半国山北尾根で猪にあう     

約625m山から  
約655m山から半国山本峰 
■目的地:半国山(774.2m)の北尾根 <山域:丹波・京都府園部町>
■2.5万図:埴生
■日にち:2000年3月12日(日)
■天気:曇り時々晴れや雪後晴れ
■同行者:単独
■コースタイム:
  八田 発(10:40)〜北尾根〜赤熊分岐(14:10)〜八田川〜八田 着(16:00)
  【以下詳細】
  園部町八田 発(10:40)〜林道入口(10:45)〜巡視道入口(10:50)〜
  No.112鉄塔(11:05)〜No.113鉄塔369m山(11:20)〜No.114鉄塔[約415m](11:40)〜
  557m山北の崩壊地[約535m](12:20)〜600m等高線と高圧線の交差地(12:45-13:15)〜
  No.117鉄塔(13:20)〜大岩[約625m](13:30)〜約655m山(13:40-13:45)〜
  市町界の峠[約605m](13:55)〜約665m山(14:00-14:05)〜赤熊分岐(14:10)〜
  約665m山(14:15)〜市町界の峠(14:25)〜沢の間のチビ尾根(14:35)〜樹林谷を彷徨〜
  林道終点(15:15)〜府道(15:45)〜八田 着(16:00)

【半国山北尾根】 昨日の昼過ぎから降り出した雨も朝になるとあがる。自宅から
見る妙見山は白くなっている。薄黒い雲が残るが予報は回復。篠山は雪だろうから
避けて亀岡の半国山へ。先月、八田川沿いの林道から見上げた北尾根にする。
地図を見ると半国山山頂付近から北西に曲がる高圧線がある。北尾根とはここを
指して言うことにする。
 三草山は雪がなく、歌垣山で疎らに残る。亀岡に入ってから見上げる鯨の様な
半国山は背が白い。さらには、昼前なのにまだ雪雲がたなびいている。

【尾根の取り付き】 R372を左折し、交差点を過ぎたかなり広い路側に停めて、車を
出る。369m山が尖って聳える。八田の里はのどかで良い。春を告げる小鳥のさえずり、
沢の音、そして犬の声にカラスの鳴き声。(^^;;
 支度をして、府道から埴生大池の北を沿う林道に入る。橋を渡るとゆるい上り調子
となる。道脇に「火の用心」No.112〜113〜114の標識。尾根はヤブかもしれないので
ショートカットして林道終点から谷を詰め、尾根につこうと思っていた。しかし、北
尾根は369m山が北端、ここから入れば取り付けるのは確実。そう思うと足は自然に巡
視道へ入っていく。
西尾根
369m山から西尾根
 
【369m山】 よく手入れされた植林谷の直登途中で標識No.112が左を指す。
谷を二つ巻いて黒色プラスチックの階段。雑木林を登る。頭上が開けてNo.112鉄塔。
ここからは、るり渓へ繋がる府道と西尾根、埴生大池が見える。セーターを脱ぐ。
雑木林の急登がゆるい尾根となり、また急となる。369m山北の支尾根に辿り着く。
 369m山ピークの先にはNo.113鉄塔が聳え、南に開けている。眺めが良くなってきた。
鉄塔の足元切り開きに惑わされることなく、南東の標識No.114に従う。
二つほどコブを越え、右手に有刺鉄線、左にビニル紐の松混じりの林。ヤブかと覚悟
していたが、拍子抜けするほど歩きやすい。二つ目のコブは広くてのっぺりしており
なかなかいい感じの雑木林。

【No.114鉄塔】 地図で高圧線に角度がついている約415m地点がNo.114鉄塔である。
ここへの上りの途中に開きがあり、前に557m山、後ろに369m山が望める。
シャーベット状の雪が増えてきた。猪の掘り返しも多い。土の臭いがする。
掘り返しの上に雪がのっているので、かなり前の仕業とたかを括る。
 No.114鉄塔は足元の切り開きから北東方面が少し望める。曇り。

【シシ出現】 さて、先に行こうと巡視道を歩こうとしたら、「ブヒッ、ブー」と
突然ヤブから音が出た。ガサガサと2、3頭が尾根の斜面を走る音。姿は見えず。
おぉっ、とうとう出たか!
ひるんだ私は、No.114鉄塔下まで戻り(^^; 棒きれを探し、今更ながらカウベルを
つける。カランカランと大げさに鳴らしながら歩いていくと、さらにガサガサと音が
遠のく。

【557m山へ 1】 シシに驚くも、いい感じの道はさらに続く。
「火の用心」標識が3つと10cm角の石柱がある所で、西に下りる道がある。ひょっと
すれば、この道が予定していた林道終点から上ってきた道かもしれない。
 557m山への登りにかかる所にもまた左手(東)へ道がついている。埴生の里から
谷を登ってくる道だろうか。うーん、まだまだ楽しめそうな山だ。
 557m山へは、高圧線からしばらく離れるが道は明瞭、やがて5分程で巡視道に合流。
「火の用心」標識にNo.114、115が左下を、No.116が前方目的方向を指す。
篠山方面
557m山北から篠山方面
 
【557m山へ 2】 557m山直前の尾根上[約500m]で陽が射し、道の雪が輝く。
木から落ちる雪解け水が頻繁になってきたので、ザックカバーをつける。
地図で、557m山北に土の崩壊地が細く記してある[約535m]地点は、露地から深山、
金山が見えてくる展望地。前景の松林もいい。
 ピークを左に巻いて、もう一度左に巻くと下り道となる。北東の空は鉛色の雪雲が
出てきた。下り途中に「火の用心」標識No.116が東、No.117が目的方向、No.115が
来た方を指す。鞍部は峠。左右にヤブと化した踏み跡があり、松の倒木が目立つ。

【No.117鉄塔】 峠から約625mピークへは松林の中でポタポタと雪解け水がうるさい。
ピークの左手が明るい。600m等高線と高圧線の交差地で、松と岩のある庭園にて休憩。
いつの間にか青空になっている。陽射しに雪水の滴る音。ヤッケを脱いで汗を出し、
ゼリー補給。頭上は高圧線が横切る。
 晴れ間があるうちにと昼食にする。しかし鉛の雲がやってきた。ラーメンを食べて
いるとまた晴れる。春に向かう北摂では良くある天気だ。
 さてそろそろ行くか、せっかくなのでNo.117鉄塔まで行ってみよう。背を越える
若い松混じりの巡視道から北が開けた。良い眺めだ、深山が大きく横たう。北東に
白い長老ヶ岳、京丹波の山は前衛の先がまだ白い山並みである。しばし眺めにふける。
[約625m]
大岩のピーク[約625m] 
【白い谷】 庭園に戻って滴の中へ入る。濡れた雪で滑りやすい道をゆっくり下りて
登り返えそうとすると、明るい陽射し。白い床、冬枯れの林、白い谷と目を見張る。
左手に大岩のピークがせり上がる。何だぁ、こんなに良い所があったんだぁ。
光の加減で雪が光り、実に開放的な景色となる。あぁ、しあわせ。

【約655m山】 岩のピークの右を登ると右手の尾根を見送り、白い道が左に曲がる。
やがて低い常緑樹の先がぽかりと開く。ヘリポートかと思われる。一面の雪が白く、
陽射しに輝く。またまた素晴らしい。
 ここからまたまた深山が良い、それよりも横尾山がかっこいい形となって見える。
半国山本峰も左端に。あぁ、幸せ。なんて良い尾根なんでしょう。写真を取る。
去り難し。暖かい日はここで弁当がベストである。半国山本峰よりもずっといい。
この静けさも捨てがたい。
横尾山
約655m山から横尾山
 
【市町界の峠へ】 北から鉛の雲がまたやってきた。尾根を直進が近いが、巡視道を
左に下る。下手すると音羽渓谷まで下りてしまわないか気になりつつ、雪で滑りやす
い。まもなく東へ巻く道となり左に愛宕山が横たわる。木が開けて目指す約665m山が
半国山本峰の手前に顔を出してきた。霰のような降りの中、「火の用心」標識のある
T字路に出、右へヒノキ林の下端を巻く。下は雑木林で、幅1mの道。
 2.5万図で八田川に沿った破線道が繋がる市町界の峠につく。
「火の用心」標識No.118、No.119があり、尾根と谷に踏み跡のある十字路となってい
る。先程の展望ピークへも踏み跡が上っていた。

【約665m山】 雪で覆われた道はここから登っていくに従い怪しくなってくる。
むしろ今までが明確すぎて拍子抜けしていた。滑る雪に難渋しながらピークへ来ると
林の中。方角を確認せずに右の踏み跡らしきを伝って歩くと何か変。地図を出して
みれば北西の尾根を歩いていた。ピークに戻り、コンパスで向きを定めて山頂方向へ
下っていく。MTBと思われるタイヤ跡が微かに残るが踏み跡はうすい。
常緑樹の混じる雑木林が植林になる。おなじみの赤熊分岐が見えてきた。

【赤熊分岐】 既に西日の指す赤熊分岐。山頂へ雪を汚してたくさんの足跡がある
今まで独り占めしてきた道とは段違い。既に疲れた足も相まって本峰へ登る気は
しない。杉ヶ沢コースは白い雪が残り、今日は誰も歩いていないようだ。炭焼きの
谷へも行きたいが、今日は2.5万図での八田川に沿った破線道を辿りたいので
グッと堪えて今下りてきた約665m山へ登り返す。市町界の峠への下りは雪で滑りやすい。

【市町界の峠】 ポタポタ、グジュグジュ。陽が射し雪がずいぶん融けてきた。
市町界の峠から八田川に沿った破線道は、既に廃道の様相。道が谷を巻いて緩やかに
下りていく。沢を渡って左へ巻き、また沢を渡る。この手間へに気になるうすい踏み
跡あり。さらにくねくねと巻いて行くと沢から高くなり、かなり離れてきた。
 いくら何でもこれはないだろうと、道は明瞭ながら予定のコースと違うと気づき
引き返す。約10分のロス。先程気になった沢の間のチビ尾根を下る。疎らな立木の中。

【樹海】 踏み跡はあるようでない。とりあえず、沢に沿って下りる。
沢の合流点に黄色のテープがあったりする。苔むした岩に湿った雪。
常緑低樹と冬枯れの高木。やがて雪がなくなるが、道らしきものは判りにくく、
単に歩き易そうな所を選んで下りていく。道が沢になってしまったのではなかろうか
樹林の中をさまよい歩く。概ね沢の右岸を歩くが幾度も渡り返し、左岸に廃道の
様な所があったのでそちらに切り替えるがこれも怪しくなる。右岸にネットと
荒れ果てた道が出る。沢は幅2m程になり、小滝、なめ滝が雪解け水を豊富に落とす。
林道終点
北側から林道終点 
【林道】 やっとこさ林道終点についた。小広い、駐車3台程可。ジュースを飲む。
先月歩いた谷のルートへの分岐がすぐだった。春の陽射しが暖かい。沢音激しい中を
のんびりと余韻に浸りながら歩く。
 日陰の舗装道を抜け出た八田の里は暖かい西日が射す。

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2000.3.26. BY M.KANE