SVA東京市民ネットワークNEWS LETTER「里程標」第20号

二十一世紀を迎えて

 私たちがSVA東京市民ネットワークをスタートさせたきっかけは、当時いくつかのNGOが共同して開催していた「東京グリーンウォーク」というイベントに参加したり、SVAのボランティア合宿に参加していくなかで、東京事務所に個人ボランティアとして関わってくる人たちの受け皿になろうとしてだった。

 それからの活動は月1回、平日夜の定例会を基本に、各種イベントへの参加や学習会の開催、本紙発行程度で、決して自慢できることはしていない。ただ、5年も続いていることだけが取り柄だろう。

 21世紀の最初の2001年、国際ボランティア年だそうだ。日本ではボランティア義務化を巡る論争が巻き起こっている。しかし、今の日本で「義務化」されたら、それはもうボランティアと呼べるものでなくなってしまうことだけは確かだ。市民社会にボランティアが定着しているとはとても言えない日本で、義務化は「強制」にしかならないし、それが進学の点数に数値化されるだろう。

 NGOスタッフやボランティアはこれにもっと危機感を持ち、「ボランタリー」な社会を創造するために努力することが大切だ。市民ネットはそれ自体非力なグループだが、例えそうであってもメッセージは発信できるし、問題提起もできる。小さな行動でいいから、何かを具体的にやること、継続することをこれからの目標にしたい。

 ところで私はこの数年、韓国のNGOと交流を続けている。そのテーマは国際協力ではないが、今の韓国は元気だ。国際化の取り組みでも「ベトナム戦民間人虐殺真実委員会」とか「国際連帯政策情報センター」といったNGOが活動を展開している。

 そんなおり、関西に事務局がある「在日韓国民主人権協議会」が『韓国NGOデータブック』というガイドブックを発行した。5000以上あるNGOから100を選び、人権、環境、女性、教育などの分野ごとに代表的なNGOを紹介している。私もそのなかで5〜6団体ほどと交流している。韓国では1987年の民主化以降、急速にNGOが増加し、日本や欧米と同様のテーマに取り組んでいる。ところが、日韓間のNGO交流は思ったほど進んでいない。政府や企業のそれと比べると天と地ほどの違いである。

 国際協力のNGOは「開発途上国」などへの「援助」が目的だから「交流」とは少々違うという意見もあるだろうが、私は韓国、台湾、香港、タイ、フィリピンなどのNGOともっと積極的に交流することは必要と思っている。フィリピンなどはNGO「先進国」だからすでに交流しているが、東アジア地域での交流はこれからだろう。

 SVA本体の活動は従来どおりでよしとしても、スタッフも含めた個人はもっともっと日本社会の共生化、国内外の他のNGOとの交流を積極的に進めてほしい。そうすればSVA自体も底上げされるあろう。

(白石 孝)

 *『韓国NGOデータブック』は2800円+税。「みずのわ出版」に申し込みを。
   (078−531−6357)


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