南風強し小金ヶ嶽 山行記 

 
   小金ヶ嶽 東尾根を
     尾根途中の岩峰より望む 
 
          1998.3.19. 
 
 
 

■目的地:小金ヶ嶽(725m)東尾根 <山域:丹波 兵庫県篠山町・西紀町>
■2.5万図:村雲
■日にち:1998年3月19日(木)
■天気:曇り
■同行者:俊一
■コースタイム:自宅発(8:30)=火打岩・小金口着(9:40)
  
  小金口[257m地点]発(9:55)〜舗装道から山道へ(10:00)〜福泉寺跡(10:50)〜
  畑山と小金ヶ嶽との鞍部の峠(11:00)〜小金ヶ嶽山頂(11:20-12:10)〜
  694mと634mの間のコル(12:50-13:00)〜川阪・火打岩間の峠(13:20)〜
  [341m地点](13:50)〜林道終点(14:05)〜鍔市自然公園〜鍔市ダム(14:35)〜
  小金口着(14:55)

【小金ヶ嶽】 篠山盆地の北に連なる多紀アルプスの山。岩稜がうねる。展望最高。
篠山町が去年10月30日に小金正面コースを刈り分けて看板を設置、11月9日には新設の
小金コースとして毎年恒例の多紀連山アルペンルート登山大会が執り行われた。
この話を篠山町から頂いたメールで知り、正面コースはずっと気になっていました。
 卒業式のため休みの俊一と一緒に登る。朝早く出発する予定が、カシミールでの
展望図を印刷したりしていて遅くなってしまった。

【小金口】 紅白の梅の花とウグイスの声を聞いて出発。バス停「小金口」には、
「小金ヶ岳と福泉寺」の説明板と道標がある。かわいい橋を渡って左にカーブする
舗装道を歩く。5分程行くと左の杉植林地の方へ山道が分かれており、「小金ヶ嶽」
道標が2つもついている。少しずつ登りになり、谷の植林地に入っていく。
これが小金正面コース。

【鹿と野鳥】 暫く植林の中を登ると、左上でごそごそと音がした。ギーギー?と変な
声の鳥が飛び立つ。気にせず進むと同じ所から獣が2匹走り去る。白い尻が見えたの
でおそらく鹿だろう。俊一は初めての体験、連れてきて良かった。
 山道に入って10分程で、沢の左岸から右へ渡るように道標がついている。これは
とても助かる。迷うとたぶんヤブ尾根に巻き込まれるのであろう。
 時折倒木がある植林地を沢伝いに、単調な登りが続く。小金口から約40分、植林終
わり。一旦、平坦なヤブっぽい低木自然林の中を行く。踏跡は明瞭。2.5万図で火打岩
から畑山の方に延びる波線道の終点より少し上、490m辺りと思われる。

【福泉寺跡】 ヤブっぽさがなくなり、落ち葉道をくねくねとあえぎながら登る。
要所要所に的確な道標があるので迷うことなく進める。登りが緩くなって開けた所に
出た。7合目に48の礎石が残るという福泉寺跡。葉が落ちて明るい。
 小金口と同じ説明板に、1482年に大峰山僧兵によって焼かれたということが記され
ている。500年以上前の話なのだ。
 余談だが、この辺りの山道を見ているといくつかの分かれ道があり、どうも畑山の
西にある592mピークから南に派生する尾根にも踏み跡があるような気配を感じる。
 
   畑山から小金ヶ嶽への道
      
     1998.3.19.
【三嶽現る】  道標に従い、畑山のピークを西に巻く歩きやすい道。上空は風が 強い。時折薄日が射すが、雲は前より厚くなったようだ。西から北の小金ヶ嶽へ曲が った尾根をトラバースするように道がついている。左(西)に木々の間から大きなのっ ぺりした三嶽が姿を現す。多紀アルプスの主峰らしい貫禄だ。さらに行くと前方上に 小金ヶ嶽の影が出てくる。切り開いたばかりの畑山のピークへ向かう道を左(北)に とって少し下りると峠に着く。左(西)、大タワ。右(東)は鍔市ダムの谷に繋がる。 道標は広い道の右、林の中を登る方に「小金ヶ岳」と指している。登りがきつくなっ て林の開けた辺りから、崖を前景にまたも三嶽が大きい。 【岩登り】 いよいよ出てきた岩場は今日のハイライトのひとつ。俊一が先に行き 過ぎるのを制しながらいく。張り出した岩は直登しそうだが、左に巻くルートを取る。 安全第一。南風が岩に向かって吹き付けるが、飛ばされるほどではない。 【風強し、展望良し】 岩を登り終えると、低い木の間を少し抜けて山頂。 一足違いで、大タワからのおじさんとおばさんの3人パーティが先客。おばさんから 俊一に飴とリンゴを頂く。ありがとうございました。思い思いに昼食。飛行機雲の下を 積雲が流れる。カップ麺ができる間、展望を楽しむ。冬枯れの三嶽、北摂山群、東多紀 アルプス。残念ながら北方は曇り空で、期待のカシミール展望図は役に立たない。 それでも、晴れていれば笠形山・氷ノ山・大江山・頭巾山・武奈ヶ岳と見えそうだなぁ、 と方角は確認できた。
 
   山頂から三岳を望む
      
     1998.3.19.
【縦走路】 東にうねうねとした山並みに向かって下る。アップダウンやくねくね道、 倒木多くなかなか癖のある山道が続く。ガイドブックにはヤブもあると記してあった が季節も幸いしてか、はっきりとした一本道なので間違うことはない。落ち葉道や ササの下りと変化あり。あちこちに出てくる小さな岩峰も、修験道の修行や多紀アル プス縦走の厳しさを感じる。 【展望尾根】 2つほどコブを乗り越えると岩稜が続き、風が吹き抜ける。影になる 岩で小休止。俊一にジュース。南に鍔市ダム湖も見える。尾根の形と地図を見比べる。  この辺りになってくるとさすがの俊一も疲れが出てきて、「白山よりしんどい。」 といいだす始末。これが最後の登りだからと声をかけながら急な634mピークへ登る。 やがて左(北)に植林が出てきて高度を下げ、階段を下りると峠。しっかりした道標に 元気づけられる。  縦走路はさらにササの生えた階段道へ上っているが、今日はここで右(南)に下る。
 
   川阪へ越える峠の道標
      
     1998.3.19.
【竹藪の谷道】 ヤブを開いたような道に風が吹き上げてくる。細い竹の林に切り開 きが続く。誰が開いてくれたか知らないが助かった。これがなかったら相当苦労する 行程となったことだろう。夏場は絶対に来るところじゃないなと心に誓う。(^^;  荒涼として背を越える竹ヤブの切り開きを沢に沿って延々と下る。途中、石垣の 崩れた跡のような所もあり、昔は峠越えの往来があったように想像する。 【清流】 あたりが開けてきて、右手(西)の植林に道が延びている。沢も合流。 2.5万図の341m地点である。水の上にネコヤナギが銀色に輝いている。ここから先は、 歩きやすい山道。左手の沢も清く正しく美しい。5cm程の魚影を見つけて俊一、元気。 緑の葉と真っ赤な花弁、黄色い花粉。ヤブツバキも絵になる。紅葉の頃も良かろうなぁ と思いながら、快い水音を聞き取る。頭上は飛行機のような轟音を立てて風が通り、 枯れた杉の葉を落としていった。 【ヤナギ吹く】 林道終点までに朽ちた木の橋を3つ渡り、静まり返った鍔市自然 公園に着く。山水が流れ込む透き通った池の上に桟橋状の遊歩道がある。水辺には たくさんのネコヤナギが咲き誇っていた。  湖畔には、はち切れんばかりの蕾をいっぱい付けた桜も準備万端。  ダムから見あげるギザギザの尾根に満足して、火打岩の里へ下りる。
 
   鍔市自然公園
      
     1998.3.19.
【参考文献】 「近畿の山 BEST30」西村弘美 氏著  七賢出版

  小金ヶ嶽について   

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1998.3.24. BY M.KANE