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マス・メディアの時代はどのように終わるか


メディアはどのようにして消えてゆくのか?

パソコン雑誌の老舗、『Asahiパソコン』の初代編集長による本。内容は二部構成で、日本の

という形にまとめられています。第一部の現場体験は楽しくよめますが、第二部の真摯な議論も勉強になりました。

数々の重要な場面に居合わせておられるというのは、職業がらとはいえうらやましいことです。60ページでは、画期的だったJstarの日本デビューについても触れられています。そして61-62ページには、こうあります。

 いま私たちがパソコンでやっている日常作業そのままが、「スター」 によって1981年の段階で提示されていた。この「アルト」で培った ノウハウがパソコン開発へと進まなかったのは、それなりの理由が あってのことだろうが、歴史の皮肉ともいえよう。

99年春アメリカで刊行された、Xerox PARCにおけるパソコン関係の燦然たる開発史(そして崩壊)を描いたDealers of Lightningには、まさにこれに対応する記述が載っています。Dealers of Lightningでは、大企業の中で、既存の概念からはずれた新規製品を開発するのがいかに大変かが、具体な多数の例でえがきだされています。

Asahiパソコンを始めようとしたときに出会った抵抗について、矢野さんはさらりと書かれています。それでも、メーカーだけでなく、ジャーナリズムでも、新製品開発は大変だということがよーく分かり、深い共感を覚えました。
新製品開発に必要なのは、たしかに「天の時、地の利、人の和」なのかも知れません。

本書を読みながら、『人材は不良社員から探せ』という本のことを思い出しました。1988年に書かれた、新製品開発と組織の問題についての素晴らしい本です。(著者は、新製品開発をを何度も成功に導いた、大手家電メーカー幹部。)

(1999/5/22記)

矢野さんは、2002/08、サイバーリテラシー研究所を、オープンされています。

(2002/08/23記)


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