<旧車シリーズ 836>


MAZDA LB型


 
1945年12月から、戦前モデルのマツダ号・GA型で三輪トラックの製造を再開した東洋工業は、1949年4月には戦後初のニューモデルとしてGB型を登場させた。出力の増大と積載量の巨大化を狙って生まれたGB型は、空冷単気筒701ccの新開発エンジンを搭載し、荷箱寸法を拡大するなど、GA型をベースにしながら随所に改良を織り込んでいた。お馴染みのロープレッシャーダイカスト法により、エンジンとトランスミッションはアルミ合金で一体鋳造されている。
 その後も三輪トラックの積載力向上に対する市場の要求は高まり続け、東洋工業は1950年3月に、GB型のロングボディ版となるLB型を追加する。LB型では荷箱をさらに拡大した結果、その全長はGB型と比べて700mm以上も拡大、長尺物の運搬により適したものとなった。最大積載量は500kg積みから750kg積みへ増強されている。
 マツダ号の積載力の拡大は以降も続き、同年9月には初の1トン積み車となるCT型が登場する。


 
写真のLB型に出会ったのはつい最近のことですが、モデルプレートには1953年式と記されており、1トン積みのCT型や2トン積みのCTL型が登場した後も、しぶとくLB型の製造が続けられていたことがわかります。スタイリッシュなフロントカウルが特徴のCT型へ販売の中心が移っていく傍らで、戦前型の面影を色濃く残す単気筒エンジンのLB型も、廉価モデルとしての存在価値は十分にあったものと思われます。
 当時の三輪トラックは短いサイクルで次々に新型車が送り込まれていたので、新旧モデルが入り交じる面白いラインナップだったんでしょうね。


推定年式:1953
撮影時期:2004年5月
撮影場所:広島県賀茂郡黒瀬町 黎明館にて