ポートランド日記                                     スズキメディア

10月29日(月)──90日目


 今日は時々雨、昨日に比べてぐっと寒くなった。

 スピーチのクラスは、レクチャー3のテスト。ケネディ大統領の話で、知っていることなので、わりと聞きやすい。でも、ケネディ大統領は、在任中は(つまり暗殺されるまでは)、米国内ではあまりその業績が認知されていなかったというのは、初耳だった。
 先週から繰り返しテープを聞いていたので、16問中、間違えたのは2問だった。
 そのあと、先週のデモンストレーションスピーチの成績を返された。評価は「B+」。前よりは少し良くなった。
 発音:大体良い(4)
 語彙:良い(4.5)
 構成:良い(5)
 内容:長すぎる! 時々焦点を失ったが、デモは、創意に富んだ方法だった。(4)
 発表方法(プレゼンテーション):OHPを使った説明はよかったが、十分なアイコンタクトがなくて、聴衆の興味を引いていなかった。(4)

 やはり、スピーチが長すぎたこと、OHPを使ったのは良かったが、聴衆とのアイコンタクトが足りないことが指摘されていた。OHPを使うと、どうしてもそちらばかり見てしまって、聴衆のほうには目が向かない。
 難しい言い回しを使うと、原稿を見ないで話すことができないので、簡単な言い回しに変えたりした。それに、けっこう洒落た言い回しと思っていたところは、飛ばしてしまったりした。英語のスピーチは難しい。
 今回の評価が良かった人はそれが今期の評価になり、次のスピーチが良ければ、そちらが今期の評価になるそうだ。「パースエイジョンスピーチ(説得するスピーチ)はうまくいくだろうか。来週水曜日にはアウトラインの提出だから、そろそろテーマを決めないといけない。

 授業のあと、12時から詩の朗読会があった。図書館に「ポエムリーディング」があるというチラシが貼ってあったので、行こうと思っていた。
 読むのは、ロドニー・ジョーンズ(Rodney Jones)という人。経歴によると、何冊か詩集を出している。アメリカの現代詩を読む機会はなかったので、あいにく僕は読んでいないし名前も知らないが、英語の「ポエムリーディング」を体験してみたいと思って行ってみた。
 会場は、教室だが、ミニシアターとして、演劇の上演もできるようになっている。200人くらいの座席がある。ほぼ満席で、床に座っている学生もいる。

 舞台には、丸テーブルと椅子が置かれている。最初に、大学の人(たぶん先生)がロドニーさんを紹介して、ロドニーさんが座席の中から登場して、ポエムリーディングが始まった。Gパンに、黒いセーターという格好。椅子はあるが、そこには坐らず立ったままで、朗読を始めた。自作の著著とおぼしきものを何冊か持ってきているが、それではなく大判のノートを開いて読んでいる。おそらく新作なのだろう。

 自己紹介らしきもののあと、前置きなくいきなり朗読を始め、終わるとその詩について少し話をし、また前置きなく、次の詩を読み始める。リラックスした雰囲気で、詩の内容が面白ければ、学生から笑いがもれるし、詩と詩の間の話にはかなり笑い声が起こっていた。
 残念ながら、詩の断片の言葉やフレーズは聴き取れるが、全体の意味はなかなかわからない。みんなが笑うところもよくはわからない。
 ただ、ロドニーさんの読み方もあるのだろうが、普段聞いているニュースや映画の英語とは違って、とっても耳に優しい響きだった。イントネーションやアクセントやリズムがここちよく響く感じがよくわかる。
 日本語の詩や文の朗読は聞いたことがあるが、それと同じように、耳に心地よく響く。これで意味もわかったらいいだろうなと思う。

 終了後、最新の詩集「elegy for the southern drawl」(13ドル)を購入して、サインしてもらった。「日本から来ています。英語のポエムリーディングを聞くのは今日が初めてです」と話しかけると、興味を示してくれたようで、「そうですか。お名前は?」と聞かれた。「スズキです」と答えて握手をした。

 昼を食べたのは、「パッゾリア・ベーカリー・アンド・カフェ(Pazzoria Bakery and Cafe)」。ここも、「ポートランド。チープイーツ」に載っているダウンタウンの店。ウィンドウにパンが飾ってあって、パン屋さんでカフェもやっている。僕は、ターキーのサンドイッチとトマトスープを食べた(8ドル:ターキーは少し高い)。トマトスープは、トマトをそのままつぶして煮込んだようなこってりしたもの。シンプルだがおいしい。サンドイッチは、パンもターキーもおいしかった。簡単な食事をとるにはいい店だ。一時を過ぎていたが、まだまだ客が入ってきて、にぎわっている。


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