We Love Internet People from INTERNET magazine
あの人に会いたい!

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We Love Internet People あの人に会いたい!…………INTERNET magazine 1998.3

第1回「検索の鉄人」を見事勝ち取った

関裕司さん


「第1回検索の鉄人」の栄冠に輝いた関裕司さんは、静岡県三島市在住のサラリーマン。増進会出版社の情報企画部教育情報担当主任として、普段の仕事は検索サーバーのgoo(http://www.goo.ne.jp/)を駆使して、情報を探し出してくることだった。いわば、検索のプロが順当に「検索の鉄人」を射止めたわけだが、お話を聞いてみると、それ以外にも関さんが鉄人を獲得した理由がいくつかもあるようだ。次回の鉄人に挑戦しようという人のために、そのノウハウを紹介しよう。


Q:インターネットはどんなきっかけで始めたんですか?

関:今の部署は増進会の中でも、入試や学校の情報を集めるところなんです。文部省の発表を調べたり、他の部署の依頼で市場データを探ったりするのが主な業務ですが、インターネットを使うようになったのは2年前にこの部署に移ってからです。その前は全然やったことなかったんですよ。パソコンは学生の頃からゲームをやっていて、NECのPC-9801DAとか、東芝のダイナブックの初期のものとか、そのあと、賞金で今のパソコンを買うまでは、MacintoshのLC-575を使っていました。自宅でインターネットにつないだのは、97年10月の末くらいからです。検索の鉄人に出ることになって、家でもつなぎたいので、かみさんに内緒でモデムを買ってきて、事後承諾でつないじゃいました(笑)。

Q:普段から検索サーバーを使うことは多いんですか?

関:仕事がら、gooができてからは、毎日1時間は検索に使っています。その前はNTTディクトリとか、Yahoo! JAPANとか、あちこち試したりしていたんですが、最近はgoo以外は使ってないですね。だから、今ではgooの検索結果の一覧をぱっと見ただけで、{これかな?」というのがだいたいわかるんです。勘というかニオイでわかっちゃう。

Q:検索の鉄人になるべくしてなったという感じですね。

関:予選を通るくらいの自信はありましたけど、まさか決勝で勝てるとは思っていませんでした。プロのサーチャーの方とかもいましたでしょう? 途中で学生の人がバタバタとお手つきをして、私は黙っていたら残ったというだけで、けっこうラッキーなところもありましたから。

Q:決勝は、あがったりしませんでしたか?

関:決勝戦は、ずっとヘッドホンをつけてやっていたので、周りの音が気にならなくて、ドキドキするようなことはなかったですね。司会の人が後ろでいろいろ言ってましたけど、あれがまるまる聞こえていたら、緊張したかもしれません。あとで、一緒に決勝に出た学生さんと話をしたら、問題を開いた途端に頭の中が真っ白になっちゃって、何も覚えていないという人がけっこういました。私は、そんな緊張しなかったのは、もしかしたら、高校時代弓道部にいて、集中することに慣れていたからかもしれません。

Q:決勝戦は、タイピングもかなり速くないと、ダメだったようですね。

関:以前はローマ字変換を使っていたんですが、それでは遅すぎるので5年前にかな入力に変えたんです。キーボード入力はけっこう早いんですが、当日は大変でした。というのも、当日会場で使えるパソコンのFEPはATOKだけで、私は普段はMS-IMEを使っていて、ATOKを使ったことがなかったんです。結局アルファベットと半角の数字は全く打てなくて、入力したのは全部漢字とひらがなだけ。だから、けっこう使いたいシーンはあったんだけど、AND、OR、NOT検索(Boolean)も使えませんでした。普段はMS-IME97を使っていて、特にATOK練習していかなかったんです。私の後ろについていた審査員の人が私が苦労しているのがわかったでしょうけど、あれでよく勝てたと思います。

Q:最後に鉄人に決まったときは、どんな気持ちでしたか?

関:もちろん、「これで100万円だ!」と思ったら、うれしかったですよ。でも、正直言って、全部終わったらどっと疲れました。ずっと集中していましたし、時間も2時間以上かかりましたから。実は、当日は、2日前に内臓の手術を受けていたので、おかゆしか食べられなかったんです。「肉を食べたいなぁ」とずっと思ってました。好きなお酒も全然飲んでなくて、もしかしたら、毎日飲んでいたお酒を抜いて頭がすっきりしていたから勝てたのかもしれません(笑)

Q:「検索の鉄人」は検索が上手なだけでなく、キーワードを思いつくための一般常識も重要だと思いますが、その辺の秘訣は?

関:情報を集めるのが仕事の部署なので、新聞は有名どころは全部目を通して、切り抜きもしています。私が担当しているのは、産経新聞と日経産業新聞と日経流通新聞。中でも日経産業と日経流通は業界誌ですから、他の新聞にはないニュースが多く扱われています。「モナカ自動餡詰機の2号ができた」とか(笑)。それから、本もよく読みますね。サイコスリラー系の小説、D.R.クーンツやスティーブン・キングなんかが好きですね。通勤は車なので、以前は家に帰って、夜お酒を飲みながら読んでいたんですが、最近は自宅でもインターネットをやっているので、あまり読めませんね。

Q:普段、gooはどんなふうに使うんですか?

関:キーワードをごちゃごちゃ打つんじゃなくて、シンプルにすると、2万件とか3万件出ますよね。それで、このページは違うだろうというページに特有のキーワードを除くような設定をして、ページを絞り込んでいきます。それから、gooは、他のサーチエンジンのキーワード検索のページをたくさん拾ってくるんですが、それは使いものにならないので、省いていきます。そうやって1000件くらいになったら、もう一度じっくりキーワードを選んでORでつないで検索して、最終的に見るのは100件とか200件に絞り込まれてからです。それからパーセントの高いものから見ていきます。だから、ひとつの検索にどうしても20分から30分はかかりますね。

Q:NHKテレビの「おはよう日本」にも出演されたそうですが、周りの反応はどうでしたか?

関:うちの親父は左官屋なんですが、NHKの放送の日に現場に行ったら、インターネットなんかやったことのない大工さんたちが、オンエアーを見たらしくて、「今日NHKで見たんだけど、インターネットっていうのは百科事典みたいにつかえるんだな」って言っていたそうです。親父が、「あれはうちの息子だよ」って言ったら、どっかーん(笑)。でも、そういうふうに、インターネットも少しずつ浸透してきているようですね。

※「検索の鉄人」のサイト(http://tetsujin.arena.ne.jp/)には、出題された問題や解答のノウハウ、決勝大会のレポートなどが掲載されている。98年8月30日の第2回決勝大会で、新鉄人が岩崎美岐さんに決定したばかりだ。


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We Love Internet People あの人に会いたい!…………INTERNET magazine 1998.4

「旅作りのヒント・こだわりの旅」の

森徹さん


 日本の個人のホームページの内容で多いものとして、日記と旅行記があげられる。どちらも、書きやすくて作りやすいからだろうが、凝りに凝っていたり、ユニークな視点だったりして、面白いページも多い。今回は、旅行に関するページのなかでも、内容もテーマもともに面白い、「旅作りのヒント・こだわりの旅」の作者である森徹さんにその旅行好きの徹底ぶりを含めて、旅とホームページについてお話をうかがった。


Q:「旅作りのヒント」のページを作ったきっかけは?

森:95年の暮れくらいに、会社でも部門ごとにホームページを作ろうと、私が音頭取りをしたんです。自分の部門のページは自分で作ったんですが、そのあと個人でも作りたくなってきた。たまたま自宅ではアサヒネットを使っていたんですけど、個人でもホームページが開けるようになって、「じゃあ作ってみようか」というのがきっかけですね。旅が趣味というか、ライフワークのようなものなので、旅に関するページにしょうと思いました。

Q:旅行がテーマでもいろいろなページがありますが、どんなページにしようと思ったんですか?

森:他のページをいくつか見てみたんですが、旅行記もあるし、旅のリンク集もある。同じようなページを作っても面白くないから、視点がユニークなページ作りがしたいなと思ったんです。イギリスでお城を回ったとき、道路地図で城の記号を探しながら旅行したのが面白かったのを思い出して、そういうことを書いたら旅好きの人のヒントになるんじゃないかというので、最初に、『イギリス「城探し」の旅』とか、ノー『フォーク「愛読書の世界」ボートの旅』とか、いくつか昔の旅で印象に残っていたものについて書いたんです。そのあとは、「そういうえばこういう旅もしたな」と思い出しては新しいページを作ったり、最近の旅について書いたりして、少しずつふくらましてきました。

Q:ホームページ作りには、どんなソフトを使っていますか?

森:最初に会社で作ったときは、テキストエディターでHTMLを記述していました。そんなに難しいタグは使わずに、ごく初歩的なものです。そのうちにIBMのホームページビルダーを使うようになって、「旅作りのヒント」のページはそれで作りました。ネットスケープ・ナビゲーター・ゴールドとか、マイクロソフト・フロントページも使ってみたんですが、どちらもイマイチで、ホームページビルダーに落ち着いたんです。今はVer.3.0 を使っていますが、3.0になってずいぶんよくなりました。

Q:ページを読んでいると、とにかく旅行が好きという印象ですが……。

森:小学生の時から、週末のたびに親がどこかへ連れていくような家だったんです。それから、子供の頃に読んだアーサー・ランサムの本が、あれは屋外でいろいろ遊ぶ話ですから、それに刺激を受けたのが一番大きいと思います。自然の中で遊ぶのが好きで、海も山も好きで、あちこち行くのが好きになったんでしょうね。高校のときは山岳部に入って、キャンプに行ったり、山に登ったりしていました。大学のときは探検部で、洞窟なんかに行っていました。海外に初めて行ったのは、1979年、大学2年生の夏休みですが、とにかく旅行が好きなんで、会社も海外出張が多そうなところを選んで入りました。

Q:会社で出張というと、好きなところなかりへは行けないですよね?

森:そうでもないですよ(笑)。初めて海外出張のときは舞い上がって、行きも帰りも休暇をとって、リュックで出かけたんです。学生時代の貧乏旅行気分が抜けきれなくて、YMCAに泊まったり、間の土日に600マイル運転してナイアガラに行ったり、帰りはバンクーバーに寄ってカナディアンロッキーに行ったりと、せっかくの旅行チャンスだというので、やりたい放題でした。それからも、出張先が初めて行くところだと、週末はあちこち行ってやろうという感じですね。

Q:特に、イギリスやヨーロッパでいろいろなところに行っているんですね。

森:入社して2、3年の頃、たまたまイギリスに何度か仕事で行ったんです、向こうの人にイギリスに住みたいんだという話をしていたら、2年間くらい働かないかという話があったので赴任して、ロンドンから1〜2時間のウィンチェスターという町に住みました。イギリスは日本より休暇が取りやすいですから、長い休みにはフェリーで大陸に車ごと渡ってヨーロッパを回ったり、週末はイギリス国内を旅行したり、西ヨーロッパはだいたい回りました。イタリアまで行ったときに、朝食と昼食とおやつと夕食を全部違う国で食べたことがあります。ホームページにはその頃の旅行の話もたくさん載せていますが、まだ書いていないネタもあります。

Q:旅行をテーマにしたページは他にもいろいろありますが、ページを作るときに気をつけているのはどんなことですか。

森:最近自分のホームページでまずいなと思うのは、自分ではわかるんだけど、どうも書きすぎてるんです。昔のイギリスの城の話とか、ノーフォークとか10年以上前の旅行については、一番印象に残っているところを書いている。記憶が鮮明に残っているので、ぎゅーっと凝縮されて言いたいことだけ詰まっているんです。それに比べて97年の夏オーストラリアに行ったときのは、何ページにもなって、ほとんど旅行記になっている。旅行記にはしたくないと最初から思っていたんだけど、それに近づいているんですね。もっと、ぎゅーっと凝縮して簡潔にして伝えたいと思っています。そういうページのほうが人気があるみたいですし……。

Q:これから行きたいところには、どんなところがありますか?

森:世界中どこでも行きたいんですけど、特に行きたいのは、中東のシリア、ヨルダン辺りの昔からの遺跡です。パルミラの遺跡とかがいいですね。それから、シルクロードに沿って歩いていって中国の奥のほうとかにも行きたいです。自然のあるところが好きで、そういうところを中心に旅行してきたんですけど、今は自然もいいけど、歴史というかロマンにも惹かれるんです。初めてそういう旅をしたのはイスラエルで、ホームページにも、『イスラエル「聖書の地」巡り』を載せていますけど、あの経験をもう一度したいというので、シリアとかシルクロードとか行ってみたいですね。将来リタイアしたら、世界中のあちこちに、半年とか1年くらい住みながら、旅行したいです。

※森徹さんは、現在アメリカに赴任して、ホームページで、アメリカ生活の様子や、最近始めたヨットの航海日誌を新たに公開している。「旅作りのヒント・こだわりの旅」を初め森さんのページは、アサヒネットからアメリカのプロバイダーのサイトに移っている。

◎旅作りのヒント・こだわりの旅のページ
http://www.cloud9.net/~tmori/


◎ランサマイト(アーサー・ランサム・ファン)向けページ
http://www.cloud9.net/~tmori/ransome/

◎アメリカ生活の様子
http://www.cloud9.net/~tmori/ransome/usa/


◎航海日誌
http://www.cloud9.net/~tmori/ransome/usa/ideal18.html


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