を望む 
 
 
          1997.11.30. 
 

■目的地:大船山(653.1m) <山域:北摂・三田市>
■日にち:1997年11月30日(日)
■天気:曇り
■同行者:俊一(8才)
■コースタイム:

  十倉公民館発(12:20)〜大磯への峠(12:55)〜羽束川への峠(13:10)〜
  山頂(13:20-14:20)〜電波反射板(14:30)〜580mピーク(14:45)〜
  約495m地点の分岐(15:00)〜鈴鹿・安楽寺(15:30)〜十倉公民館着(16:05)

【大船山】 「おおふなやま」と呼び、大舟山とも書く。北摂の北西に三角錐の
形のいい山が目に付く。これが大船山である。湖沼期という太古に舟をつないだ
松の木があったことからその名がついたという。麓は静かな里が広がり、わらぶきの
屋根も見ることができる。
 昼前に留守番から解放されて、俊一と出発。北に向かうが雲行きが怪しい。
予報では回復するはずだったのに、フロントガラスにバラリパラリと細かい水玉が着く。
 猪名川町から西に峠を2つ越えて三田市に入り、うどん屋で腹ごしらえ。
十倉の集落にある公民館の駐車場に車を停めさせていただく。

【静かな池】 右手を仰ぎ見るとどんよりと曇った鉛色の空に尖った山頂がそびえる。
麓近くにはだいだい色の葉が残るが、上の方は寒々とした枝だけ。冬景色への衣替え。
 公民館から、たわわに実った柿の木を横目に、農道をいく。やがて左手にため池が
現れる。さらに行く。二つ、三つとため池が現れる。三つ目のため池の堰の上を横切
る。私はこの三つ目のため池がとても気に入っている。この山に来る楽しみの一つで
ある。静かに空と山影を映す。

【しっとりとした山道】 三の池(と、言うことにしておこう。)を過ぎると植林に
入り、登りが始まる。右に昨日の雨を集めた沢音を聞く。足下は以外に広葉樹の葉が
多い。しっとりとした登りである。先客がいるようだ。俊一が目ざとくサワガニを
見つける。水の流れの中で、寒くないんだろうか? 大磯への峠がもうすぐという頃
には、背中が暑くなり汗が出てくる。峠を右に曲がり、まだ水がチョロチョロと流れ
るえぐれた道を緩やかに登る。かなりの距離を水が流れていて、「晩秋の沢登り」と
言いたいが、ちょっと大げさか。
 くねくねと山頂を巻くように登ると方向感覚がおかしくなる、羽束川集落への峠に
着く。ここをまっすぐ行くと、十倉の反対側の羽束川に下りるのである。間違うこと
なく右に折れていよいよ急登が始まる。いつの間にか俊一が前を歩き、ひょいひょい
と登っていく。
 
 大船山山頂から大野山
 スポットがゆっくりと山肌を照らす。
          1997.11.30. 
 
【スポットライト・ショー】 山頂は先客6名。20分ほどでみんな下りていく。 以前に増して木が払われているようで、特に南から東の眺めがいい。しかし、今日は あいにくの曇り空。それでも、雲間をすりぬけた陽射しが、スポットライトの様に 山々を照らし出す。篠山の三岳、北摂の大野山、深山、剣尾山、堂床山、竜王山、 三草山、妙見山、五月山連山、中山、六甲、羽束山と順々に光を浴びていく。こんな 光景もまた佳し。光に浮き出る橙の黄葉と緑が印象的である。狭い山頂で光を追って 行ったり来たり。  古い解説板が、真新しい観光協会のものに変わり、説明文も現代的になっている。 変わってしまうと、以前の古くさい解説板が懐かしいものである。 【破線トレース】 この前の高岳で、病みつきになったか、今日は安直に元来た道を 下るのは面白くない。2.5万図を見れば、真南の稜線に破線の小道が記されている。 俊一にはチョット辛いかもしれないが、このルートを下りてみる。しっとり濡れた 落ち葉が積もる急坂を下りていく。枝につかまらないと転びそうだ。赤い布のひもが 要所に結んであるので心強い。  10分ほどで関西電力の電波反射板に着く。これはこの山を同定するシンボルでも あるが、なんとまぁ、尾根の真ん中に居座ったことか。鉄柵を左から巻いて尾根に 戻り、ふかふかの落ち葉を踏んでさらに下りていく。 【もう一つのピーク】 地図の通り、鞍部に到着。右手の谷にかすかな踏跡がある ようだが、まっすぐ登り返す。やがて前方が開け、テレビの共同アンテナが立つ 580mピークに到着。ここからは南が開けて、羽束山の尖りが欲しいままである。 その向こうには六甲の影、そして西日を反射した瀬戸内海が輝く。  7分で次の小ピーク(約550m)に着く。ここは立木で展望なし。そして急降下。 少し緩くなり、ちょっと登ったかなというところが、尾根の先で、分岐がある。 ここを右にとる。まだ、赤い布がある。
 
 大船山山頂から
 六甲を背景に羽束山が浮かぶ。
          1997.11.30. 
 
【連続急降下】 枝につかまりながらの急な下りが延々と続く。落ち葉は誰も踏んだ 跡がなく気持ちよい。ツツジの木が多い。春はピンクに彩ってくれることだろう。  やがて、ビニールの白いひもが現れた。松茸山と言うことだろうか。しばらくは このひもに伝って踏み跡があるので、その通りに下りていく。だんだんと緩い下りに なるが、逆に道が荒れてきた。倒木が多い。2、3カ所の分岐らしき所は右にとる。出発 地点に近づくのが確実だからである。 【親鸞上人像】 やがて前方がヤブになってきたので、左の小さな栗畑を通り、竹林 に向かう。竹林の手前に小さな社をかぶったお地蔵さんがおられた。赤い帽子を着け てもらって暖かそう。(^^)  竹林を抜けて沢を横切ると鈴鹿の集落にでた。「無量山・安楽寺」という小さな お寺がある。山門から覗くと銅像が建っている。親鸞上人像である。信心深い里の 一面を見るようである。右に右に下りていくと。能舞台?を持つ八幡宮があり、ここで 県道に合流する。あとは十倉まで舗装道をのんびりと戻る。

  大船山について   

  山のリストへ  / ホームページへもどる


1997.12.08. BY M.KANE