初夏の鉢伏山から氷ノ山 山行記


 鉢伏山からの氷ノ山
          1997.6.29. 
 
 
 
 
 
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      (205KB/6葉)
■目的地:鉢伏山(1221.1m)・氷ノ山(1510.0m)
■日にち:1997年6月29日(日)
■天気:曇り後晴れ
■同行者:単独
■コースタイム:
  自宅発(6:45)〜宝塚IC〜春日IC(7:50)\1800〜鉢伏高原 駐車場(9:30)着

  駐車場発[約870m](9:40)〜千石平(10:00)〜鉢伏山山頂(10:30)〜
  小鉢の肩(10:35-10:50)〜鉢伏山〜千石平(11:15)〜1019m鞍部(11:50-12:15)〜
  大平頭小屋(12:40)〜布滝頭〜氷ノ山越(14:00)〜コシキ岩〜
  氷ノ山山頂(14:50-15:30)〜神戸大ヒュッテ(15:45)〜東尾根小屋(16:30)〜
  キャンプ場(16:50)〜奈良尾[約540m](17:35)==バス\160==鉢伏(大久保)(17:45)〜
  鉢伏高原 駐車場(18:25)着


【台風一過】 8号は我が故郷から瀬戸内海に沿い日本列島を縦断。
長老ヶ岳の麓、和知町では列車脱線事故でJRは不通。R9は混んでいるかなぁ。
子供を連れて行くつもりだったが、一寸疲れているということで一人で行く。
 宝塚から青空の下に六甲が大きい。

【春日IC】 高速道を下りて先日登った三尾山の写真を撮る。鉛色の雲がまだ広がる。
粟鹿山の下を通る遠坂トンネルを抜けると但馬の国である。
パラリと来る。「弁当忘れても傘を...」というのは夏もそうなのかなぁ。

【鉢伏高原】 いよいよ近づいてきた。氷ノ山山頂は雲に隠れているようだ。
蒜山や曽爾に似た雰囲気の高原に到着。花壇の手入れをしているおじさんに聞く。
「鉢伏に行くんですが、どこか悪い所はありますかぁ?」
「大丈夫、さっき、2人登りはったよ。すべらんように気ぃつけて。」
鉢伏山山頂はなんとか見える。アカツメクサとシロツメクサ。砂利道を登る。
カッコーの声と子供達の「ヤッホー」の嬌声。俊一を連れて来たかったなぁ。
風が流れ、草がうねる。やはり1000mの風はちょっと肌寒い。

【稜線歩き】 先発の2人は私より一寸年輩の夫婦でした。追い越して、砂利道の
後は、ずっと黒い粘土の道。表面がのっぺりしていかにも「滑りなさい」という道だ。
薄紫のオオバギボウシが咲く。鮮やかな紫はウツボグサかなぁ。アザミも咲く。
緑のうねる高原は晴れ晴れとしてなかなか気持ちがいい。
 山頂手前でホオジロが声高にお出迎え。元気に登る。あっけなく鉢伏山頂につく。
ゴンドラや柵など人の手が山頂まで届いていて、比良の蓬莱山と同じ。

【小鉢の肩】 山頂より南の小鉢の方が眺めが良さそう。ありゃ、「危険、登るな」
関宮町の札。初めてなので無茶せんとこう。南側の肩に腰を下ろす。小休止。
眼前に氷ノ山が大きく立ちはだかる。行きたいなぁ。それともここでゆっくりするか。
うーん、揺れる想い。緑がわんさかとしていかにもヤブのようだしなぁ。
とりあえず1019m鞍部に行って決めよう。来た道を引き返す。
見上げると青空が広がり、小鉢の岩峰の脇に朱色のヤマツツジが映える。
 ちなみに、この山は時計回りに歩くのが原則です。ただし、団体のみ。

 高丸山はのっぺりしたピークだ。遠足で踏まれたのか、草がだいぶなくなっている。
今日のコース全てが見渡せそうな高みである。
 かやの草原が広がる。小代越へは木の階段に砂利が敷き詰めてある。
至れり尽くせり。道脇にウツボグサが咲く。

【1019m鞍部】 森の方から、カエルの合唱かひぐらしかうるさい。「入るな。」と言って
いるようだ。鞍部の少し上に腰を落ちつけて、昼飯にする。
 大平頭への取り付きは土の道が登って、森の中に消える。
まぁ、覗いてみて行けそうなら行ってみるか。急登から振り返ると鉢伏山。

【大平頭小屋へ】 森に入ると、日陰の涼しい広い道。台風の後らしくちぎれた葉や
枝がちらかっている。木の根がにょきにょきとした登り道。木の名を記した札が
下がっている。これで結構、気を持ち直し、吸い込まれるように歩いていく。
 やがて平坦になり、両側ササで囲まれた道。クマが出てきそう。長いものも。
時々咳払いをし、「ヘビさんあっち行ってね棒」で地面を叩きながら進む。
日が当たると暑い。ひぐらしと鳥の声で押しつぶされそうな気持ちを奮い立たせて
前に進む。人工物が見えた。大平頭避難小屋。地面から湯気が立っている。
強い日射し。ここまで来たらもどれない、氷ノ山越まで頑張っていこう。

【ブナの林】 日陰の道は涼しい。森はありがたいものだ。
苔むした木肌のブナが多い。森の勢いにびくついてか、ゆっくり楽しめない。
でも、久しぶりに見るブナの木肌は何か包容力を感じるなぁ。

【ぶん回しコース】 13:20 道脇の枯れた大きな木に標札が掛かっている。
「ぶん回しコース 47」とある。あぁ、そういえばそんな名を聞いたことが
あったなぁ。日の当たる道でも両側が背丈を超えるササで展望はないが、
ここは、すこしだけ鉢伏山が見える。
それよりも足元が気になる。すでにヘビさん2匹と遭遇。冷や汗と暑い汗とでだくだく。

 布滝頭はどこだったか確認しなかった。取りあえず先へ進む。谷の方から轟々と
沢音がし、カエルは鳴くは、ひぐらしは鳴くはオマケに、ハエは飛んでくるはで
生き物のシャワー状態。花はあまりなく、ニガナの様な黄色の花とアザミくらい。
大自然の中に一人居る、という感じだ。(^^;;

【赤倉山】 何度かアップダウンをして鳥取県側の山並みがのぞく。赤倉山の手前に
南東を向いた岩峰があった。登って下を覗くと、緑の谷が落ち込む。岩峰の先に
ツガザクラのようなかわいい花を見つけたが、ここで落ちたらヤバイので遠目に
眺めるに留める。
 赤倉山への登りは急で、脇に並行して少し巻いたルートもある。真っ直ぐ登る。
縦走路は、ピークの東側を巻く。背の高いササの道になる。氷ノ山越が見えてきた。
元気が出てくる。氷ノ山もだいぶ大きく見えるようになった。

【氷ノ山越】 ここまで来れば、人も多いだろう。と思いきや誰もいない。
14時なのでもう下りたかなぁ。ベンチで一休みして、お地蔵さんに安全を祈願する。
 ここからの道もブナが多い。キツツキの音がする。若い男3人組とすれ違う。
この時間になると、ひぐらしがもの悲しく鳴く。

【コシキ岩】 仙谷道との出合いを少し行くとコシキ岩。この岩を左に巻いて
木の階段に砂利。こんな高いところでこんな道とはちと興ざめ。でも、長いものの
心配は要らないので快適。コシキ岩の方にも道があるが、ヤブヤブしているので敬遠する。
眺めのいい露天の広い道を登ると憧れの山頂に着く。長かった。

【氷ノ山山頂】 先客1名。下からは良い目印の避難小屋も、ここでは展望を遮る。
方位盤があり、360度の展望を楽しむ。すっかり晴れ渡り、秋空のようだ。
北西に大きな扇ノ山、西になんと大山がうっすら見える。那岐山や後山も見えるだろうが
どれかよくわからない。北東は蘇武岳、妙見山、ずっと南にいって粟鹿山。よーく目を
凝らせば大江山や多紀アルプスと思える影がある。素晴らしい。
 先客は私と同じ年輩で、岡山からふらっと来ました、という。東京から引っ越して
2ヶ月なので今からこの辺の山を歩きたいそうです。たじまもりさんみたいです。
この方は、瀬戸内海が見えないかなぁと仰っていましたがどうなんでしょうね。
昼から登ってテント泊もいいなぁ、と次のプランを練っていました。

【東尾根】 「そいじゃ、お先に。」彼は東尾根へ下りました。私もそろそろ。
しかし、この展望は去りがたい。南の二の丸方面の尾根はササが広がり、秋は
良さそう。写真を撮って、私も東尾根へ。木板の道を駆け下りる。
古生沼はササでヤブヤブしてましたので、パス。(^^;
調子に乗りすぎて、古千本の杉を観賞するのを忘れていました。
 神戸大ヒュッテを過ぎると谷に入る。沢を何回か渡る。ヤマアジサイが涼しい。
やがて林の中のいい尾根道が続く。ツツジの群生地までかなり長く感じた。
既に花はない。少し行くと、ウツギとタムシバの中間みたいな白い花の木が、1本、
昼下がりの日を浴びて天に伸びている。

【東尾根小屋】 やっと東尾根小屋に着いた。ここで左の長い木の階段を下りていく。
日が当たるとまだ暑い。刈り取ったばかりの夏草の匂いが鼻を突く。林道に到着。
砂利の林道を左に少し行くとキャンプ場。見上げれば、青空と山の緑が襲いかかる。
ここから見ると屏風のように山が立つ。秋の屏風の色はどんなんかなぁ。
スキー場小屋の自販機でジュースを飲み一休み。
 奈良尾までのダラダラとした道を下りる。最初は農道かなと思っていたが、これも
登山道のようだ。ここも草が払ってあり管理は良さそう。
棚田の畦にはヒメジョオンとオドリコソウが咲く。

【奈良尾】 轟々と響く沢に架かる橋を渡って奈良尾の集落に着く。
丁度、バスが5分後なので待つ。ここから高原の駐車場まで登り返さないといけない。
憂鬱だが自分で決めたことなのでしかたがないな。そうなんです。今日は氷ノ山まで
登る気は半分もなかったのです。鉢伏山からの眺めがいかんかったなぁ。あれに惑わされて
しまった。(^^;;
 バスは大久保の鉢伏迄。ここから舗装された林道を鉢伏高原駐車場へ約40分の歩き。
辿り着いたらへとへとになっていました。
 誰もいない高原のベンチで大きな鉢伏山を眺め、充実した山旅を振り返る。
ここで一気にビールといきたいところをガマンして、ジュースを飲む。
自宅に電話して帰路につく。風呂にはいると日焼けのあとが痛い。もう、夏だ。

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1997.7.27. BY M.KANE