ポートランド日記                                     スズキメディア

9月2日(水)──33日目


 10時過ぎに車で買い物に。まず、ビーバートンのフレッドマイヤーを目指した。ここは一度I先生に連れて行ってもらったが、前回二人でターゲット(衣料品などのスーパー)と宇和島屋に行ったときは、どこにあるかわからなかった。
 ターゲットからもう少し先に行けばいいはずなので、10号線をずっと走っていくと、フレッドマイヤーが見つかった。ここは、寮の近くのフレッドマイヤーより大きくて、衣料品や電気製品も売っている。このあたりでは、一番大きなスーパーだ。

 アメリカへの荷物に入れたはずの短パンが、船便の中にも見あたらなかったので、ナイキの短パンを購入。出発直前にバタバタしたので、「入れたはずのものがない」というのがけっこうある。でも、実際はほとんど何でもアメリカで手にはいるのでそれほど困ることはない。
 Cは胃の調子が相変わらずよくないので、「マーロックス」という胃薬を買った。日本では処方箋がないと買えないが、アメリカでは、ドラッグストアで普通に売っている(このフレッドマイヤーにはドラッグストアもあるし、処方箋を受け付ける薬局まである)。ずいぶん違うものだ。

 そのあと、食料品のところを二人でじっくりと見た。他の人と一緒のときはゆっくり見られないが、一列ずつじっくり見ていくと、日本とは違うものがいろいろあって面白い。なかなか見つからなかったが生クリームも見つけた。見つからなかったのは、カレー粉。エスニックフード関係もけっこう置いてある。日本製のカレールーはあるが、S&Bとかのカレー粉はないようだ。
 香辛料の棚を見ていくと、チリパウダーはあるが、カレーパウダーはない。フランス料理でもカレー味にするものはあるから、使うはずだが、あれはターメリックとかクミンとかひいて混ぜて作るのだろうか。結局、カレー粉は後で行ったポートランドの「安全」でS&Bのを購入。

 アメリカのスーパーに行くと、品数とひとつあたりの量の多さに圧倒される。フレッドマイヤーで、先週の日曜日に行ったティラモックのアイスクリームを見つけて買ったが、これもひとつが大きい。日本の一番大きいのの2倍くらいある。小さいのは見あたらない。
 野菜、肉など食材の量も多いが、インスタント食品、缶詰、フリーズドライ食品の種類と量がやたらに多い。缶詰のスープなど、10メートルくらいの棚にぎっしりと並んでいる。料理に手をかけず出来合いのもので済ませる人が多いのだろうか。確かに、テレビの料理番組を見ても、手がかからない料理が中心だ。
 棚を回りながら、いろいろ買っていったら、100ドルを超えてしまった。香辛料とか保存の利くものが多かったが、ちょっと買いすぎだ。

 そのあと、この近くにあるというビーバートンの「安全」(日本食料品店)を探すが見つからなかった。住所はわかっていて、その通りまでは行き着いたのだが、大きなモールの中なので、番地がわかっていても、どこにあるかよくわからない。もしかしたら、もうなくなってしまったのかもしれない。
 ビーバートンの「安全」が見つからなかったので、何度も行っているポートランドの「安全」に行くことにする。ここは何度も行っているが、二人で車で行くのは初めてだ。やはり早く曲がりすぎたりして迷ってしまったが、何とか行くことができた。

 マグロの刺身と山芋を買って夕食は、マグロの山かけにしたが、東京のスーパーで買う安くてあまりおいしくないマグロの感じ。山芋も少し水気が多かった。刺身を食べたのは、1か月ぶりだが(大学の先生に招待されて、チャートハウスでマグロのタタキまがいのものを食べたが、あれは違う気がする)、あまり無理して食べずに日本へ戻るまで我慢したほうがいいかもしれない。高くはないのだが、おいしくないのでは仕方がない。でも鯛とか白身の魚の刺身が食べたくなる。

 「安全」から戻って、一人で、近くのヒルスデールにある。公立図書館に行ってみた。車だとすぐで、駐車場もあるから利用しやすい。一階だけのそれほど大きくない図書館だが、たくさんの人でにぎわっていた。パソコンが十台くらい並んでいて、インターネットに自由にアクセスできるが、そこもいっぱいだった。
 ライブラリーカードを作ったが、住所や電話番号を書き込んで、IDとしてパスポートを見せたら、すぐに作ってもらえた。貸し出しは本やCDは何冊でも何枚でもOK。ビデオは、一般向けと子ども向けがそれぞれ5タイトルまで。貸し出し期間は三週間。遅れると、一般書は一冊一日につき25セント(最大10ドルまで)、子ども向けのものは一冊一日につき10セント(最大5ドルまで)の罰金が取られる。
 日本語の説明書がなくて申し訳ないと言いながら、詳しく説明してくれた。外国で図書カードを作るのは初めてなので、何となくうれしい。今日は、アーシュラ・K・ル=グインの本や絵本、オレゴンに関する本、オレゴンに関するビデオなどを借りて帰った。

 アメリカで本(洋書)を買うのもいいが、あまり多くなると持って帰るのが大変だ。その点図書館なら、気兼ねなく借りて読んだら返せばいい。面白い本だったが、そのうち購入すればいいだろう。
 「日本からけっこう本を持ってきたが、いつもの好みで翻訳書中心だったので、もっと日本人の書いた本を持ってくればよかった」と以前の日記に書いたが、日本人の書いたものはほとんど読み尽くしてしまって、いまは翻訳書しか手持ちがない。そうなると、アメリカまで来て翻訳書を読むくらいなら(読むスピードが落ちても)、英語の本を読もうかという気になってくる。
 一日中テレビからは英語の番組、外へ出ても使うのは英語という「英語漬け」の生活(といっても、うちの奥さんとはもちろん日本語だし、回りにけっこう日本人もいる)が、少しは「英語嫌い」が解消しつつあるのだろうか(前は、英語の本を辞書を引きながら読んでいると、高校の頃の予習を思い出してうんざりした。今は、辞書じゃなくて、パソコンで英単語が引けるから、いいのかもしれない)。


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