好展望−札幌・藻岩山の萌葱色      

藻岩山  
 JR車窓からの眺め    
■目的地:藻岩山(531.0m) <山域:北海道 道央>
■地図:エアリアマップ 札幌 区分・都市図
    ロープウェイ駅でたまたまもらったイラスト地図「藻岩山山中案内」
■日にち:1999年5月15日(土)
■天気:晴れ
■同行者:単独
■コースタイム:市電 「西4丁目」発(9:00)=「ロープウェイ口」(9:20)
  
  「ロープウェイ口」[標高約30m] 発(9:20)〜ロープウェイ駅(9:30)〜
  登山口 <慈恵会病院上>(9:45)〜北尾根で旭山コースに合流(10:10)〜
  山頂(10:30-11:10)〜南尾根ルート〜登山口 <市民スキー場入口>(11:45)〜
  バス停 「南34条西11」着(12:05)=バス=「西11丁駅前」着(12:25)


【藻岩山】 機会があって北海道に行きました。突発のため、山の装備はなしです。
 藻岩(もいわ)山は、札幌市街の西にある夜景の名所。ロープウェイや車でも山頂へ
行けますが、原生林が残された山としてハイキングも人気のようです。

【北の街】 朝起きて予定コースタイムを決め、15時発伊丹行き飛行機を予約。
山の下調べは不十分。ホテルフロントなどで情報を収集して出発。
 JR札幌駅のコインロッカーにかさばる荷物を置き、徒歩にて大通り公園へ向かう。
5月といえども最高気温は15度程度、コートを着ている人もちらりといました。
ビルの谷間の時計台を見て大通り公園へ。いずれも実際に見るのは初めて。(^^;
市電の始発駅「西4丁目」に向かい、既に停車していたので乗り込む。
 発車するとそののんびりとした動きに、どこぞ遠い世界へ連れていってくれるかの
ようです。20分揺られて「ロープウェイ口」駅で下りる。\170(全区間一律)。
札幌岳  
 山頂から札幌岳方面    
【萌葱色の丘】 手稲山や札幌岳など市街から見える1000mそこそこの山はまだ白い
雪が残っているが、眼前の藻岩山は薄茶色。その手前の丘に建つは白い平和記念塔。
塔よりも丘の萌葱色が気に入った。ここでは北摂よりも2ヶ月近くの遅い春。
 始発は9:30だが、まだ乗客はいないロープウェイ駅。窓口で、平和記念塔から上に
は歩いていけるか聞くと、道はない。慈恵会病院上から行けますとイラスト風の「藻
岩山山中案内」のコピーをくれた。「下りはイッキにロープウェイ」なるほど時間が
なければその手で下りるかぁ。

【登山口】 車道を歩く。伏見稲荷の前を通り、少し細くて判りにくい辻を左折す
ると慈恵会病院の先に登山口。道脇に沢山の車。支度をして出発する人たちも多い。
近くの人に山頂まで2時間くらいかと聞くと、ゆっくりでそれくらいだという。
なんとか予定どおり行きそうである。道標に「馬の背1.8km 山頂2.8km」とあった。

【花と鳥と】  幅2m程の地道、周りはササの上に伸びる木々。
 キケマンの花をブルーにしたエゾエンゴサクが咲く。道祖神のようなお地蔵さんが
等間隔で現れ、谷沿いの緩い登りに野鳥の声が木霊。山道には花が咲き乱れている。
エゾエンゴサクの他にニリンソウ、エイレンソウ、花の裏がピンクのイチリンソウ、
二年振りに会えたヒトリシズカと、北の国らしい白と青の花で彩られる。
 若葉が出だした原始林は、はるにれ、イタヤ、えぞまつなど。

【場違い】 背広を手に持ちワイシャツとベストで登る変人に、こんにちはと声を
かけてくれる人や、怪訝な目で見る人と反応は様々。山をなめとんのかと思われたか
も知れない。スパッツまで着けている人も3割ほど居ましたので...。
 そんな視線が気になってか、自然とピッチは上がる。(^^;

【ダケカンバにコゲラ】 数人が小休止中の広場を抜けると平坦な道になる。白い幹
のダケカンバや蝶が浮かんだようなコブシの花が出てきた。右手の谷はさらに静かで
100万都市のすぐ横にこんな所があるのかと驚く。
 かわいらしいコゲラが、枝を移ってこちらに近づいてくる。その足音も聞こえる。

【馬の背】 エゾエンゴサクが咲き乱れる青い斜面を巻いて登れば、北尾根に出て
旭山コースに合流する。ここでも小休止の人が多い。のどが渇いたが、水なし。
 ダケカンバの林越しに雪の残った札幌岳方面の山なみがいい感じ。こんなお手軽な
登りで信州の高原の雰囲気に出会える素晴らしさ。尾根道には花は少ない。
 やがて岩がゴロゴロとしてきたつづら折れの道となり、眼前にアンテナ塔が出てきた。
恵庭岳  
 山頂から恵庭岳方面    
【好展望の1】 あっけなく山頂着。もう少しゆっくりと歩きを楽しむんだった。
山頂は観光客やハイカーが多い。レストランに土産もの屋、展望台。
レストランの外(東側)にある三角点を確認して、南の駐車場の上にベンチと自販機。
アクエリアスでのどを潤す。うまい。\150。奥の残雪と手前の萌葱色のコントラストが
素晴らしい西の山々を見ながら一息。冷えてきたので背広を着る。スケッチ。
 駐車場の方へ行くと、南に北の大地がのびやかに横たう。その右に恵庭岳が尖る。

【好展望の2】 展望台に登ってみた。みんな思い思いに眺めを楽しんでいるが、
何故か喧噪の感はない。乾燥した空気のせいだろうか。
 東に石狩湾、札幌市街、その奥にピンネシリや夕張山地の白い頂。西はさっき見た
恵庭岳から手稲山。先週、ひと山向こうの定山渓ではヒグマが出たと報じられていた。
この山並みは、そんなこんなも飲み込む大きさである。

【シマリス】 下山は別のルート、南尾根にとる。途中、木の下に黒い残雪があった。
シマリスは山の中で会いたかったが、鳥舎の様なケージがあって、その中に一匹いた。
 リフトの横の木の階段を下りてスキー場の上に出る。雪はなく山菜採りができそうな
感じの斜面が谷に落ちる。谷の両側は、これまた素晴らしい萌葱色の尾根が伸びている。
山桜の葉と花が色を添えて良い眺めである。スケッチ。
南尾根  
 南尾根を望む    
【高原の径】 スキー場横の急坂を下りると、少し登り返してすがすがしい新緑の
中を歩く。先程見下ろした萌葱色の中である。スミレが咲く。見上げると黄緑の葉と
山桜の白、そして青空。絵になるなぁ。カメラを持っていないのが残念。
 凛とした空気が心地よい。エゾマツの落ち葉が積もったつづら折れを下りていけば、
沢音が聞こえてきて市民スキー場入口の登山口へ着いた。いい山でした。

  藻岩山について   

  山のリストへ / ホームページへもどる


1999.5.30. BY M.KANE