天気良し 南ア・三伏峠から烏帽子岳    

 
 烏帽子岳山頂から塩見岳 
■目的地:烏帽子岳(2726m)
■日にち:2009年8月17日(月)
■天気:晴れ
■同行者:俊一
■アクセス:
  自宅 発(8/16 15:00)=(名神・中央 道)=飯田IC(21:00)「湯〜眠」で入浴 (22:00) R153 =小渋湖岸=樺沢小屋横(23:30)
  樺沢小屋横(8/17 5:40)=塩川手前臨時バス停横の駐車場(5:50)
■コースタイム:
  塩川手前臨時バス停 [1140m] 発(6:05)〜塩川小屋(6:40-6:50)〜尾根とりつき(8:00)〜「5/10」札(8:35)〜
  「水場1分」札(8:45)〜「8/10」札(9:55)〜鳥倉分岐(10:20)〜三伏峠小屋(10:50-11:00)〜塩見岳分岐(11:03)〜
  烏帽子岳(12:10-13:00)〜三伏峠小屋(13:50)〜鳥倉分岐(14:13)〜尾根とりつき(16:00)〜塩川小屋(16:55)〜
  塩川手前臨時バス停 着(17:20)

 この夏は福島コースで木曽駒を予定。長丁場に体力が持ちそうにないので、意外に近いと知る南アルプスの三伏峠が浮上。
しかし、梅雨が長引いた上に静岡で地震。南アは避けようかと北アの鏡平を検討。その後、九州に帰省した後の休みも残り
わずか、結局は南アに向かう。一年近く前にNHKテレビでやっていた塩見岳を眺めてみたいのである。
 高速の渋滞が気になる。準備のテンションがあがらず愚図愚図しているともう昼下がり。
出発のときは吹田と彦根周辺だった渋滞は何とかスルー。その後一宮先頭に20kmを越す停滞に辟易。
予定した温泉はとうにしまる時刻。俊一がケイタイで検索した飯田の「湯〜眠」で入浴。ここは深夜も開いている。

 コンビニで明日の昼食用に、日持ちのするおにぎりを選って買い込む。あとはR153を北上して松川で天竜川を渡り、
闇の小渋湖岸を抜けて塩川を遡る。闇の中の林道を過ぎると山小屋風の建物は樺沢小屋。さらに橋を渡って進めば、
「駐車場」の看板がヘッドライトに浮かぶ。その先はゲート。深夜の登山口は一台もなし。盆休みも過ぎたので当然か。
 ちょっと心細いので、樺沢小屋まで戻り、道を隔てた脇にある広場に駐めて車中泊。谷の上に広がる夜空に星屑燦々。
未明はさすがに寒くなり、1つしか置いていなかった寝袋を掛ける。
 
 駐車場から眺める  
 5時半起床。昨晩の駐車場へ向かう。夜の間に先客1台が駐まっていた。塩川小屋はさらに先だが、落石で通行止め。
その臨時駐車場とわかる。バスもここまでで、臨時の「塩川手前」という停留所が設けてあった。
支度をして歩き出す。谷の上に顔を出しているのは豊口山だろうか、遙かな高みに見える。
塩川の水量はとても多い。轟々と音を立てて流れる。道脇にはツリフネソウが咲き秋に入ったことを教えてくれる。
 
 本来の塩川登山口  
 前方に茶色い百葉箱のような登山届受付所が出てきて一息入れる。車がない広場の奥の林に塩川小屋があった。
いよいよ山道になるが、沢沿いの緩やかな道が続く。鉄の橋を渡ると斜に入る朝日で沢の水しぶきが輝く。
すぐに苔むした森になっていく。南アルプスならではの景色が楽しめる道である。
 
 沢に朝日射す  

 
 森に朝日射す  
 木の橋で二回渡渉し、朝の森を抜けて崩壊した奥水無沢を横切ると、尾根のとりつきになる。
赤や黄のテープに従いつづら折れを登っていく。クサリ場、ロープ場があるが初めのうちで、
その後は険しい尾根を淡々と登っていくしかない。木の間から中央アルプスが見える。
 
 険しい尾根に入る  
 「水場1分」の札があるが帰りに寄ってみることにする。シラビソなどの森は深く林床は苔も多い。キノコもいくつか
出ているが名前はわからない。高度が上がると森の木が若くなってきた。次第に足が止まる間隔が短くなってきた。
展望地があって本谷山の尾根が大きく見える。この眺めだけでも元気になった。足は相当堪えている。
そろそろ合流点かなと思ったがまだまだあった。
 
 三伏峠小屋の手前にて  (中央・本谷山、右・塩見岳)
 峠まではまだ登りが少しあるが、展望地からは甲斐駒、仙丈に塩見岳と少しずつメンバーが現れてきてワクワクしてくる。
清々しい林を抜けると三伏峠小屋に出る。展望のある峠かと私も俊一も期待していたのだが、ひょっとしたらのひょっと
であった。林の中である。小休止して烏帽子を目指す。テン場の横を東へ下りていくと塩見岳へのコースとの分岐になる。
林の中の道は湿っていて人も多いためか泥濘がある。どこまで下るのかなと思う頃に立木が無くなり、谷が開ける。
目の前に塩見岳がどっかり。
 
 三伏峠下の谷から塩見岳  
 なんとも言えない展開はさらに続く。烏帽子岳に繋がる南の尾根に登り返す道は、植生の保護柵が設けてある。
その柵からこぼれるようにお花畑が広がっているのである。タカネマツムシソウ、ミヤマトリカブト、ハクサンフウロなど。
そして辿り着いた尾根の南面は険しい崩壊の壁となって切れ落ちている。しかし展望が良い。小河内岳から南の峰々。
振り返ると塩見岳の左に間ノ岳や北岳が出た。
 
 絶壁尾根から烏帽子岳を見上げる  
 しかし、この先の登りはきつい。毎年のことだが最後の2、300m位はひいひいと喘ぎながらの登りである。
ウスユキソウやイブキジャコウソウなど今までと少し違う花が元気をくれる。
樹林帯を抜け岩峰を巻く。2回ほど崩落地の脇を通過し緊張。ハイマツ帯を登ると遮るもののない烏帽子岳山頂となる。絶景だ。
 
 烏帽子岳山頂  

 
 中央アルプス  
 山を隠す雲がまだ湧いてきていない。見渡すばかりの山並み。今までのしんどさが吹き飛んでしまう。
東には蝙蝠岳の右に雲を掛けた富士山が見える。北は甲斐駒・仙丈、間ノ岳や北岳、南は前小河内岳と小河内岳の間に
悪沢岳、西の三伏峠彼方には中央アルプスの薄い影。そして何と言っても、眼前はハイマツの絨毯を従えての塩見岳。
眺めは良いが小バエも多い。私はあまり気にしないが俊一はかなり気になってしまうようだ。
この幸せな空間、重い靴を脱いで裸足になるとさらに気持ちが良い。
 
 小河内岳(右)と悪沢岳(左奥)
 二人占めだった山頂も二人、一人と増えてきた。13時というのに周りはまだ雲が少ない。
俊一のハエが忙しないようなのでそろそろ下りることにする。下りは速く、あっという間に山頂を見上げるほどになってしまう。
お花畑の谷から塩見岳の姿を見納めとして林の中へと入る。
 
 三伏峠を見下ろす(右)
 鳥倉合流点から下の尾根道は長い。行きにも気になっていた3cm角ほどの番号札が70〜100歩起きに落ちている。
1000番も判らなかったが、果たして最初はどこから置いてあったのか、下山の楽しみの一つとして下りていく。
俊一は爪先が痛くなったようで下るのがきつい。思ったより時間がかかった。沢音が聞こえてもまだまだ下りる。
 
 延々と尾根を下る
 取り付きを過ぎて最初の木橋のある沢でひと息つく。轟音の脇の水たまりで顔を洗うとスッキリした。常念岳の一ノ沢が
忘れられず、夏山は沢の水で顔を洗うのが楽しみの一つだ。夕日の斜光が射す苔むした森もまた良い感じである。
塩川小屋にやっと辿り着くが、ここからさらに林道歩きがある。最後のだめ押しは俊一の足にかなり負担を掛けたようだ。
アルプスの眺めは良かったが、ハエと下りのきつさでもう一年は登る気が起こらないらしい。(^^;
 
 塩川
 駐車場に着くと先客の一台は既になく、山靴から解放される喜びを味わいながら帰路についた。行動時間は何と11時間。
伊那谷に出ると夕焼けを背にした中央アルプスが大きい。贅沢な暮らしだ。
温泉は当初予定していた松川IC近くの清流苑。駐車場はほぼ満車。人気のようだ。
風呂で汗を流す。いろいろな風呂が楽しめる。晩飯は併設のレストランでとる。割と素朴な感じの雰囲気と料理は
山里に相応しくて大変気に入ってしまった。おみやげは野沢菜とリンゴジュース。ここはまた来てみたいと思う。
ひと心地ついたので、あとは安全第一で高速にのって家路に就く。24時前に帰宅。


  烏帽子岳について   

  山のリストへ  / ホームページへもどる


2009.8.30. BY M.KANE