残雪と芽吹きの能郷白山 

前山  
能郷谷から望む前山 (能郷白山は左奥に隠れる)
■目的地:能郷白山(1617.3m)<山域:美濃・根尾村>
■地図:5万図 能郷白山
■日にち:2001年5月4日(金)
■天気:晴れ
■同行者:佐竹さん
■コースタイム: 自宅発 5/3(20:00)=関ヶ原IC(22:10)=R21=穂積=道の駅・いとぬき 着(23:00)

  能郷谷林道駐車場 発(8:00)〜1合目(8:40)〜3合目(9:45)〜前山(10:05-10:15)〜
  5合目(11:00)〜山頂(11:20-12:55)〜前山(14:00)〜3合目(14:20)〜駐車場 着(15:30)

【奥美濃へ】 道の駅・富有柿の里いとぬきで前夜泊。7時前に佐竹さん合流。国道157号を
北上して能郷谷へ入る。周りの山々は萌葱色に朝日が射して爽やか。遠く谷の奥に白い雪を
まとった山影。わくわくして来た。林道にはいると何度も雪解け水の沢を横切る。林道終点に
ある駐車場は既にほぼ満車状態となっていた。
   新緑
 林道駐車場から村界尾根を見る
【急登】 支度をしながら谷を囲む山を見上げると真っ青の空に新緑が萌える。絶好の日和。
案内板から山道にはいると直ぐに沢を渡る。増水していた。その先は噂に聞く急登が始まる。
緑の林の中、高度を上げる。ミツバツツジ咲く。両脇の谷の斜面がだんだん広く見えて来る。
あくまで緑が美しい。1合目、2合目と過ぎる頃には汗が額を垂れる。タムシバやイワウチワ。
木々の間から見える前山の残雪が眩しい。
   前山
 支尾根から前山を見る
【村界尾根】 やがて両側をササで囲まれた単調な上りが続く。まるで氷ノ山・三ノ丸への殿下
コースのようだ。ササの横に残雪が現れた。山道にも所々雪が覆うようになる。村界尾根に上が
るとブナの林を通して磯倉の鋭峰が際立つ。尾根道は明るくてショウジヨウバカマがかわいい色
を添える。大きなブナの立ち枯れた幹を過ぎて一旦下るとまた急な登りが始まる。
   村界尾根道
 爽快な村界尾根道 (前山を見る)
【前山】 前山のピーク横にたどり着く。残雪の原に乗ると目の前に大きな能郷白山がどっしり。
感嘆のため息。登りを喘いだ甲斐があった。尾根の上は雪の道。山と雪を交互に見ながら快適な
尾根をゆっくりと下る。だんだん大きくなる能郷白山。
   能郷白山
 前山から能郷白山
【雪斜面】 山道と雪の上と半分位。さて最後の登りへはいる。キックステップで雪の斜面を登
るとブナの木々が青空を突くようにそびえるコブ。再びキックステップで最後の広い雪の斜面へ。
だんだん傾斜が増していく。一旦、露地を巻く。なんと、こんな所にザゼンソウの群落。露地の
上はさらに雪の急登と思ってゆっくり登ったらあっけなく山頂になった。南に広がる背は見渡す
限りの雪原。そしてその周りに居並ぶ奥美濃や加越の山々。三角点は北がササで囲まれ、ぽっか
りと加賀白山が浮かんでいる。
   雪の斜面
 山頂への登り
   加賀白山
 山頂から加賀白山を望む (最前:越山への尾根、中央奥:荒島岳、その右上が加賀白山)
【大展望】 祠の方へ行ってみる。雪原はどこでも歩ける快適さ。眺めはこちらがより開放的。
雪が解けた露地にはカタクリがたくさん出ている。あまりに小さくて気づかづに踏まれたものも
ある。草に気を遣いながら居場所を見つけて昼食。
 磯倉を下降する団体があり、みんなの歓声が上がる。人心地着くと持参した20万図で山座同定。
佐竹さんにコンパスの使い方を教わる。蕎麦粒山の秀麗な姿も雪。冠山は山頂だけ顔を出す。
遠く金糞岳や伊吹までも見える。南にも花房山などの山影が累々と並ぶ。
 次に三角点から少し温見峠寄りに移動して北の眺めも楽しむ。眼前の姥ヶ岳や越山を擁する尾
根。部子山、銀杏峰、荒島岳。みんな残雪をまとって別世界のようだ。そして荒島岳の上に、そ
の名の通りの加賀白山が雲と見間違うほど白く高く浮かび上がっているではないか。
 越山へ続く尾根の背には白い筋が街道のように見える。あの歩きは確かに心地良いだろうなぁ。
あそこが妻恋地蔵さんの著書「低山趣味」にも記される越美国境の尾根かと感慨深く眺める。
この雄大な眺めと雪原はとても去りがたいものだった。
   蝿帽子峠方面
 大郷谷から平家岳方面を望む 
【下山】 雪山経験の少ない私は怖気づいて軽アイゼンを着けて雪の斜面を下りた。一方の佐竹さ
んはシリセードを楽しむゆとりさえある。ザゼンソウの写真を撮って下りていく。
 前山への帰りは緩い登りとなる。ブナの芽吹き前で枝先がオレンジ色。その中をシジュウカラが
かわいい姿ではね回っていた。澄んだ声が新緑の谷に染み入る。北東の大郷谷に落ちる林は下の方
で萌葱色の綿のよう。雪の上は気持ちのいい歩き。前山に着くと振り返って能郷白山に別れを惜し
み、ササの間を村界尾根の下りに入る。
 眼下には南に延びる尾根が色とりどりの緑色を並べていた。昼下がりの暖かさで花も多い。ピン
クのミヤマカタバミも咲きかけ。イワウチワも乱舞。下りは膝に負担がかからないようゆっくりと
下りる。見蕩れるようにきれいな緑の尾根が伸びている。ウグイスの声はのどか。
   能郷谷方面
 能郷谷を望む 
【緑】 よほど暖かいか首の周りは小アブがうるさい。やはり春だナァ。緑を見下ろしての下りは
依然と続く。林道終点あたりでカモシカを見たという人が居た。下りてきた道を振り返れば西日を
浴びた葉が光る。駐車場の手前で沢の水を土産に汲む。朝と同じように谷を見上げると忘れられな
いほどの緑の氾濫。いい山だったなぁ。病み付きになりそう。
 同行いただいた佐竹さんに感謝します。うすずみ温泉でさっぱりして帰路に就く。

      能郷白山について   

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2001.5.14. BY M.KANE