雪の多紀アルプス・八ヶ尾山      

八ヶ尾山  
 山頂北の約595mピークから見る八ヶ尾山   
■目的地:八ヶ尾山(677.6m)<山域:丹波・兵庫県篠山町>
■2.5万図:村雲
■日にち:1999年2月6日(土) 
■天気:曇り時々晴れ 少し寒い
■同行者:単独
■コースタイム: 

  小原266m標点 発(11:45)〜堰堤(11:50)〜イヤ谷源頭下のササ(12:30)〜
  岩壁敗退(12:45)〜山頂北の鞍部(12:55)〜山頂(13:05-13:55)〜
  山頂北の約595mピーク(14:00-14:15)〜イヤ谷源頭下のササ(14:25)〜
  小原 着(14:55)

【八ヶ尾山】 2日前に雪が降ったことを忘れて、前々から狙っていた篠山の八ヶ尾
山を目指す。遅い出発。大野山の近くに来ると周りは雪が残って白いとグレイの景色。
篠山盆地は一転して晴天。こんなこともあるんですねぇ。
 八ヶ尾山は三嶽修験道が最初に入峰した山だそうだ。西南麓に笹見四十八滝がある。
慶佐次盛一氏著「兵庫丹波の山」の通り、東のイヤ谷を詰めて山頂に至り、西の稜線
から四十八滝を経て戻ろうという計画でしたが...。

【小原の里】 R173から逸れて細い道を八ヶ尾山へ向かう。道脇は真っ白の雪。
車の往来がほとんどない静かな里である。谷沿いに道が延び266m標点辺りの分岐に
防火用水がある。その側のわずかに広い路側に車を停めさせていただく。
 コンパスで方角を確認して北側の道へ歩く。数件の軒先を縫って植林の中へ延びる
林道のようだ。足下は足跡一つない雪で覆われて明るい。ここで積雪は3cm程度。
雪の径  
雪の径  
【雪の沢道】 さらさらと音を立てる沢を橋2つ渡って左手に堰堤。見上げる山は、
岩肌に雪が降り積もり厳しさを見せつけるよう。この辺りから山道のようになり、
低い枝の雪が掛かって冷たい。やがて雑木林となり、引き込まれるような静けさへと
近づいていく。ちろちろ沢音にどさっと枝の雪が落ちる。
 積雪が5cm程になってきたのでスパッツを着ける。陽が射してきて雪が光る。緩やか
な沢沿いの登りもだんだん角度が上向きになってきた。ヤッケの下のセーターを脱ぐ。

【直登敗退】 前方に雪をかぶった膝くらいの笹が出てきた。もう沢も源頭に近く
音はない。今まで木の間の道らしき所を歩いてきたが、ここからは判別着かないので
左手(南)へ山頂の直登を試みる。最初は急登でも幹に掴まり順調に登るが、だんだん
低木が行く手を塞ぎはじめる。頭上から落ちる雪が背中に入らないよう首周りを括る。
 のたうちつつ登るも前面が立ち上がる岩壁となる。無理もここまでと観念し、右手
(西)の方へトラバースして道を伺うことにする。軍手と防水なしの靴でとてもお粗末
な装備である。登りなので体が温まりそれほど寒くない。風はなし。積雪20cm程。

【白い登り】 10分ほど歩くと山頂から北になる鞍部に辿り着いた。この辺りは
真っ白のふわふわ雪で覆われている。稜線上に時々赤いプラ杭があるので、これを
頼りに高度を上げる。アイゼンも持ってきていないので時々雪に足を滑らしつつ登る。
 雪を被った枝でトンネルのようになった道を詰めて、笹に覆われた踏み跡不明瞭の
場所を通り過ぎると眼前にパノラマが待ち受けていた。風の為かさっきまでとうって
変わって雪の少ない山頂。立ち枯れの木に山名板2つ。

【北摂の展開】 南に広がる展望が実に素晴らしい。腹が減っているがラーメンの
準備も忘れて見惚れてしまうくらいである。そうそうたる顔ぶれだ。左から雨石山、
櫃ヶ岳、愛宕山、ポンポン山、半国山、深山、高岳、大野山、弥十郎、六甲と並ぶ。
それも薄い雪化粧で。更にその右には冬枯れの立木があるものの白髪岳、西岳、三嶽、
小金ヶ岳、峠山。もうたまりませんなぁ...。(^^)v
 北の方も霧氷混じりの立木越しに鹿倉山や長老ヶ岳、その他丹波の山多数展開して
実に良い。できあがったワンタン麺の暖かさに人心地つきながらも、立ち食い状態で
景色を楽しむのです。そして、わずかばかりの霧氷の撮影をするもイマイチでした。
鹿倉山  
霧氷の中に鹿倉山  
【岩峰】 ずっとここに居たいと思いながらも、もともと遅い出発だったのでそこそ
こで引き上げることにする。計画の西の稜線ルートはこの雪でどんなものか見当つか
ず、あっさりと諦める。来た道を引き返すことにする。雪に自分の足跡が残っている
ので心強い。急降下で雪に足を取られる。滑落するような場所はないので安心。(^^;
 鞍部に下りてきたら前方のわずかなピークが気になりちょっと寄り道。10mほどの
登りでピークとなり、振り返ると大きく山頂が裾を広げている。その姿を見上げて
なんと急な登りだったことかと改めて気づくのです。緩いピークから西に小さな岩峰
があり、ここから北の眺めがいい。三嶽方面も立木が邪魔するも大きく見える。

【赤布】 さてと、正規の下り道は何処かなと探すが鞍部の源頭部そのもののようで
ある。前方下に鮮やかな赤布が目に入った。その先にもぶら下がっている。なるほど
そう言われればそんな感じの道のようである。笹が出てくるも何のその、沢の上と思
われる雪の上をキュッ、キュッと気持ちいい音とともに下りる。やがて、登りの時に
道を分けた地点に着く。改めて確かめて見ても直進とは気づきにくい。雪で覆われて
いるのも間違った原因のひとつだろう。
雪の葉  
雪をのせた木々  
【沢音】 しーんと静まり返った雪の山に沢音が戻ってきた。頭上では鳥の声もする。
短時間の山行であったが、足取りも適度に疲れて軽やか。今頃になってまた陽射しと
青空が広がってきた。山頂の霧氷は輝いていることだろうなぁ。

【おばあさん】 小原の里に出るとおばあさんがひとり。「こんな雪に山に行って来
なさったかぁ。」「この前もそっちの道から登ってはったな。」「大阪辺りからよぉ
来なさるよ。」「正月の初日を見に子供達も登るが、私は一度もないねぇ。」
 話を聞いたおかげで、地に着いた山行になったのでした。


  八ヶ尾山について   

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1999.2.12. BY M.KANE