清い沢に花が多く、ブナ林には残雪あり。カタクリも咲き、
静かで雄大な眺め。下りてからの温泉もまた良し。感動のGW越前路その2・赤兎山編。
■目的地:赤兎山(1628.7m)<山域:加越・福井県大野市・石川県白峰村>
■2.5万図:願教寺山 参考書:「加賀白山」日地出版、「福井県の山」ヤマケイ
■日にち:1998年5月4日(月)
■天気:曇り
■同行者:単独
■コースタイム:東山いこいの森 発(12:35)=小原林道終点 登山口 着(13:30)
林道終点 登山口 発[1100m](13:35)〜小原峠(14:05)〜大舟分岐(14:30)〜
山頂(14:40)〜赤兎避難小屋(15:00)〜中俣谷源頭[1580m](15:05-15:35)〜
山頂(15:45-15:55)〜小原峠(16:15)〜林道終点 登山口 着(16:35)
【赤兎山】 白山・三ノ峰から取立山への尾根の中間に聳える。加越山域で唯一の
高層湿原があり、夏はニッコウキスゲが有名。白山の眺望も良い。
取立山から縦走路もあるがササが多くて難路らしいので、単独ではとても行く気に
ならない。お手軽な小原林道終点からのピストンにする。
東山いこいの森案内所で職員に尋ねると、「登れます。5/1から林道も開通。終点ま
で車で行けます。」よっしゃぁぁ! 靴を履き替えるのもまどろっこしい。(^^;
【林道長し】 小原集落にシャガとシロヤシオ。取立山が左に横たう。地図で覚悟は
していたものの長い林道だ。さぞかし寂しい山かなと思ったら、終点には停める所も
ない賑わい。幸い昼過ぎなので下りてきた人の所が空いていた。ここもアブが多い。
幸せの黄色い帽子でガードする。昼食代わりにおにぎりとバナナ2本。山はガスが
下りてきている。この分では白山の眺望は無理かなぁ。上は晴れているということも
あるかも知れないという淡い期待を胸に登山口に立つ。
【いきなりブナの新緑】 まだ若い杉の植林地からすぐに新緑の林の中へ。足元には
パリパリの落ち葉が残り、これが緑と対照的な良い道である。やがて沢伝いの素晴ら
しい花の道となる。ショウジョウバカマ、イワナシ、バイケイソウ、エイレンソウ、
ミヤマカタバミ、ムシカリ、コブシ、ネコノメソウ、リュウキンカ、イチリンソウ、
バイカオウレン...。
【小原峠】 清い沢を何度か横切り小原峠に着く。新緑の中で10名ほど休憩中。右へ
曲がって残雪が出てきた。この辺りからガスの中の幽玄なブナ林。あぁ幸せ。
会うのは下りてくる人ばかり。子供も多い。「がんばってねぇ。」「今からのぼっ
ているょぉ。」などなど。残雪の融水のためかぬかるみが多い。一日2座は足にきく。
大舟分岐までり登りはきつかった。膝に手を添えての登りとなりはてた。(^^;
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山頂手前の
残雪
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【曇り空】 残雪の残る小さなアップダウンから、だんだんまわりが開けてやっと山
頂が見えてくる。ここも10名ほどの先客と2匹の犬。前方に見下ろす草原の赤い屋根、
赤兎小屋の方は静かそうなのでさらに歩く。このササに囲まれた坂道の脇でカタクリ。
今年はあきらめていたのに、こんな所で出会えるとは来た甲斐があった。ガスは晴れ
ているが上空は雲で覆われている。寒くない程度の気温。
【赤兎平】 比良の西南稜のようなササの原に地塘が点在。そこに小さな水芭蕉が
一輪咲く。取立山のを見てこなければ、これも感動の出会いになったことだろう。
小屋の近くで休んでいたパーティが山頂に戻る。一人はゴム長。正解である。さぞか
しこの山を知り尽くしている仁とみた。この平らの途中にもかなりのぬかるみあり。
初夏になると黄色いニッコウキスゲの原となるのであろう。踏み荒らすことなく
いつまでも残していきたいなぁ。
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赤兎平から
白山への谷
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【萌葱色】 小屋の横をさらにまっすぐと緩い登りを行けば三ノ峰への縦走路だ。
これが萌葱色かと言うほどの素晴らしいブナ林の芽吹きと残雪と地肌の土、そして
その下に広がる谷の新緑。こんなに大きなブナの新緑を見たのは生まれて初めて。
経験の少ない身である、感動するはずだ。(^^;
あいにく雲に覆われているが、中腹を見せる白山は眼前に大きく大きく広がってい
る。静かである。手取川支流の中俣谷川源頭部・ワサビ谷の上になる。小屋泊まりと
おぼしき2名の他は誰もいない。ゆっくりコーヒーを煎れて雲が晴れるのを待つ。
南端のよも太郎山から北へ一ノ峰、三ノ峰、別山、御前峰、釈迦岳と屏風のように立
ちはだかるはずの山並みを思い描く。雲が流れ、陽が漏れて三ノ峰直下の雪が光る。
しかし、白山はとうとう顔を出してくれなかった。次回のお楽しみということであ
ろう。遅くならないうちに戻らなければならない。去りがたし。せかすように手強い
アブが集まってきた。
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白い鳩が舞うような
ブナ林のコブシ
1998.5.4.
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【鳩ヶ湯への谷】 山頂への登りでは足がつりそうになった。ゆっくり、ゆっくり。
15:45の山頂は既に無人。道標の示す鳩ヶ湯からの道をのぞいてみる。こちらの経ヶ岳
との谷も萌葱色で覆われている。またまた去りがたし。いい山である。
下りでウグイスが姿を見せる。残雪とブナ林と白いコブシをはじめとする花、清流。
巻き戻しのビデオを見るように下りていく。大長山方面が見える。入ってきた登山口
のある西側がガスで覆われ、稜線の東は晴れている。もう登ってくる人はいない。
【林道の状況】 登山口に出ると車は数台にまで減っていた。小原林道を帰りながら
この道は注意が必要だと感じたところを少し。1.でこぼこがあります。うまくかわ
せば普通車でも今日のところは通れました。2.ガードレールがありません。雪で
流されるためかも知れませんが9割方ついていません。砂利などでスリップして谷に
落ちないように。3.数カ所落石地点があります。4.道幅は離合出来ないところが
ほとんどです。5.谷の景色や道脇の花に見とれないように。私の感じでは、大峰・
弥山のトンネル西口辺りの林道は凄いなと思いましたが、高度感は別にしてさらに
凄い道のように感じました。お出かけの時は勝山市への問い合わせが無難でしょう。
【ゆっくりとお湯につかる】 車で約40分かけて林道を下りR157へ辿り着く。
勝山へ向かう。道脇は濃い緑にタニウツギのピンクが「また来いよ。」といっている
ように、勝手に思う。
朝、目を付けていた勝山温泉センター「水芭蕉」に入る。駐車場は一杯。今日は汗
をかいたし、これから道中も長い。\500とは安い。中は思ったほど混んではいない。
広い湯舟で足を伸ばす。あぁぁ、これまた幸せ。隠れ里さんの書き込みのお陰です。
R157途中で夕餉に刺身定食\1000。田植えの終わった水田に夕日がきらめく。
左向こうの山裾を萌葱色の電車が一両、のどかに走っていた。
赤兎山について
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1998.5.16. BY M.KANE