SVA東京市民ネットワークNEWS LETTER「里程標」第7号

第2回 国連人間居住会議

HABITAT2 開催される

 今世紀最後の国連会議といわれる第2回人間居住会議が6月3日より14日までトルコのイスタンブールで開催されました。この会議は、世界各地で都市化が進み居住環境が悪化する中で、「すべての人々に適切な住まいを」と、「都市化する世界における持続可能な人間居住開発」を2つの重要なテーマとして掲げ、今回の政治宣言である「イスタンブール宣言」と、「ハビタット・アジェンダ」を採択しました。またこの会議では国連会議としては初めて「あらゆるアクターの対等なパートナーシップと参加」が正式に認められたことから、政府間会議と並んでNGOやCBO(Community Based Organization:住民組織)、地方自治体、財団、民間企業、学者などの各フォーラムが並行して開催されましたが、その中でも特にNGOやCBOの役割の重要性が強調された会議でありました。またこの会議に向けて日本では「HABITAT  日本NGOフォーラム」が組織され、SVAがその事務局を引き受け、SVAの秦さんが事務局長を務められました。

 さてこの会議の大きな意義は「居住への権利」が国際的に認められた点にあります。この居住への権利とは単に政府から住宅をあてがわれる権利ではなく、それ以上の広い概念です。「居住への権利」とは人々が自分の意志に従って家や地域をつくるとき、そしてそこに隣人と共に住み続けるときに必要な社会的資源−土地、融資、技術、資材、施設やインフラ、情報−へのアクセスを持つということであり、自分の意に反して追い立てられたりしないということを意味しています。

 つまりこのひとつの独立した権利が認められたことによって公園から撤去勧告を受けた神戸の被災者の人々や、不動産屋で理由なく入居拒否されるアジア人留学生たちが堂々と我々には住むべき権利があるのだと主張できることになったのです。

 発展途上国にはたくさんのスラムがあり、世界的な問題となっていますが、その中には住民たちの手によって素晴らしい改善がなされた地域などが数々あり、我々もそこから学ぶべき点が数多くあります。また居住問題というとあまりピンとこない人も多いと思いますが、我々の回りにも神戸の仮設住宅や、テント村、またアジア人留学生の住宅問題、新宿のホームレスと問題は山積みです。更にもっと身近なことでは、「まちづくり」とよばれる我々自身が住んでいるまちでの身近な問題に取り組むといったことがあります。

 これを機会に少し居住問題ということを考えてみてはいかがですか。なおHABITAT2の詳しい内容を知りたい方はSVAにあります「HABITAT2 日本NGOフォーラム」までお問い合わせ下さい。

居林 昌宏


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