Q・難易度のジレンマについて
簡単だとシューティングファンには物足りない、難しいと初心者が遊びにくくなる、といった難易度のジレンマがシューティングゲームにはつきまとっている気がします。このジレンマをどう考えますか?


A・「蒼穹紅蓮隊」でも、撃墜率等でゲーム展開をインタラクティブに変化(分岐)させて「初心者から上級者まで」をターゲットにする計画があったのですが、色々問題があって今回はやめときました。
 今後もう少しこの考えを進めて、広い層をターゲットにしたモノを模索するつもりです。これはシューティングに限った話では無いのですが。
 以前にも似た発想で、「上手な人ほどプレイ時間が短くなるシューティングゲー ムを作ろう」と思って「疾風魔法大作戦」てなのが出来上がった訳ですが、僕らの 力及ばずイマイチ受けませんでした。

 「初心者から上級者まで」をターゲットにして成功したシューティングゲームっ てのは今のところ存在しないよーな気がします。
 「19XX」や「極上パロディウス」の一部のステージがそれに近い気もしますが、序盤が退屈だとも感じますし。
 最近の傾向として「初心者はターゲットにしない」っていうアプローチもありま すが、やはり少しでも多くの人にプレイして貰いたいという欲求もあり、難しいと ころですね。


Q・蒼穹紅蓮隊について
開発期間、開発人数をお教えください。

A・結構時間がかかってます。
C言語の勉強、サターン&ST-Vの勉強って準備期間がちょっとあった後、基本部分はプログラマー3人(←外山含)、絵描き3人で1年半弱ってとこです。
 最後の方にサウンドと御手伝いの人がわらわら入って来て完成〜って感じです。




Q・蒼穹紅蓮隊の難易度について
アーケード版蒼穹紅蓮隊の難易度は、とっつきやすいように難易度が低めのところから始まってじょじょに難しくなっていく前半のバランスはすばらしいと考えるのですが、途中から極端に難易度が上がるように思うのは、米光がヘタだからでしょうか、それともコンティニューさせまくってインカムをかせぐ作戦だったのでしょうか?

A・「3面ボス(呑竜)を『壁』にしよう」というのがスタッフの横尾君の意見で、 実際そういう調整になってます。
 「コンティニューさせまくってインカム上げる」ってのは、難易度を上げるだけ では駄目なので、狙ってはいません。やはりインカムはリピート性に求めないと。


Q・サターン版の難易度について
サターン版の難易度は、アーケード版とどのように変わっていますか?

A・サターン版では、難易度は全く変えないつもりだったんですが、周囲の強い反対 にあって、初期設定の難易度、最も簡単な設定での難易度共に下げております。




Q・サターン版の難易度について2
アーケードオリジナルの難易度でプレイするモードは?

A・あります。OPTIONの難易度をいじくるとこで、アーケードと同じ難易度にはその旨表示がありますので。


Q・蒼穹紅蓮隊のボスについて ボスの登場時の演出はどうですか?

A・ポリゴンだったらもっと色々できるのになあ〜と、2Dである事へのジレンマを感じます。
 もーすぐ出るGダライアスのボス前演出なんて凄いんですよ、羨ましい。
 各ステージボス登場の部分では、崎元氏によるボスBGMの力にも大分お世話に なってますね。
 今回も、それは素晴らしい楽曲を提供していただき有り難い限り。
 また演出と言えば、昨年暮れのゲーメスト大賞では演出部門で5位に食い込めた のが光栄です。




Q・蒼穹紅蓮隊の世界観について
エンディングを見たときは、やられたっ!と思いました。ああいうのやりたかったんです。エンディングや、他の端々からも世界観の深さが感じられるのですが、きちんとした世界設定をなさっているのでしょうか、それとも一流のテクニックで深いように見せているのでしょうか?

A・世間的には明らかにしてませんが、その昔「武者アレスタ」の続編として「スプリガンmk2」を企画&開発したのと同様に、「武者アレスタ」以前の世界、宇宙開 発の黎明期を描いてみようと思って考えたら、あーゆー感じになりました。
 「宇宙開発を推進するには専門の会社作っちゃうのが一番手っ取り早い」って言 ってるエラい人の話をなんかの雑誌で読んで、実際にある衛星打ち上げ会社の事を 調べたり、それ系のSF読みあさったりして、結局は自分なりの未来予測も入れた 結果が「蒼穹紅蓮隊」の世界観であります。趣味でやってたらはからずもこうなっ たって感じなんで、そんなに深くもないし意図的でも無いです。
 エンディングの新聞は横尾君のアイデアで、僕は記事のネタ出しに協力した程度 ですので、設定の細部は彼の力による部分も大きいです。




Q・シューティングの世界観について
シューティングゲームにおける世界観についてどのように考えますか?

A・今現在ゲームセンターでウケているシューティングゲームの世界観と言えば、や はり第2次世界大戦〜現代に活躍してる戦闘機が登場するモノが多いですね。個人 的には、あんまり無茶なゲームにできない(STRIKERS1945は無茶しまくってるけど) ので、その辺の時代を使った世界観ってのは扱いたくないです。
 「シューティングのキャラクタなんて単なる記号、●や■が飛び回ってても面白 いモノは面白い」なんて人も居ますし実際そうだとも思いますが、やっぱ更に感情 移入できればもっと面白くなると思います。
 で、この感情移入のさせかたなんですが、プレイヤーにどのぐらいの情報を提示 するか、逆にどのぐらいの情報を提示しないか…ってとこが難しいと思うんですよ。 現在の流行だと、音声やCGムービーをふんだんに使って、プレイヤーが受け取る 情報量は数年前の何十倍、何百倍になってきてます。それでゲームの世界観が広が ったかというと、広がった部分もあれば狭まった部分もあります。プレイヤーが想 像力を働かせる余地が無くなりつつあるんですね。扱う世界設定と同様に、その表 現の割合が難しい。




Q・エヴァンゲリオンについて
ゲームを作るにあたってエヴァンゲリオンの存在はどうですか?

A・ゲームのタイトルってのは開発中につく事が多いんですが、「蒼穹紅蓮隊」に関してはタイトルを最初に思い付いて、それからゲームが出来てます。で日本語を全面に押し出して行こう! ってのが中盤に決まって、しばらくしたらエヴァが放送 されて、パクったと思われるのは嫌だから表現がなるべく似ないように…と気は使 ってます。だからいわゆるエヴァ語(「補完」「決戦兵器」とか)はタブーとして避けてますし。
「こんな風に字を曲
        げ
        る
        レ
        イアウトは絶対禁止」でした。でも明朝体はデザ イナーの希望で外せませんでしたが。
 エヴァンゲリオン(とエヴァ現象)については「電気代だけで楽しめる良質のエ ンターテイメント」って捉え方です。今のとこ「QuickJapan」買ったぐらいしかエ ヴァ関係に金使って無いし。でも映画は金払って見に行っちゃうんだろうなあ。と もあれ、エヴァはいろんな層のオタクを取り込める構造になってるのが凄いです。




Q・素晴らしいシューティングについて
自作以外で素晴らしいと感じるシューティングゲームのタイトルと理由を教えてください。

A・最近はなんと言っても「RAIDEN FIGHTERS」です。初心者を最初っから相手にして いない難易度は「バトルガレッガ」と同様ですが、ゲーム時間も短くまとめて凝縮 された戦闘を楽しめる良質のゲームですね。
 後は色々あるんですが、強いて言えばファミコンの「ザナック」や「烈火」かも… 両タイトルともに、全体のテンポや統一感が素晴らしく、未だに色褪せてません。

Q・ご予定について
次回作などのご予定があれば教えてください。

A・まだ「蒼穹紅蓮隊」の後始末みたいなのがちょっとあるので、それが終ってから考えます。ネタ探しの最中です。


蒼穹紅蓮隊の感想、インタビューの感想、その他なんでもメイルしてね