ここでは志保の独壇場だ。
じつは志保のヤツ。プロ級に歌がうまい。
だが、それはべつにいいとして、なかなかマイクを
離さないのがムカつく。
「志保、相変わらず歌上手いよね」
「だからって、なんで高い金払ってボックス入って、
ジャイアンのリサイタルを見なきゃいけねーんだよ」
ムスッとした顔でコーラをすするオレ。
それを見たあかりは、まあまあと、苦笑した。
「『まあまあ』じゃないでしょ、あかり!! それは
ともかく、誰がジャイアンやねん!?」
志保が憤慨した。
今日はなにもせず、プールに潜り込んだ。
ここですることは、睡眠グ。
おやすみなさい…。
ってそれじゃ死んでまうがな!!
「なに嬉しそうにしてんだよ」
あかりは、変にニコニコしながらオレを見ている。
「だって、今日から墓場まで一緒だから」
「…」
縁起悪いぞ、あかり!!
「でも、今年一年、ずっと一緒だと思うと、なんだか
嬉しいな」
微笑みながら、あかりが言った。
「…なにを今さら」
机の上で頬杖をしたオレは、くだらなそうに息を
吐いた。
「お互い、顔だって見飽きてるだろ」
「ううん、私はまだ、見飽きてないよ。だって面白い
んだもん」
ぴしっ!!
「あっ…」
オレはあかりの頭を叩いた。
「そうそう、その特ダネ情報ってのはねぇ…」
「ふんふん」
オレたち3人は顔を近づけた。
「『Xファイル』もびっくりの怪現象なの!」
「『Hゲーム』もびっくりの性現象? 学校の地下か
ら、SM道具でも発見されたのか?」
「うーん、残念! けど発想はいいよ! 実にいい線
いってるぅ!」
残念そうに、パチンと指を鳴らす志保。
あかりと雅史は冷たい視線でオレを睨んでいる。
…ボケてんだから、ツッコんでくれよ、志保。
「じゃあ、正解ね? …じつは、このあたしも、まだ
信じられないんだけどさ」
志保は少し声のトーンを落とし、語り始めた。
こいつは仲間うちきっての情報通だ。
その志保ですら浮き立つこの情報、いやがおうにも
全員の期待は高まる。
「…今度の新入生に、すごいHな子がいるらしいのよ!」
「すごい…って?」
と、あかり。
「うん、なんでもね…」
『ふんふん』と、全員顔を近づける。
なんだろう?(いやマジで(笑))