春霞の丹波・向山から譲葉山縦走      

向山  
 岩座展望所から望む向山   
  山を愛し、自然を大切にする人だけに入ってほしいと思います。(^^)

■目的地:向山(569.0m)・ 譲葉山(594m)
■2.5万図:柏原        <山域:丹波・兵庫県氷上町・春日町・柏原町>
■日にち:1999年3月13日(土)
■天気:薄晴れ後小雨 少し暖かい
■同行者:単独
■コースタイム:
  自宅 発(8:55)=氷上町石生・水分れ(みわかれ)公園 駐車場着(10:15)

  観音堂登山口 発(10:30)〜二ノ山298m(10:50)〜岩座展望所(11:10-11:25)〜
  三ノ山(11:30)〜四ノ山511m(11:40)〜向山山頂・向山平展望所(12:10-12:25)〜
  五ノ山(12:40)〜蛙子展望所(12:55-13:00)〜破線道の峠(13:30)〜破線道西へ〜
  清水山東の谷約380m地点(13:55)〜破線道の峠へ戻る(14:15)〜譲葉山稜線へ〜
  567mピーク(14:25)〜町界直角の鞍部(14:40)〜岩尾541.4m(15:05)〜
  東の展望地(15:10-15:20)〜譲葉山山頂(15:30)〜351m〜崇広小学校(16:15)〜
  JR柏原駅 着(16:25)

【向山】 むこうやま。むかいやま。氷上町・春日町にある里の山。
氷上町石生(いそう)は日本で一番低い分水界の地。標高95mで加古川と由良川に水を
分ける。分水界の東に水分れ公園があり、向山はその奥に聳える。
石生奥山、八幡山とも呼ばれるそうだ。
 最近、水分れ公園を起点に向山連山登山道として整備されている知らせを頂いた。
4月初〜中旬頃は稜線にヒカゲツツジが咲きそろうという。大事にしたいものである。

【登山口】 水分れ公園駐車場の入り口に向山連山登山道の案内板がある。登山口は
観音堂から北の尾根伝いと東へ水分れ公園から清水山方面の二つ。繋いで周回出来る。
観音堂登山口の道標に添って歩き出すと、公園の整備作業中のようなおじさんに声を
かけられた。「向山へ登りますかぁ? そこの観音堂から行けますよ。」「上はヒカゲ
ツツジがきれいに咲くよ。今年は4月の初めかもしれんなぁ。お宅の足なら、2時間
半で下りてこれる。」「いやぁ、どんなもんでしょうねぇ。」と照れ笑いの私。
案内板には休憩を入れて5時間とあったので、そんなに甘くなさそうである。
 間違って民家への道へ入りかけると、後ろから声がする。「こっち、こっち。」と
さっきのおじさんが右の方を指す。ありがたいものです。
松の尾根道  
  二ノ山からの尾根道に三ノ山がのぞく  
【道標】 観音堂から登りが始まる。この山は私有地との注意書きあり。大切に。
真新しい道標が随所に立ててあり道を外すことはなさそうである。邪魔になる木も
払われ黄色いテープやひももある。訪れる人が少ないのであろう、足下の落ち葉は
カサカサとして踏みこなれていない。明るい雑木林の中、くねくねと急な登りが
二ノ山手前の滝山古墳跡まで続く。二ノ山298mからは松混じりの平坦な尾根道。
三ノ山や向山山頂がのぞく。

【岩座展望所】 途中にいそべ神社への分岐がある雑木林を登ると展望所の指標。
岩があるのでよじ登ると、素晴らしい眺めが眼下に広がった。南西に石生の町並みや
高見城山、南に清水山からの尾根が大きく根を張る。陽射し柔らかくあまりにいい景
色なので、ここでひと休み。静かで気持ちよい。電車の音が遠くに響く。
向山の前には、ヒメヤシャブシが黒い果穂をぶら下げて枝を広げている。

【ヤブおじさん】 三ノ山の下方からガサガサと音が聞こえた。鹿だろうか、そうい
えば観音堂の途中にイノシシ除けの柵があったなぁ。カウベルをリュックから出して
鳴らしながら三ノ山へ登る。登る途中でおじさんが出てきた。水分れ公園ルートの
途中からヤブを登ってきたそうな。同胞に逢う感じだ。猟期を避けて下草のない今の
時期が一番歩きやすいという。同感。丹波の山に入るのは5月までとか。展望所の
話をすると行ってみるというので、お互いに気をつけてと分かれた。

【リス】 それから三ノ山へはすぐであった。乗り越えて下りかけると「この先、
ヒカゲツツジ自生地」の立て札。仰ぎ見れば白い岩肌と松の緑を従えた四ノ山511mの
南面。鞍部には、黒い炭のような土がむき出した「亜炭展望所」があったが、谷の
眺めのみ。
 左手に巻いて四ノ山への登りとなる。急登をあえいで少し平坦になると頭上にリス
が一匹駆け回る。いつ見てもかわいいものである。元気に暮らせよと先へ行く。

【切り開き】 四ノ山511mはすぐであったが立木で見晴らしなし。低木ヤブを切り開
いたような尾根道が続き、「松の台展望所」。北東の春日町を見下ろす。松の木を
少し開いて苔むした岩がさらされていた。せっかくついたふわふわの苔が踏まれるの
は惜しい。次に来た時も残っていて欲しいものだ。
 深坂北峯521mまでいい感じの道。「ツツジが岡展望所」は、西の谷を見下ろす。
ピークでは展望に恵まれない分、このように随所に展望所が設けてあるが、切り払わ
れた植物達は痛々しい。身勝手な性格だ。(^^;
向山平  
  自然度の高い向山平  
【向山平】 ツツジが岡展望所からすぐに山頂に着くが、高い木に囲まれここがまた
一段と展望はない。北に切り開きがあるのみ。三角点を触って昼食を摂るべくもう
少し歩いてみる。
「向山平」との標識。そんなに広くはないが平坦な尾根に低木がポツポツと伸びて
感じのいい雑木林である。そして「向山平展望所」が北に開いている。腰掛けるのに
丁度良い岩もあるのでここで昼食。春日町の黒井城趾が見える。北には五台山の山塊。
 昼食をしていたら登りに逢ったおじさんが来るかなと思ったが、その気配がない。
先に行こう。

【岩峰】 さらに尾根を行くと五ノ山591m。ここがこの辺りで最高点のようだ。
鞍部を登り返すと岩峰が出てきた。通り過ぎかけた所に「蛙子(がえるご)展望所」と
あるのでよじ登る。これがまた良い眺め。すぐ南に松の立枯れがあって高度感を
醸しだし、その向こうに清水山が横たわり、谷に鳥の声が響きわたる。西は舞鶴道を
従えた妙高山と薄靄。
清水山  
  蛙子展望所から清水山  
【分岐】 さらに尾根伝いに、蛙子峯562m。道標に清水山と柏原が分かれているので、
柏原の方へ辿ってみる。ヤブと聞いていたが歩けそうにないようなら引き返そうと
思って雑木の急坂を下る。そのうちに踏み跡不明瞭となる。さらに行くと槍ヶ岳の
ミニ版のような岩峰がある。その先にピークが見える。地図で確認すれば551mピーク。
 道標に惑わされたようだ。右へトラバースして行くと整備された縦走路に出ること
が出来た。蛙子峯の道標は清水山の方角で良かったのかも知れない。

【縦走仲間】 しばらく歩くとおじさんが一人やってきた。譲葉山から登って清水山
へ向かうという。お互いに行く先の情報交換をする。こんな山の中で人に会うとはと
とても嬉しかった様子。ビニルシートから地図を取り出して説明してくれた。譲葉山
へは一本道で歩きやすいとのこと。この言葉に気を取り直して縦走の決意をするも、
おじさんの指し示す地図の上には雨粒が落ちてきた。

【谷】 先のおじさんが気付かなかったとゆう2.5万図破線道の峠についた。さてこれ
から登りという時に雨は勢いを増す。うーん。峠道を下ろう。早い決断が良かったか
結果は如何に。植林の中を薄い踏み跡について下りる。沢となり谷の荒れ地となって
踏み跡判明せず。柏原の町並みは遠い先に見える。そのうち林道になるだろうと高を
括ったのがまずかった。ヤブはまだまだ続きそうだ。それも谷。さてどうする。
 2、3度ためらいながら下りていったが、先が見えない状況に観念して、急斜面を
登り返す。昼過ぎに痛いアルバイトになってしまった。水を飲む。
尾根道  
  尾根道の様子  
【尾根道】 明るい尾根に辿り着き、なおも雨がパラパラ落ちるが、稜線を辿るため
567mピークへ登る。谷に続いての登りはきつい。落ち葉を楽しむ余裕もなく尾根道を
どんどん進んでいった。尾根筋を外さない様に何度も地図で確認し、同じ様な景色が
過ぎていく。町界の直角に曲がった鞍部は特に尾根を逸れそうなので注意した。案の
定、誘うかのように北東の480mピークへ道が分かれている。落ち着いて右に採るが、
なだらかになっているので迷い易そうだ。尾根道は時々倒木があるも人一人が歩ける
幅が実にハッキリと続いている。541.4mピークは岩尾と呼ばれているそうだが、その
手前(北西)にある約540mピークは明るい立木に囲まれて静かな丘だった。ジュースで
一息。たまに陽が射すと希望が沸き立つ。こうも鮮やかに、天候によって心理をもて
あそばれてしまうものかと、精神力の弱さを感じる歩きである。

【東の展望地】 岩尾541.4mの三角点に着くと木々の間から譲葉山の反射板が見える。
もう少しだ。さらに尾根。東の開けた展望地があった。なんとそこには、三尾山と
黒頭峰の特徴ある姿が霞んで見える。その先に雲を抱いた三岳。よくぞここまで歩い
てきたなと実感する瞬間であった。デジカメのメモリカードが一杯になったので、
替えを探したが見あたらない。そうこうしていたらまた雨足が忍び寄ってきた。瞼に
眺めを焼き付けて最後の登りにかかる。今までほとんど雑木林だったがここに来て
鬱蒼とした植林。そしてまた雑木。うっ、腿がピクピクとつりかけている。何という
事だろう。谷のアルバイトが悔やまれる。
東の展望地  
  東の展望地から西多紀の山々  
【権現堂】 腿をかばいながらゆっくりと登っていく。平坦になるが少しヤブっぽい。
譲葉山は三角点がないのっぺりした林の山頂である。山頂に来た証を探してしばらく
歩くと小屋が見えてきた。権現堂である。中は休憩用か腰掛けがついているようだ。
ここまでの安全を感謝する。雨がポツリポツリと落ちているので、休む間もなく振り
返って左(西)側のよく踏まれた道を下りる。緩やかな下りが足に優しい。すぐ前方に
立ちはだかるのは反射板。右を回ると柏原の町を見下ろす眺め。その先の山は薄い雲
に覆われかけている。

【長い西尾根】 先のおじさんに教えてもらった山頂からの西尾根を忠実に下りるこ
とにした。さっきまでの縦走路とちがいよく踏まれた道である。雨でだんだん濡れて
きているが滑るほどではない。分岐があった。谷から東奥へ下りるのだろう。もっと
山道を歩きたくて、そのまま真っ直ぐに尾根筋を行く。林でほとんど展望はない。
 そして思いもかけない登り返しがあった。地図をよく見ていなかったので、後で
351m地とわかる。下の方からは野球練習の声が響いてくる。だんだん声が近くなり、
雨足が大きくなると声は止んだ。山の公園のような所だなと下りていくと小学校の
グランドに出た。校庭の横に山があるとは何とも羨ましい環境である。

【陣屋跡】 崇広小学校へは迷い出たような感があり、少年野球の外野を場違いに
歩く。先生のような方に校門を尋ねて町並みへと出た。この辺りは旧織田藩の陣屋跡
が残っている通り。タイムスリップしたような雰囲気である。
 JR柏原駅に着いたのは、石生行きの普通16:15が出たばっかり。歩く元気もないので
タクシーで水分れ公園に戻る。\1260。
 まだ雨雲に隠れていない向山がわが山のように待っていた。ヒカゲツツジを愛でに
また訪れたい。


  向山について   

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1999.3.20. BY M.KANE