藤原忠自選句集2



アイアンを 構えた先に 赤とんぼ

平成5年9月

仕事の上での知り合いだがもう20年にもなるつきあいの先輩より夫婦でゴルフに誘われた。
それも磐梯山の麓で一泊で行くという。妻は初めてのコースになる。
もううれしくてしょうがない様子。
気兼ねなくて済む人と気持ちのいいコースでプレーするゴルフはまことに贅沢な遊び。
秋の気配が濃厚に漂う中で緊張の一瞬が続く。
初心者の力が入った瞬間・・・ のんびり赤とんぼが。


友見舞う 手折って飾る 梅一輪

平成5年2月

学生時代からの親友が再び入院。あともっても5,6か月と聞かされる。
もちろん本人は知らされていないが。毎週見舞うのが日課になる。
いつも好きだった旅と食い物の本を持っていくととても喜ぶ。
動けない、食べられない、つらいだろうと思うと罪なことをしているなと感じ、
今日は花を持っていった。
平成5年8月永眠す



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