ポートランド日記                                     スズキメディア

11月5日(月)──97日目


 スピーキングの授業で、金曜日のリスニングテストを返される。15問中4問間違っていた。成績は「B+(プラス)」。思ったより間違いが多かった。文章の微妙なところに引っかかったようだ。でも、取りあえず合格してよかった。

 授業では、先生が四つのトピックを示して、それについて、肯定的意見と、否定的意見を上げるという練習をした。テーマは、「国は大学生を経済的に援助すべきか」「徴兵制を始めるべきか」「ドラッグ使用の罪をもっと重くすべきか」「65歳以上の全員に医療保険を適用すべきか」。来週の説得のスピーチの練習というわけだ。
 二人か三人で組になり、四つのなかからテーマを選び、肯定的意見と否定的意見を話し合ってあげていく。僕は、日本人のナミさんと二人で「65歳以上の全員に医療保険を適用すべきか」をテーマに選んで話し合いをした。もちろん全部英語で。
 スピーチの準備は辞書を引きながらやるが、今日の授業の場合は、辞書なしでいきなりディスカッションだから大変だ。言いたいことは頭のなかに渦巻いているが、なかなか英語になって出てこない。

 スピーキングのクラスの先生は、手を変え品を変えいろんなことをやらせる。今日は、次のスピーチを控えて、何をやるんだろうと思いながら、授業に出たが(こういうときが、先生の英語の指示がわからないことがあるので、心配だ)、ちゃんとやることがあった。
 授業の最初にも、発音をテープに録音させて、それを評価してくれたが、そういうことをする先生はそんなにいないそうだ。僕が通っているシルバニアキャンパスは英語はいい先生が多いらしいが、そのなかでも、いい先生に当たってよかった。行き当たりばったりで英語のクラスに入ったにしては、うまくいっている。

 授業のあと、マナミさんと大学の書店の前で待ち合わせ。寮に寄ってもらって、パソコン(アイブック)を返すため。スーパードライブ(容量120MBのフロッピーディスク)がうまく動かないというので、具合を見るために預かったのだが、全部接続して電源を入れてみたら問題なく動いた。スーパードライブを電源から抜いたために、リセットされて元に戻ったようだ。周辺機器は、こういうことがよくある。
 みなさんも、周辺機器の調子がおかしくなったら、スイッチを入れ直すだけでなく、電源を抜いて挿し直してみるといい。それで直ってしまうことがけっこう多いはずだ。

 寮へ戻る前に、マナミさんの車で宇和島屋へ連れて行ってもらう。とんかつとコロッケを作ろうと思って、豚肉、パン粉などを買った。

 宇和島屋から寮へ向かう途中、停電、かなり広い範囲で信号が消えていた。日本なら、混乱してすぐ警官が交通整理に飛んでくるところだが、ここでは、警官の姿は見えない。それでも、多少滞るにはしても、車はスムーズに流れている。
 なぜかというと、アメリカの交差点では、先に着いた車が、先に行くという大原則があるからだ。ポートランドでは、全方向が止まれの十字路がけっこう多い。そこは、先に着いた車が、先に行くという原則のみが適用される。日本でも、全方向が止まれの十字路はあるが、何の原則もないので、双方の車がタイミングを窺いなから進むことになる。
 たとえ信号が消えていても、先に着いた車が、先に行くという大原則がすべてのドライバーの頭に入っているから、多少時間はかかるにしても、車はうまく流れていく。交通整理の警官は必要ない。
 マナミさんに聞いてみたら、この停電による信号の停止は、夜まで続いていたそうだ。それでも問題な車が流れていく。停止に関しては、アメリカのシステムが優れているようだ。

 夕食は、とんかつを作る。豚肉はロイン(腰肉)を買ってきたが、いい肉だ。揚げ物は温度が難しい。福島の家の台所は、揚げ物用に温度調節のできるガスコンロだからいいが、ここでは自分の感覚だけが頼り。電気コンロは温度調節が難しいが、今回はうまく揚げることができた。
 久しぶりに食べるとんかつはおいしかった。


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