三岳再び 


■到達地:三岳(793m)の石室
■日にち:8月24日(土)
■天気:曇り
■同行者:単独
■コースタイム:
 
==櫃ヶ嶽登山口散策==
  自宅発(10:00)〜宮代橋(11:15)〜出発(11:25)〜囲い乗り越え(11:30)〜
  再度歩きモード(12:10)〜水源かん養保安林立て札(12:20)〜
  宮代橋・昼食(13:00)〜〜〜車で移動〜〜〜
==三岳ピストン==
  大たわ(14:00)〜石室(14:30)〜下山(14:40)〜東展望岩(14:45)〜
  再度歩きモード(15:00)〜大たわ(15:15)
 
 
【櫃ヶ嶽】 秋を運ぶ前線が来ているという。確かに風はもう秋のにおい。涼しい。
前から気になっていた、丹波・東多紀アルプスの櫃ヶ嶽(582m)を狙おうと出発した。
ものの本では、丹波の山がぐるりと見渡せるらしい。楽しみ。 しかし、....
風は秋でも、山の草はまだ夏の勢いをとどめている。根性のない私はその勢いに
推されて撤退。野の花を愛でた後、ふらふらと6月に登った三岳の肩、大たわに
たどり着く。発作的に三岳に登ってしまうという顛末です。
 登場人物はパジェロのおじさん。

【カワセミ】 国道173から外れた所にある宮代(みやしろ)の里は黄金の稲穂がたれる
静かな里である。宮代川ぞいの道脇に車を止めると、川の上をトンボのようなものが
通り過ぎていった。いやにブルーの色彩が気になって、よーく見ればカワセミである。
おぉ、川に飛び込んだ。戻ってくるとそのまま、すーっと、となりの田圃の稲穂の
陰に姿を消した。いやー、いいものを見れた。(^^)v
宮代川は銀鱗を光らす魚がたくさんいる。ナルホドこれが餌食になったんだ。

【晩夏の野草園】 カワセミのショーに気を良くして、櫃ヶ嶽を目指す。
先日、紀ノ国屋書店で買った5万分の1の地図を頼りに農道を歩く。集落を過ぎると
すぐにトタン板で田畑を囲った所に出会う。農道も遮られているが、乗り越えて進む。
たぶん、イノシシから作物を守る囲いであろう。
 山林の脇を農道が伸びているが、この道がまた、かわいい花のオンパレードである。
ピンクのゲンノショウコ、うすむらさきのツリガネニンジン、オカトラノオの黄色と
薄紫色バージョン、これまた白とピンクのサワヒヨドリ、白いセンニンソウ。等々。
 夏の山に足を入れるのが少ないのと、この最近は野草に興味が出てきたのと
相まっての発見だろうと思います。櫃ヶ嶽をしばし忘れて、花の図鑑との格闘でした。
見る花、見る花、名前が判らないものばかりで、キジうちスタイルでずーっと
花をながめては図鑑のページをめくる。私が持っている図鑑はどーも検索しにくい。

【やぶ】 ひととおりの花も愛でたので、それでは「歩きモード」に戻って先を急ごう。
川音を左手に聞き、右の林、いや、川向こうの植林の方からも「ミーン、ミーン、
ミン、ミン、ミー」の音がしてきた。さっきパラパラしていた雨もあがり、夏の日が
射してきた。農道も草に覆われて土の地が見えるところが無くなってきた。だんだん
道脇の草も勢いが増してきた。この辺は土地の人もあまり来ないんだろうなぁ。
そんなこんな考えながら進むとちょっと開けた所に出た。農道と山道の分岐のようだ。
開けたと言っても、下草でいっぱい。櫃ヶ嶽山頂の南東肩へ向かう山道はここを上回る
やぶである。そのやぶを通して、「水源かん養保安林」の立て札が見える。
 「うーん、こりゃ季節を間違えた、冬に来よう。」そう決断(?)して撤退にかかる。
来た道を引き返す。山に負けた私をなぐさめるように、うすもも色したナデシコが
可憐に立っていた。まだつぼみ状態のワレモコウ、アザミより優しい感じのただよう
タムラソウ。「山は山頂だけじゃないさ。」と登山口周辺で負け惜しみ。

【気が多いヤツ】 車に戻ると、またカワセミが飛んでいった。今回もトンボに
見まちがえて、気がつくのに時間がかかった。また来るかなと思って、川面を見ながら
おにぎりで昼食。来なかった。さてさて、まだ13時。どうするかな。次のために、
櫃ヶ嶽や雨石山(611m)の北側登山口でも見てくるか、そう思って車をスタート。
 国道173に出る手前で露岩をたくさん従えた雨石山の雄姿が見えた。国道に出て北に
向かうと間もなく、西紀町への分岐。そうだ、八ヶ尾山(678m)への登山口も
見ておきたいなぁ。なんとも気が多い人である。山間の道を行くがそれらしい所は
なかった。そうこうしていると、6月に登った多紀アルプス・三岳の肩、大たわに
登る分岐に来た。北の方から登ってみるか(車だけど)。雨が降ってきた。

【またまた、やぶ】 大たわ着。駐車場の先客はパジェロ1台だけ。展望見物のような
おじさんが「多紀連山」の案内板を見ている。車を降りて、三岳を見上げると
なぜか登りたくなった。ここからだと楽勝でピストンできるだろう。そうして、
靴を履き替え、リュックを背負ってさっさと登り口に取り付いた。やはり、ここは
歩きやすい道だなぁ、などと思って歩くとササがせまってきた。おっ、6月より
ちょっと茂ってるじゃないか。階段が出てきた。あぁ、これこれ、至れり尽くせりの
道だよなぁ。と、目を上げれば、ササの葉で階段が覆い尽くされている。急な登りで
目の前にササが来る。やっぱり夏なんだよね。いやだなぁ。息もはずんできた。
汗も出てきた。あぁ、この汗の出方は、この前の多紀アルプス縦走以来。日頃のアクを
出すのには丁度いいかぁ、それにしてもササだらけ。いやだなぁ。

【東展望岩】 登りが緩くなって、そろそろ石室かと思う手前で、左手に露岩があった。
前回の時には気がつかなかった。岩の上に立つと、東の小金ヶ岳方面が良く見える。
とりあえず、先を急ごう。石室着。着いた、着いた。草ぼうぼう。ここから山頂へは
行く気がしない。行っても展望ないしなぁ。露岩に腰掛けてジュースを飲みながら
北側の展望を楽しむが、どれがどの山か、相変わらずわかっていない。雲も低くたれ、
北風が涼しいというより、汗が冷えてきた。東方の櫃ヶ嶽が望めるかと楽しみにして
来たのだが、立木にさえぎられて見えない。一息入れてそそくさと引き返す。あぁあ、
あのササはおっくうだなぁ。さっきの東展望岩に着く。もう一度眺めてみよう。
よく見ると小金ヶ岳の左に八ヶ尾山・雨石山が確認できた。櫃ヶ嶽はあれかなと
思うが、確定できない。なかなか、しかし立派な山並みだ。リンゴジュースを開けて
飲んでいると、足元からササの触れる音がしてくる。パジェロのおじさんであった。
 「こんにちは」こちらから声をかける。「あぁ、」通り過ぎるかなと思えば、
「おたくが登るのを見て、ちょっと来てみたよ。」ここ三岳は初めてだという。
「福崎の近くの七種山に行ったことあるかい。?」いきなりなんだろうか、
「いやー、私はまだ、この辺ばかりうろうろしてます。」「いい滝が近くにあるよ。」
「昔はよう山も登ったが、最近は温泉やな。温泉にはいる口実に山に登ってるんや。
もう、56になって、足腰がしんどうなった。でも、ジョギングなんかようせんし、
せめて山歩きでもせんと、腹も出てきたしなぁ。」こんな会話を交わして、また下りに
かかる。
 ササで悩まされたけど、パジェロのおじさんとの会話は予期しない収穫だった。
帰りは火打岩(ひうちわん)の里を抜け、日置で弥十郎ヶ岳をスケッチ。
また、日が射してきた。


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1996.8.24. BY M.KANE